オートジャイロ
おーとじゃいろ
解説
ヘリコプターの前身とも言われる航空機。
ヘリコプターのようにローター(回転翼)を持つ一方、その飛行原理はヘリコプターのそれとは構造的に違っている。
飛行原理
ざっくり言うと、「ローターで揚力“だけ”を生み、横付けのプロペラで推進する」という感じである。
つまり、ヘリコプターのようにローターの動力で前進はしていないのだ。
そのため、ローターにはほとんど動力が与えられておらず、主動力は機体に据え付けられた横付けのプロペラエンジンに頼ることになる。
このため、操作感覚はヘリコプターよりもレシプロ機に近いといわれている。プロペラの根元に蝶番が付いており、揚力や気流の急激な変化に耐え、安定した飛行が可能となっている。
固定翼飛行機・ヘリコプターとの違い
ヘリコプターとは、先述したが『ローターを主動力としない』点が一番大きいだろう。
これにより、ヘリコプターのような静止飛行(ホバーリング)が出来ない半面、万一事故を起こした際でも、ローターが無事ならばヘリのように急な墜落を起こすことが無く、割と余裕を持ってして不時着することが出来る。
そしてヘリコプターがほぼ垂直にローターを設置しているのに対し、オートジャイロはローターをやや後方に傾けて設置している。
一方、固定翼機は「三点操舵(補助翼による旋回、方向舵による機体の傾け、昇降舵による主翼の上下操作)」が基本だが、オートジャイロは開発からしばらくすると、ローター軸の角度変更・ローターの迎え角の変更と、ローターの機構のみで旋回・昇降が可能となった。
また固定翼機は離着陸に長い滑走路が必要になるが、オートジャイロは揚力さえ得られればある程度浮遊して飛行が出来るため、固定翼機よりも短い滑走路で事足りてしまう。後発の機種によっては、クラッチ操作でローターに動力を与えられるようになっており、ヘリコプターのように垂直離着陸が可能なものも登場している。
旋回能力では、固定翼機よりも優れているといわれる。
そしてヘリ・固定翼機の両者とのちがいとしては、小型化しやすいことで、小さいものだと翼長を含めて全長4m前後に達しないものもある。
活躍
歴史上においてはスペインで開発され、以後軍用・商用として大いに活躍した。
しかし第二次世界大戦以後にヘリコプターが登場すると、その座を譲り、以後はスポーツ用の小型機のみが細々と存在するだけとなっている。
ただ、近年またその地位が見直され始めており、少量の物資輸送や少人数の運送に利用できないか研究が再開されている。