ユリシーズ(銀河英雄伝説)
ゆりしーず
概説
- 所属:自由惑星同盟軍第2艦隊⇒第8艦隊⇒第13艦隊(イゼルローン要塞駐留艦隊)⇒シャーウッドの動く森部隊⇒エル・ファシル革命予備軍⇒イゼルローン共和政府軍
- 全長:624m
- 主兵装:18㎝中性子ビーム砲×8門
- 艦長:ニルソン中佐
- 主な乗艦者:ヤン・ウェンリー、ユリアン・ミンツ、ダスティ・アッテンボロー
- 呼ばれ方:トイレを壊された戦艦、幸運の船、敵を連れてくる、じゃじゃ馬、等々・・・
自由惑星同盟軍の標準型戦艦の1隻として就役。ナンバリングは913-Dで、艦長はニルソン中佐。初登場したのは劇場版第1作目の第4次ティアマト会戦時である。ただし小説版ではレグニッツァ遭遇戦で登場している。
艦長曰く『じゃじゃ馬』の戦艦で、他の者には操艦を任せることは出来ないと言う。劇中では終始ニルソン中佐が艦長を務め続けており、ユリシーズ共々、終戦までの激動の時代を生き抜いた生き証人でもある。
逸話
ユリシーズには様々な逸話やネタ話が着いて回っている。小説版で初登場した時に、レグニッツァ遭遇戦で帝国軍を追い詰めようと側面から襲い掛かったが、共にいた友軍艦は運悪くミサイル発射口に強烈な雷を受けて轟沈したが、ユリシーズは免れた。
さらにアムリッツァ決戦では、トイレの汚水処理システムに直撃を受けてしまった為に艦内が汚水に塗れてしまったと言うものである(漫画版では隔壁を閉じて対策を講じていた)。これが後々に笑いの種になっているが、本人達にとっては不快極まる不名誉な徒名であろう。
敵を呼び込むという不運な気質も持っているようで、事実、ユリシーズら哨戒部隊(または訓練部隊として)が出る度にアイヘンドルフ艦隊、ガイエスブルグ要塞、ロイエンタール艦隊らを連れてきている。
経歴
劇中で登場したのは劇場版の第四次ティアマト会戦で、この時は第2艦隊所属として戦っている。窮地に陥った同盟軍を救うべく囮役を引き受けたり、ブリュンヒルトの艦底部に肉薄するという危険を冒している。
後に第8艦隊に転属し、そのままアムリッツア会戦に参加。第8艦隊が崩壊するという絶望的な立場にあって家禄も生き延びているが、その時に小破してしまい『トイレをこわされた戦艦』という有難くない徒名をもらってしまう。
その後第13艦隊もといイゼルローン要塞の駐留艦隊として配属される。そこでは哨戒のたびに敵を連れてくるというジンクスが発生。一度目は訓練としてアッテンボロー艦隊に参加していたが、その矢先にアイヘンドルフ艦隊と遭遇し戦闘に突入した。このとき、オリビエ・ポプランの弟子の一人が戦死している。
また哨戒任務では、ガイエスブルグ要塞が進軍してくるのに遭遇したり、ラグナロック作戦でもロイエンタール艦隊らと遭遇した。なお、この際に戦闘準備を問われたニルソンはこう答えた。「阿呆、イゼルローン駐留艦隊は不敗である。その不敗たる由縁は、勝算の無い敵とは戦わないことにあるのだ。何をしている、さっさと逃げ出さんか!」とヤンの思想を良くも悪くも受けていたようで、素早い撤退行動を見せている。
また幸運だからと言う理由で、イゼルローン要塞放棄時には赤ん坊と婦人らを大量に乗艦させられる事態になり、ニルソンやクルー達は呆れ嘆いた(最も、原因はアッテンボローの輸送船自爆作戦にあるが)。
バーミリオン会戦で停戦した後、こっそりとシャーウッドの動く森に随伴し離脱。エル・ファシル革命予備軍として参加し、同時に艦隊総旗艦として大出世することとなった。回廊の戦いで激戦を生き抜いたが、その後のヤン暗殺の阻止だけは僅かな時間さもあって間に合うことが出来なかった。
ヤン亡き後にイゼルローン共和政府へ改名され、ユリシーズは続けてイゼルローン軍の総旗艦となる。新司令官ユリアンを乗せて、ワーレン艦隊やヴァーゲンザイル艦隊を相手に戦い、最期の決戦であるシヴァ会戦でも生き延びる。
しかし長年の戦闘と、被弾の蓄積等で戦闘能力の大半を喪失しており、半ば病院船と化しつつも物語終結まで生き延びた、まさに幸運の船に相応しい戦い振りであった。