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パトロクロス(銀河英雄伝説)

ぱとろくろす

『銀河英雄伝説』に登場する、自由惑星同盟軍の大型宇宙戦艦。艦隊旗艦専用として最初から設計されたアイアース級/アキレウス級/パトロクロス級大型戦艦の1隻であり、第2艦隊旗艦として就役。主人公ヤン・ウェンリーが、初めて艦隊指揮を執った印象深き艦でもある。
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以下の記述における外観・デザインや性能などに関する設定は、OVA版に準拠したものである。特にデザイン面は漫画版では大きく異なる。原作小説と共通する項目は戦歴程度でしかないことに注意。


概要編集

 自由惑星同盟の大型宇宙戦艦の1隻で、数多く建造されたアイアース級またはアキレウス級戦艦の1隻。所属は第2艦隊で艦隊旗艦を務めており、艦隊司令官パエッタ中将の座乗艦でもある。また主人公ヤン・ウェンリー准将時代に参謀(次席幕僚)として勤務していた艦でもあり、同時にヤンが生涯で初めて艦隊指揮を執った、ある意味で記念すべき戦艦でもある。後に疲弊した同盟軍にあって首都防衛を担う第1艦隊旗艦へ転属となる。

 形状は同盟軍特有の縦長で直方体の艦体であり、艦首の武装ブロック、中央部の居住ブロック、艦尾の機関ブロック、の3つのブロックに分かれている。艦首と胴体中央が括れるスタイルは、同級の特徴の一つでもあるが、当艦はアイアースと全く同じ艦体形状をしており、同級のシリーズでは完成形とされる設定もある。

 因みにあのラインハルト・フォン・ローエングラムの乗艦である新鋭艦ブリュンヒルトとの直接対決を演じた旗艦級大型戦艦は本艦のみである。


経歴編集

 パトロクロスは、作品上では第4次ティアマト会戦の前哨戦たるレグニッツァ遭遇戦に参加したのが最初で、本戦であるティアマト会戦に参加。その後パエッタの強い再戦希望により、アスターテ会戦に参加するも、無残に大敗し本艦も中破程度の損傷を受ける。しかしその際に艦橋司令部に直撃弾を受け、司令部の人員が全滅に近い状態になるも、負傷したパエッタに代わりヤンが指揮を引き継いたこともあり全軍瓦解だけは避けられた。再び戦場に現れたのはこれよりかなり後の事で、同盟軍が末期状態にあってのランテマリオ会戦。この戦いを最後に、当艦の詳細は途絶えてしまっている。


設定編集

 パトロクロスは、メディアによって幾つかの諸説が存在する。


1、アキレウス級戦艦の6番艦であり艦艇識別番号は02(劇場版『新たなる戦いの序曲』では201)。ランテマリオ会戦を最後に詳細不明。

2、パトロクロス級戦艦のネームシップであり、アスターテ会戦での損傷が酷く復帰できずに廃艦処分となる。

3、アイアース級戦艦の1隻(艦番は不明)で、アキレウス級説同様にランテマリオ会戦後は詳細不明。


最新は3番のアイアース級説で、12000分の1スケールで販売された『コスモフリート・ファイル・コレクション』のらいとすたっふにより設定された。


性能編集


スペック

  • 全長:1,159m
  • 全幅:72m
  • 全高:358m
  • 乗員:1226名
  • 主兵装

・艦首25㎝中性子ビーム砲×40門

・12㎝荷電粒子ビーム砲×40門

・レールガン×2門

・ミサイルランチャー×12基

  • 戦闘艇:24機

指揮管制編集

 元から艦隊旗艦としての使命を受けて建造された戦艦であるからして、指揮機能は充実したものである。特に本級特有の艦体上下に備え付けられている巨大な6本のアンテナ(艦によって異なる)や、フィン状のアンテナ類が、その指揮機能の高さを体現していると言えよう。少なくとも1万5000隻の艦艇を同時統率する事が可能と見られる。


攻撃能力編集

 25㎝中性子ビーム砲を40門備えるため、正面攻撃力は絶大なものである。また側面にも12㎝口径の荷電粒子ビーム砲が合計40門も並び、敵艦載機への対空防御能力の高さを示している。因みに劇中でパトロクロスのみが直接砲撃戦の成果を見せており、帝国軍戦艦「ワレンシュタイン」を一撃で粉砕した(小説版では既にワレンシュタインは損傷していた故に、簡単に撃破された)。

 またパトロクロスは、銀河英雄伝説のアニメ化に際して最初にデザインされた艦でもある為、武装設定も事細かく、レールガンやミサイルランチャーといった豊富な武装に恵まれている(ただし、劇中で使用した場面は無い)。

防御能力編集

 防御する手法はもっぱらシールド頼みで、これを破られると大抵の場合は一撃で致命傷を負うパターンが多いものの、本艦が敵の艦砲によって致命傷を負った事は無い。かつてブリュンヒルトと間近で砲撃戦を行った事とがあるが、大した損害は被らなかった。同時に帝国軍戦艦「ケルンテン」との一騎打ちでは、近距離であるに関わらずビームを弾き逸らした(敵方も同様だが)。

 OVA版アスターテ会戦では、味方のスパルタニアンが超至近距離で撃墜され爆発したため、その余波を受けてしまう。劇場版では、砲撃によって損傷したと思われる描写に変更された。ともあれ中破程度の損害で済んだ模様。

航行能力編集

 同盟軍に一貫して言えることであるが、艦尾の長いスタビライザーのお陰で高い機動力を有しており、本級も例に漏れない。パトロクロスも同様で、劇場版では気流の乱れの激しい中で機敏に回頭運動をこなしている。


姉妹艦(艦隊順)編集

一個艦隊旗艦アキレウス級一覧


上記のイラスト通り、本級は建造時期や建造時の要求性能などによってかなりの差異があり、面影こそ残しているが殆どといっていいほど同一の艦形を持つ艦は一部の例外を除き存在しない。特に見分けがつくのは艦首主砲ブロックのいわゆる「括れ」の部分で、パトロクロスを始めとした艦は括れが存在するが、リオ・グランデなど一部の艦は長距離砲を搭載したため、括れが存在しないか非常に小さなものとなっている。


アイアース編集

同盟軍総旗艦アイアース

アキレウス級2番艦若しくはアイアース級ネームシップで同盟軍宇宙艦隊司令長官ラザール・ロボス元帥の座乗艦。艦番号なし。

パトロクロスに先んじ建造された試作艦で、塗装がカーキ色となっている以外ほぼパトロクロスと同一の形状となっているが、艦首主砲ブロックの上部両端部主砲部分を潰して通信・管制用設備を設けているため、主砲門数は38門となっている。


ク・ホリン編集

第3艦隊旗艦 ク・ホリン

ルフェーブル中将率いる同盟軍第3艦隊旗艦。艦番号0301。宇宙暦782年就役。

主砲門数を標準の40門から30門に減少させたり側面砲塔を削減するなどすると共に軽装甲化を行うなど、砲戦火力や防御力を他のアイアース級よりも低く抑え、それによる軽量化によって速力や機動力を増強した艦。

帝国領侵攻作戦に参加するが、レーシング星域で小惑星を盾にしながらワーレン艦隊と交戦中、被弾し制御不能となった友軍の標準型戦艦が激突、小惑星と戦艦に挟まれる形となってしまい、装甲の薄さが仇となって轟沈してしまった。


レオニダス編集

戦艦レオニダス

第4艦隊司令官パストーレ中将の座乗艦。

宇宙歴786年に竣工。艦中央上部の大型通信アンテナ3基が長く伸びた1基にまとめられ、その1基の先端が三又となっているのが外見上の特徴。

アスターテ会戦では第4艦隊旗艦として参加するが、帝国軍の猛攻により轟沈した。


リオ・グランデ編集

戦艦リオ・グランデ

物語開始時点の第5艦隊司令官で後にロボスの後任の宇宙艦隊司令長官となるアレクサンドル・ビュコック中将(後大将→元帥)の座乗艦(同盟軍第5艦隊旗艦→同盟軍宇宙艦隊総旗艦)。艦番号0501。

同級の中でも初期に製造された艦で、785年、790年、796年に機能拡充の大改装工事を受けている。艦首主砲ブロックが他のアイアース級と比べて長いのが特徴だが、これは建造当初に搭載した主砲が旧式で、射程を稼ぐために長砲身化したため。その後主砲は先述した大改装工事の際に新型に換装されたが、主砲ブロックの長さは短縮されず、それを生かして長距離砲を搭載している。

就役以来、帝国軍との数多くの会戦で活躍し、マル・アデッタ星域会戦で轟沈するまでは激戦のなかでも無傷を誇った強運の艦であった。


ペルガモン編集

第6艦隊旗艦 ペルガモン

パトロクロスと同時期に竣工した姉妹艦で、ヴァンフリート会戦、第3次ティアマト会戦といった数多の戦場で活躍した。主な搭乗者は第6艦隊司令官ムーア中将、同艦隊司令部参謀ジャン・ロベール・ラップ少佐。

アスターテ会戦では第6艦隊旗艦として参戦するが、帝国軍の猛攻により轟沈する。


ケツアルコアトル編集

第7艦隊旗艦 ケツァルコアトル

ホーウッド中将率いる同盟軍第7艦隊旗艦。艦番号0701。

艦首に装備した長距離主砲と大口径長距離センサーによって同盟軍屈指の砲戦距離を誇る。

帝国領侵攻作戦に参加するが、第7艦隊共々キルヒアイス艦隊の攻撃を受け敗北。降伏勧告の受諾後に帝国側に鹵獲され、解体される。


クリシュナ編集

第8艦隊旗艦 クリシュナ

アップルトン中将率いる同盟軍第8艦隊旗艦。艦番号0801。

第10艦隊旗艦盤古の姉妹艦。艦体上下に武装ユニットを追加し個艦火力を大幅に増強した艦で、「3階建て」になり艦中央部と一体化した艦首主砲ブロックなど、背が高くずんぐりとした形状が特徴。前述したように個艦火力は大幅に向上したが、機関部は通常のアイアース級と同じものを搭載したため、継戦能力や機動性に難点を抱えている。

帝国領侵攻作戦に参加し、メックリンガー艦隊の攻撃で損害を被りつつも撤退とアムリッツァ星域への集結に成功するが、続いて参加したアムリッツァ星域会戦でビッテンフェルト率いる黒色槍騎兵艦隊の猛攻を受け、側面面積の広さが仇となって機関部に被弾。軌道レベルを維持できなくなり、退艦を拒否したアップルトンと共に恒星アムリッツァに沈んだ。


パラミデュース編集

自由惑星同盟軍 第9艦隊旗艦 「パラミデュース」

アル・サレム中将率いる同盟軍第9艦隊旗艦。艦番号0901。宇宙暦784年竣工。

建造に当たってはケツアルコアトルの設計が参考にされており、事実形状も同艦に似通ったものとなっている。

帝国領侵攻作戦に参加するも、アルヴィース星系の戦闘でミッターマイヤーの艦隊に蹂躙されて大破する。その際にアル・サレム中将も重傷を負い、指揮権を副司令官のライオネル・モートン少将に委譲、辛くも生還するもその後の艦の動向は不明。


盤古(バン・グゥ)編集

第10艦隊旗艦盤古

ウランフ中将率いる同盟軍第10艦隊旗艦。艦番号1001。

第8艦隊旗艦クリシュナの姉妹艦。クリシュナ同様に艦体上下に武装ユニットを追加し個艦火力を高めた艦であるが、主砲門数は40門のままであり、そのために艦首のくびれが大きく、艦橋がせり出しているように見える。クリシュナのような極端な火力重視ではなかったため、攻守のバランスに優れた良艦と評された。

帝国領侵攻作戦に参加し、惑星リューゲン軌道上でビッテンフェルト率いる黒色槍騎兵艦隊と交戦。艦隊の4割が戦闘不能状態となった時点で第10艦隊の残存戦力を脱出させるべく殿を務め、熾烈な戦いの末に艦隊の半数を離脱させることに成功するが、本艦は脱出時に艦首下部のミサイルポッドに被弾・誘爆して轟沈する。


エピメテウス編集

第11艦隊旗艦 エピメテウス

同盟軍第11艦隊旗艦にして、同司令官ウィレム・ホーランド中将の座乗艦。

左右両舷のスパルタニアン格納庫を廃し機関部を強化・延長したことにより機動性が向上。これにより全長1230mの超大型戦艦として竣工した。

第3次ティアマト会戦でホーランド指揮のもと、第11艦隊と共に帝国軍艦隊を蹂躙したが、攻勢限界点を迎えたところでラインハルト艦隊の主砲三連斉射を受けてホーランド諸共轟沈した。また、続いて二回目の三連斉射を受けて第11艦隊は壊滅・敗走し、以後長きに渡って再建されていくこととなる。


レオニダスⅡ編集

第3次ティアマト会戦における壊滅後、再建されたルグランジュ中将率いる同盟軍第11艦隊旗艦。艦番号11。宇宙暦796年竣工。

艦形はレオニダスと瓜二つだが、これは同艦とレオニダスが建造方法の違いによるコスト比較実験に用いられたためであるとされる。

救国軍事会議のクーデターの際に第11艦隊共々クーデター側につき、救国軍事会議唯一の機動戦力としてドーリア星域でヤン艦隊と激突するが敗れ、僚艦以下数隻に撃ち減らされるまで交戦した後にルグランジュは自決。その後の動向は不明だが、劇中の描写からおそらく降伏を拒否し撃沈されたと思われる。


ぺルーン編集

第12艦隊旗艦ペルーン 分艦隊旗艦グラウコス

(手前の艦。奥の艦は第12艦隊分艦隊旗艦グラウコス)

ボロディン中将率いる同盟軍第12艦隊旗艦。艦番号1201。

長距離砲を装備し、艦首のくびれがなく艦橋と一体化しているのが特徴。アイアース級の中でもとりわけ火力に秀でており、全周の75%を射界に納める事ができたと言われている。

帝国領侵攻作戦に参加し、ルッツ艦隊と交戦。僚艦以下8隻に至るまで抵抗した後ボロディンは自決、指揮を引き継いだコナリー少将によって降伏、鹵獲される。


アキレウス編集

第14艦隊旗艦 アキレウス

2代目アキレウスとする説もある。帝国領侵攻作戦時の第9艦隊副司令官にして、中将に昇進したライオネル・モートン率いる同盟軍第14艦隊旗艦。艦艇識別番号1401。宇宙暦794年竣工。

リオ・グランデをベースに最新技術を盛り込み再設計した艦である。

第14艦隊を指揮しランテマリオ星域会戦に参加後、第14艦隊の残存戦力と共にヤン艦隊に合流。バーミリオン星域会戦にヤンの指揮下の元参加するが、途中より参加したミュラー艦隊の攻撃を受け撃沈された。


ディオメデス編集

第15艦隊旗艦 ディオメデス

ラルフ・カールセン中将率いる同盟軍第15艦隊旗艦。

アキレウス同様リオ・グランデをベースに最新技術を盛り込み再設計した艦。艦形もアキレウスとほぼ同一だが、アキレウスの艦首下部にあった小型ミサイルポッドは装備していない。

第15艦隊を指揮しランテマリオ星域会戦に参加後、第15艦隊の残存戦力と共にヤン艦隊に合流しバーミリオン星域会戦に参加。マル・アデッタ星域会戦にも参加し、分艦隊を指揮して帝国軍を突破、大本営に迫るなどの奮闘を見せるもあと一歩のところで及ばず撃沈された。


ロスタム編集

マリネッティ艦隊旗艦ロスタム

ランテマリオ星域会戦、マル・アデッタ星域会戦に参加したマリネッティ准将指揮下の同盟軍分艦隊旗艦。艦番号205N。

艦形自体はアキレウスやディオメデスに近いものとなっているが、物資や資金の欠乏に悩まされるなど疲弊しきった末期の同盟の国情を反映してか、艦首主砲は30門に減少し、側面砲塔も通常型より遥かに少なくなっているなど、所々簡素化している箇所が見受けられる。


シヴァ編集

戦艦 シヴァ

工作艦隊用に建造された特殊戦艦で、メルカッツが指揮する「動くシャーウッドの森」の旗艦。動くシャーウッドの森がエル・ファシル革命予備軍に合流した後は、ヤン艦隊の幕僚の1人であるエドウィン・フィッシャー中将の座乗艦となった。

アンテナとしても使用可能な工作用クレーンをアキレウス級系列の大型艦体に多数装備している。一方で重装備故に機動性能が低く、それを補うために艦首に大きなサイコロ型の主砲ブロックをはめ込み、そこにアキレウス級2隻分の主砲を(かなり強引に)装備しており、先述の通り工作艦として設計されていながらヤン艦隊有数の火力艦となった。



関連タグ編集

銀河英雄伝説 自由惑星同盟 自由惑星同盟軍艦艇 パエッタ ヤン・ウェンリー 宇宙戦艦 アキレウス級

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