漫画「アカギ」において昭和の帝王鷲巣巌がアカギに挑んだギャンブル。
ルールは通常の麻雀に準拠するものの、萬子、索子、筒子、字牌全てにおいて4枚の牌のうち3枚が透明のガラス牌になっており他家にも手牌の大部分を晒すことが最大の特徴。赤ドラ、花牌は用いない。
山を作っても次にツモる牌が丸見えであるため、最初に山を積まず卓の中央に牌を入れたままにし、ツモごとに卓の中央から牌をツモることでゲームは進行する。ドラやリンシャン牌も必要に応じてツモられる。盲牌を防止するためツモる手には黒い革手袋をはめて打たなくてはならない。
また、牌の大部分が透けるため相手の役をかなり限定出来るが、振り込んでもオープンリーチに振り込んだ場合のように役満払いにはならない。作中には登場していないが、仮にテンパイ時全ての牌がガラス牌であっても同じであると思われる。
鷲巣とアカギによる半荘6回戦サシウマ勝負であり、互いのロンもしくはツモにより両者の間で直接の点棒の移動が起こった場合はレートに合わせた金銭もしくは血液が授受される。 ウマやオカでもこの授受は行われるが、あくまで鷲巣とアカギの間のみである。
鷲巣側の目的はアカギの致死量となる血液約2000ccを奪ってアカギを殺すことにあり、アカギ側は鷲巣の莫大な資産(隠し預金も含めて現在の60億円)を奪う事を画策している。なお、勝負の途中でアカギが絶命した場合はそれまでに得た金銭は没収となる。
鷲巣側の鈴木とアカギ側の安岡は4人麻雀を成り立たせるための数合わせとされているが、実際にはそれぞれ自軍の打ち手をサポートするアシスト役であり、有効牌を鳴かせたりリーチに即差し込みをする戦法がこの鷲巣麻雀のセオリーとされる。
手牌の大部分が丸見えでありツモり麻雀か自軍のアシストによる差し込みが横行しそうだが、作中ではアカギの戦略に誘導された鷲巣が高い手を張りながらもあと一歩のところで和了りを逃す展開が繰り返されている。
鷲巣もいい加減学習すればいいのに、生まれついての剛運が妙に高い手を呼び込んでくるので勝ちへの渇望から幻想を振り切れないようである。
まるで小さい子供が必死に大人とゲームをしているようであり、かなり可愛い。
月刊誌での連載であることや福本が麻雀そのものよりも登場人物の心理描写を重視したことから、たった半荘6回勝負であるにもかかわらず、すでに勝負開始から10年が経過している。リアルタイムで読んだ場合、小学校から大学卒業するまで読み続けてまだ終わらない…。
鷲巣麻雀を冷静にゲームとして考察すると、あまりに運の要素が大きく、率直に言って命や大金をかけるギャンブルにはあまり向かないのだが、鷲巣巌という驚異的な運とピュアな心の持ち主が悪魔じみた戦略を駆使するアカギと戦うことで読みごたえのあるゲーム展開が描き出されている。
関係ないが、43枚しか見えない牌が存在しないので『天』の三色銀次(牌にもともと付いている傷でガンパイをする老人)ならツモられない限り無敵であると思われる。勿論鷲巣様はツモ和了りしてくれると信じているが。
特殊な牌を使うため再現したくてもなかなか出来ないゲームである。ただし、牌を積まなくて済むので初心者でも簡単に出来る麻雀であるとも言える。
一応公式のものとして鷲巣麻雀牌が売り出されているが、値段はとんでもなく高い。驚きのお値段はWEBで検索!
最近はパチモノだがゲームセンターの景品に入っている事もある。どんなに金を使っても公式の物よりは安くゲットできるだろう。パチモノだが…。
擬似的に鷲巣麻雀を再現する方法として、配牌時に全員が全ての手牌を開き、ツモってきた牌はオープンしないというものが挙げられる。これなら普通の麻雀牌さえあればプレイ出来る。