概要
化学式C6H6、分子量78の最も単純な芳香族化合物の1つ。化学的に安定しており、置換反応は受け付けるものの、付加反応は高エネルギー下でないと起こらない。
様々な芳香族化合物の原料として実験室や化学工業で使用される。しかし、ベンゼンには発ガン性の疑いがあり、置換基をつけて誘導体にしないと少々危険な物質である。
ベンゼンの発見
ケクレによって複数のヘビがそれぞれの尾を咥えて環状になった様子をイメージし、ベンゼンの構造に思い至ったと言われている。
芳香族化合物の仲間
芳香族化合物は一般的に芳香臭や特異臭がする物質が多い。
ベンゼンの誘導体
- トルエン:シンナー遊び蔓延の元凶。
- キシレン:3つの異性体がある。
- フェノール:複数のヒドロキシ基を持つものは健康食品として注目されている。
- 安息香酸:ナトリウム塩が食品に利用されている。
- サリチル酸:フェノールとカルボン酸の両方の性質を持っている。
- トリニトロトルエン(TNT):窒素を付加したベンゼンは爆発しやすい。
- アニリン:染料に用いる。
- ニトロベンゼン:これといった特徴のない化合物。
―ベンゼンスルホン酸:これといった特徴のない化合物パート2。ただし強酸性。
縮合多環芳香族
ベンゼン環が多数繋がった物質。
- ナフタレン:ベンゼン環を2個付けてみた。
- アントラセン:ベンゼン環を3個付けてみた。
- ペンタセン:ベンゼン環を5個付けてみたもの。有機半導体として有名。
この他にも、フェナントレン、ピレン、ペリレン、コロネンなどいろんな種類がある。
複素芳香族
炭素と水素以外の元素を環の中に混合した物質。天然の物質として自然界にも存在するものもある。
- フラン:某吸血鬼とは一切関係のないのだが、その名前故ネタにされることが多い酸素を含む複素芳香族。反応性は極めて高く、危険。5員環。
- チオフェン:フランの酸素を硫黄に置き換えたもの。
- ピリジン:炭素を1つ窒素に置き換えた複素芳香族。強烈な悪臭を放つことで有名。
- ピリミジン:窒素を2個に増やしてみた。DNAを構成する塩基、シトシン、チミンの元になる化合物。
- プリン:某ポケモンでもデザートでもないよ、有機化合物だよ。DNAを構成する塩基、アデニン、グアニンの元になる化合物。
その他の芳香族化合物
―シクロブタジエン:ベンゼンは炭素が6つあるが、こちらは4つの物質。
- アズレン:その名の通り、有機化合物とは思えないような美しい青色の化合物。実はナフタレンの異性体に当たる。が、その名を知るものは少ない。