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概要

 自由惑星同盟軍第2艦隊(後に第1艦隊に移る)司令官で階級は中将。座乗艦はアキレウス級戦艦『パトロクロス』。

戦術的指揮官としてはそれなりに有能であったが、部下に対してはイエスマンであることを求めるなど、頑迷な点が多く、当時幕僚であったヤン・ウェンリーの進言を度々退けている場面が見られる。

 だが、後にヤンの実力を認めてはいるようで、アレクサンドル・ビュコックも「アスターテでの借りを返そうとするだろう」等と、パエッタの改心があったような節を発言している。

 パエッタは、レグニッツァ遭遇戦、第4次ティアマト会戦に参加。アスターテ会戦に参加し負傷した後、ランテマリオ会戦に参加している。その後は退役したものの、パウル・フォン・オーベルシュタインが行った草刈りによってラグプール刑務所に投獄された。後に発生した暴動に巻き込まれて敢え無く死亡してしまったという、不遇の人生を辿っている。

軍人としての能力

 パエッタはOVAでは無能組に組する印象が強い。しかし、上記の概要に記してある通り、パエッタ自身の艦隊指揮官としての戦術手腕は決して低いものではない。寧ろ、「中の上」から「上の下」くらいのランクと言えるだろう。無能軍人としての印象を与えた原因は、幕僚であるヤンの作戦案や意見具申を却下し続けていることにある。ただ、ヤンを嘲笑する幕僚を睨みつけて黙らせる剛直な面を見せ、また、ラグナロック作戦時には「ヤンに借りを返すことが出来る」とかつての部下の出世を僻むどころか救われたことを恩義に感じるなど、(OVA版の「ヤンの言うことを聞かない」面を強調させるための殊更な無能描写を別とすれば)公正さを重んじる「良き軍人」として描かれている。

 劇場版レグニッツァ遭遇戦では無能さが際立っているが、原作小説では内容が異なっている。大気流の不安定さや、通信機器に害を与えるガスが充満する中にあって、パエッタ率いる第2艦隊はラインハルト艦隊を押していたことから(キルヒアイスと双璧を擁するラインハルト艦隊よりいち早く混乱する艦列を立て直し、攻撃に転じている。この手腕には幕僚のヤンも感心している)、パエッタの戦術指揮官としての有能さが垣間見える。

またアスターテ会戦の敗将であるにも関らず、傷が癒えた後は自由惑星同盟軍艦隊を構成する艦隊の中で唯一残された正規編成の艦隊である第1艦隊司令官に任じられている事は彼の司令官としての有能さを評価されていたともいえる。

ランテマリオ会戦でも、圧倒的数に勝る帝国軍艦隊に対して、自由惑星同盟軍艦隊の主力である第1艦隊司令官として一番多くの戦線を受け持ち且つ維持し続けていたようである(明確な描写は無いが)。

 ただし実直的かつ剛毅な戦術指揮官であっても、柔軟さや奇策、奇抜といった策を好まない傾向にあり、相手にもそれを(無意識のうちに)強要する心理が働いていたのではないだろうか。アスターテ会戦で「数の優位さから敵は防御態勢を取る筈だ」とある種の固定観念に囚われたのも強い信念や正義感の裏返しであったのかもしれない。

 総合的に見るに、パエッタは複数の艦隊を統率する総司令官の立場よりも、上官からの命令を着実に熟せるタイプ(グエン・バン・ヒューに似ている)の軍人ではないか、との見方を示す読者(視聴者)も多いようである。

 また、有能かつ「良き軍人」であるものの、視野が軍隊の枠内に留まっており(故に両者ともヤンには一定の評価を受けつつも嫌われている)、さらに似たような末路を辿っているという点でレンネンカンプとの共通点も見いだせる。

アニメ版において

 原作小説版では序盤において登場するのの、出番は少なかった。アニメでは外伝がベースとなった「わが征くは星の大海」が最初に劇場版として公開されたことから、パエッタはメイン級の扱いで登場している(エンディングのキャストでも上位に来ている)。

 しかし、レグニッツァ遭遇戦では、ヤンの意見を尽く退けており、「青二才め!」や「実戦を見せてやる」等と、威張り散らしたりする場面が見られた。また、ラインハルト艦隊と戦闘に入った後、「体当たりをすれば我が軍が勝つはずだ!」等と、数に物を言わせるだけの無能な印象を与えており、さらにラインハルトの奇策を前にして大きな被害を被った。

 その後のティアマト会戦でも、ヤンの意見具申を「差し出口は無用、指揮官は私だ!」とにべもなく却下している等、原作以上の醜態を見せる結果となっている(その後物語序盤をリメイクした「新たなる戦いの序曲」でも扱いは同様)。その後のOVA版では原作同様の扱いとなる。

藤崎竜の漫画版において

 明確にトリューニヒト派閥の軍人として描写されている。レグニッツァ遭遇戦で大損害を被ったにもかかわらず、降格や罰則もなしに次のアスターテ星域の迎撃に選ばれている事を兵士達が不審に思うなど人望面はイマイチ。

 しかし、ヤンに対する偏見はかなり控えめで、むしろヤンの見識をグリーンヒル大将が高く評価しているのも頷けると考えるなど、かなりの高評価であった。そのため、作中の進言無視はトリューニヒトから「今回の戦闘で活躍した司令官を後に軍の首班(統合作戦本部長)にしようと思う」と事前に示唆されていたため、功に焦り過ぎた結果という描写となっている。ヤンも功に焦るパエッタの姿を「彼らしくない」を不審に思っていた事から日常的に出世欲がある人物でも無かったと思われる。

 本作では能力は高めでヤンへの偏見もない比較的有能な司令官という反面、明確にトリューニヒト派閥として彼に媚を売っていたという美点と欠点を合わせた人物像になっている。

ゲーム版において

 銀河英雄伝説は、その知名度からゲームとしてもかなり出されている。その中でパエッタの能力値は高めに設定されており、プレイヤー側としても十分に活躍できる艦隊指揮官である。そのことからも、やはりパエッタは軍人としての手腕は評価されているとも言えるだろう。

二次創作において

 その人物像から人気のあるキャラクターであるとはとても言えなかったが、ニコニコ動画、特にアイドルマスターが絡んだ動画においては中の人が社長こと高木順一朗と同じだったためか、一躍脚光を浴びることとなる。

 そういった繋がりが判明した以降、パエッタが登場する動画では、「パエッタ社長」と呼ぶファンが出てくるようになった。

なお、ニコニコ大百科においては、パエッタはラインハルトやヤンを差し置いて銀英伝キャラの中で最初に項目が作られたキャラクターとなった(参照)

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