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ヒューベリオン

ひゅーべりおん

ヒューベリオンとは、田中芳樹小説およびそれを原作とするメディア『銀河英雄伝説』に登場する、自由惑星同盟軍の宇宙戦艦。主人公ヤン・ウェンリーの乗艦でもある。名前の由来はギリシャ神話に登場する巨人ヒュペリオン。
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以下の記述における外観・デザインや性能などに関する設定は、OVA版、またはDie Neue These版に準拠したものである。特にデザイン面はOVA版、Die Neue These版、漫画版と大きく異なる(ただし、藤崎版のデザインはOVAと同様)。原作小説と共通する項目は戦歴程度でしかないことに注意。


概要(OVA版)編集

自由惑星同盟旗艦級戦艦ヒューベリオンヒューベリオン

 アスターテ会戦後に新設された自由惑星同盟第13艦隊の旗艦であり、同艦隊の司令官となったヤン・ウェンリーの座乗艦である。同盟軍特有の、縦長かつ長方体を基本とした艦型をしている。また艦中央部が上下に張り出している為、前後対照的な外見から綺麗に整った印象を当てている。

 加えて同盟軍の特徴であるアンテナが多くつけられており、上下に大型で8本、中型で10本ものアンテナが付けられている。このデザインには「旧式艦である当艦の指揮管制能力をどうにか第一線級に強化しようとした結果」という設定が添えられている。

 当艦は、イゼルローン要塞を無血占領したヤン・ウェンリーの代名詞的存在として同盟軍に知れ渡り、敵味方に対する政治的宣伝効果を考慮し、就役後も塗装や艦隊ナンバーを敢えて弄らなかったとまで言われている。


戦歴編集

 当艦とヤンを一躍有名にした第7次イゼルローン要塞攻略戦に始まり、アムリッツァ星域会戦(およびその前哨戦であるヤヴァンハール星域とドヴェルク星域での戦い)、ドーリア星域会戦、第8次イゼルローン攻防戦(要塞対要塞)、第9次イゼルローン攻防戦、ライガール・トリプラ両星域、バーミリオン会戦に至るまで彼の座乗艦として活躍し、その名前は広く知れ渡っていた。帝国軍にもヤンの旗艦としてヒューベリオンの存在は知られており、第8次・第9次イゼルローン攻防戦ではその認識を利用した作戦が行われている(前者ではヤン不在を悟られぬため、後者では囮として用いられた)。

 後にヤンが旗艦をユリシーズに移してからは、メルカッツ提督の座乗艦となり、回廊の戦い、第10次イゼルローン攻防戦、第11次イゼルローン攻防戦、と戦歴を重ねていったものの、シヴァ星域会戦で猛り狂ったように突進してきた黒色槍騎兵艦隊の猛攻を受け轟沈。メツカッツ提督も共に戦没した。


設定編集

 主人公の一人であるヤンの座乗艦でありながら、メディアによって解説が一定していないのが特徴である。その為、現在までには以下のような設定が入り乱れている。


1. 第13艦隊の旗艦として新造された

2. 退役間近の旧型戦艦を急遽引っ張り出してきた

3. 辺境警備艦隊の旗艦を正規艦隊の旗艦として使えるように通信能力を強化した

4. アイアース級に座を譲った為に辺境警備艦隊に移されたが、急遽、第13艦隊旗艦の代替とされた


などの説が存在しているが、近年に商品化された艦船模型「フリート・ファイル・コレクション」シリーズでは、4番目の説が定説とされるようになった。


性能編集

  • 全長:911m
  • 全幅:70m
  • 全高:284m
  • 乗員:915名
  • 主兵装

・艦首・・・25㎝中性子ビーム砲×32門

・両舷・・・25㎝荷電粒子ビーム砲×40門(詳細不明)?

  • 戦闘艇:24機

指揮管制編集

 艦隊指揮を前提とした戦艦だが、建造されたのは約30年前のこと。当時は8000隻も指揮できれば十分とされていた為、相応の指揮能力を与えられていたわけだが、ヤンが存命していた時代の同盟軍における1個艦隊は最大15,000隻。旧世代の能力では対応処理が追いつかないのは当然である。それでも第13艦隊創設当時の規模は、約半個艦隊の凡そ7000隻程度だった故に大した改装をする必要もなく、辺境警備艦隊からそのまま引っ張ってきたと思われる。

 結局は15,000隻にまで膨れ上がってしまった第13艦隊にヒューベリオンの指揮管制能力が追いつかなくなってしまったものの、それでも1万隻以上の艦隊を運用出来たのは、全艦艇ではなく各分艦隊旗艦のみへの命令伝達と、それをカバーした副司令官エドウィン・フィッシャー提督による名人的な艦隊運用の賜物であった。

 結果として見るに、ヒューベリオンの指揮管制能力は、『銀河英雄伝説』本編の時代の艦艇に比べ、遥かに劣っていると言わざるを得ない。


攻撃編集

 搭載している主兵装は、艦首の25㎝中性子ビーム砲が32門。アイアース級の30㎝40門に劣りこそすれ、集団戦においては個艦の打撃能力はあまり問題にされず、数千隻から1万隻もの艦隊同士ともなると、ヒューベリオンが相手にするのは帝国軍の標準型戦艦や巡航艦といったクラスが大半であった。旧式とはいえ標準型戦艦に比べれば遥かに高い打撃力を有していたヒューベリオンが、1対1で敵艦に遭遇したとしても後れを取るような可能性は低いと思われる。

 ただし、帝国軍の新型旗艦クラス(ブリュンヒルトバルバロッサパーツィバル等々)を相手にするとなると、打ち勝つのは難しいだろう(旗艦同士の一騎打ちが起こりうるならば、だが)。

 

防御編集

 旗艦クラスだけにシールド機能は高いと見られる。劇中では幾度かヒューベリオンにビームが着弾するシーンが見られたが、大概は弾き逸らすことに成功している。最後のシヴァ会戦において、撃沈間近には数発もの集中砲火を弾き逸らしていた(結局は耐えかねて轟沈してしまったが)。


航行編集

 機関部の性能は旧式であれども、その信頼性は非常に高かったとされている。安定した出力供給が可能で、燃費も悪くなかったのではないだろうか。また、両舷の星間物質を吸引する取り込み口の存在もあるので、それなりの節約は可能であったと思われる。


余談編集

 OVA版における艦番号は第13艦隊の旗艦を示す「1301」ではなく、製作時にヒューベリオン用に使用されたカラーナンバーに因んだ「144M」である。

 物語の設定上は「番号を変える暇もなく配備したら、ヤンがいきなりイゼルローンを奪取するという大手柄を立ててしまったので宣伝効果も兼ねてそのままにしておいた」ということになっている。


概要(新アニメ Die Neue These版)編集

DNT版ヒューベリオンです自由惑星同盟 旗艦ヒューベリオン

 新アニメ化されたヒューベリオンの姿形は旧OVA版とは大きく変更された。旧OVA版では前後に均一だったデザインが、艦首側を肥大化させつつ直線を織り交ぜ、細部に発光部を備える近代的なデザインとなった。また、他の艦隊旗艦とは形状の差別化が図られ、塗装は青と白を基調にしている。


 艦番号は第13艦隊旗艦を示す「13FB09-2144」。

 艦体構造は主兵装区画、指揮・管制区画、艦載艦艇格納区画、推進区画などのユニットで組み上げられている。主兵装区画は最全面にあり、上から主砲、副砲、電磁シールドの順で配置されている。主兵装区画の後部下方には推進機関が集中的に配置されており、前方に配置した推進機関の力で艦体を引っ張る牽引式(トラクター式)を採用している。また艦体中部には連絡艇用のオープンデッキがある。後部の識別ナンバーはライトアップされている。


 艦橋は前方にせり出した目視観測およびダメージコントロールのフロアと、上階で左右に伸びる目視観測のフロアなど、高さの異なる複数の階層から成る。また、艦橋は戦況に応じて上昇、沈降することが可能。収納する際には艦橋は上部から後方下部にスライドして収納、続いて複合マストが降下し、艦内から稼働した3枚の防御壁が艦橋を守る。当艦の艦橋内は他艦と比較しても旧式のデザインになっている。


戦歴編集

 第7次イゼルローン要塞攻略戦にて初登場。アムリッツァ星域会戦では残存した他艦隊を指揮下に帝国軍の包囲網から離脱。ドーリア星域会戦で第11艦隊を撃破し首都星ハイネセンへ赴いた。


設定編集

 宇宙歴770年代に同盟軍の旗艦級として建造されたヒューベリオン級の1番艦。

 ヒューベリオン級は、帝国と遭遇し艦隊規模拡大の必要に迫られた同盟軍が指揮・管制能力を向上させた艦隊旗艦級の戦艦として数々の試作艦を経て建造された経緯があり、同盟軍艦艇の中では第2世代に相当する。第13艦隊発足時にヤン・ウェンリーの座上艦となった。


性能編集

  • 全長:904m
  • 主兵装

・中性子ビーム砲×22門(艦首上部)

・副砲×10門(艦首中部)

・電磁シールド(艦首下部)

・艦対艦ミサイル

・レールガン

  • 戦闘艇:スパルタニアン
  • 連絡艇

攻撃編集

 武装は主武装である中性子ビーム砲、艦対艦ミサイル、レールガンなどを搭載する。主兵装である大口径主砲は戦況に合わせて実弾を発射することも可能。またスパルタニアンなどの艦載艇も搭載している。


防御編集

 搭載されるシールドの性能が他艦船と比べて高いのかは不明。

 前方に対ビーム用の電磁シールドを展開できるが物理弾には無効。また時間経過、ビームの被弾率によっては劣化し破損する。


関連タグ編集

銀河英雄伝説 ヤン・ウェンリー 自由惑星同盟軍艦艇 宇宙戦艦

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