自衛権
じえいけん
自衛権とは、侵略やテロから国家を防衛するために、武力をもって必要な行為を行う国際法上の権利である。
個別的・集団的という誤解
近年、個別的自衛権と集団的自衛権を分けて考えたがる傾向があるが、本来は自衛権には個別的・集団的という区別は無く、刑法上も両者は全く区別されていない一体のものである。
刑法36条1項には
「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は罰しない」
とあり、例えば自分の子供が殺されそうな時、自分が助けなければ子供が殺されてしまうので、止めに入るのは当然のことである。
その結果、仮に犯人の命を奪っても、過剰防衛でない限りは罰しない。
というのが正当防衛の趣旨であり、この場合は自分が守ったのは子供の権利(生命)であるため、正当防衛権の中では個別的ではなく集団的な防衛権を行使したことになる。
国家レベルの場合、集団的自衛権は個別的自衛権と一体となって当然に認められている。
国連憲章51条には
「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない・・・」
とある。
つまり自衛権とは、憲法以前の固有の権利なのであり、憲法に規定が有ろうが無かろうが問答無用で認められている権利なのである。
自国の領土や国民を守る自衛権を持たない国など存在せず、前述した通り個別的・集団的という区別など意味は無く、自衛を目的とした武力行使も国の当然の権利なのである。