「もう絶対離さないから。もう絶対間違わないから」
概要
5巻にて初めてその存在が示唆された精霊と思しき謎の存在。なお〈ファントム〉とは初めてその存在が発覚した際、〈ラタトスク〉側が便宜上命名した識別名である。
輪郭があいまいでノイズにしか見えず『何か』としか形容しようのない姿(美九曰く存在そのものにモザイクが掛けられているような感じとの事)をしており、何だかの思惑があるらしく、言葉巧みに琴理や美九、さらには5年前に時間遡行して攻撃を仕掛けてきた折紙が自らに反逆することをわかっていながら語り掛け、“霊結晶”を渡し、精霊としての力を与えたり、精霊としての力を与えた琴理を使い何だかの実験を行う、狂三に精霊の力を宿した士道の情報を与え彼と接触するように仕向ける、など様々な場面で暗躍している。
そのほか5巻と6巻の間を描いたゲーム「凛祢ユートピア」のトゥルーエンディング(真エンド)にて、どこでもない空間で消えゆく凛祢に接触し「お疲れ様、あなたの役目は終わったわ」というセリフを彼女に投げかけている事から、彼女も何らかの形で〈ファントム〉の目的に協力(士道を死なせないように守ること?)していた可能性があるが詳細は不明である。
今の所、霊装や天使の能力などは一切不明だが、対象者の心の中や頭の中をのぞくことが出来るような描写や記憶の封印、そして常に自らの存在を隠蔽し続けているノイズ(障壁)をかけている、自身の姿を別の人物の姿に偽装するなど、その能力の一端らしきものを垣間見せており、その他、狂三に士道の能力の詳細を教えたり、彼女しか知らない〈刻々帝(ザフキエル)〉の【一二の弾(ユッド・ベート)】の力を知っていたり、〈凶禍楽園(エデン)〉が消滅したため、どこでもない空間で消えていき存在そのものが忘れ去られたはずの凛祢の記憶を保持していたり等々その正体及び目的には謎が多いが、少なくとも物語が始まる5年前に起きた折紙の両親の死について何だかの形で係っていることは確かなようで、士道はこの<ファントム>こそが折紙の両親を殺害した真犯人ではないかと疑っている。だがその真実は……。
折紙に禁断の果実である“霊結晶”を渡す際、誰にも悟られず渡していることから、どこか異空間に身を潜めている可能性が示唆されているが詳細は不明。
また、今までの少ない情報から推測するに、ウェストコットが仄めかしていた今まで物語で起きた事件の元凶となった存在の女性との関連性が疑われるが、現時点では不明。
5年前に時間遡行し、〈ファントム〉に攻撃をしかけた折紙によって剥ぎ取られたノイズの下は髪の長い少女の姿をしており、その声は折紙が知っている何者かである模様。
士道の事を知っているらしく、5年前に時間遡行した士道と【九の弾】を通して感覚共有していた狂三が接触した時には普段からは考えられないほどに狼狽し、自身の正体を隠すために仮の姿として園神凜祢の姿をとって彼と接触する。また、士道と別れるときに囁いた言葉は1巻で士道が気絶している時に語り掛けてきた謎の女性と同じものであった。
その発言から彼女の目的は何らかの理由で離別(死別?)してしまった士道(崇宮?)を取り戻すために暗躍している可能性が高いが原時点では不明。
ちなみに、ノイズの正体は自身の姿を隠蔽する障壁であった模様
なお、10巻で自身の願いを叶えるために、強大な精霊を産み出しているらしい事(そのため折紙が自分に反逆した時は驚きつつも歓迎しているような素振りを見せている)や何だかの理由で力を欲している女性たちに、人間に精霊の力を授ける禁断の果実たる“霊結晶”を渡しているようだが…?
更に12巻において精霊たちの事を自身の子供と称していた。
よってその正体や目的が判明するには話が進むのを待つしかない状態だが、少なくとも物語の重要な秘密を知っているのだけは間違いないようである。
正体の仮説
ファントムの正体の仮説として下の3種類が上げられている
1、上記の様に精霊たちの事を自身の子供と称している事や、士道が「(精霊化した折紙がやって来る前に)この場から消えてくれ」と頼んだ際、士道が狂三に頼まれて殺しに来たと勘違いした事から始原の精霊である可能性
2、自身の正体を隠している事や人間だった者に"霊結晶"を渡している事から生命の樹(セフィロトの樹)の隠されたセフィラであるダアトを司る精霊である可能性
3、崇宮であった頃の士道を知っている事から過去に士道を助けようとした「ミオ(アイン・ソフ・オウルの精霊)」である可能性
ただし、1、2にはこれらは以下の矛盾が生じている。
1、狂三がニ亜に始原の精霊の正体と力を調べさせた際にファントムについて何も言及していない点(ただし彼女の天使“囁告篇帙”は決して万能ではない(調べる対象が強大な力を持っていると容量オーバーを起こして文字化けが起きたような状態になる)ことや、本人がファントムの事を知らなかったこともあり“囁告篇帙”で調べなかった可能性もあり何とも言えない状態)。
2、セフィロトの樹に於いてダアトはすべてのセフィラの完全体・共有体である事や冠する数字が11である事からダアトに相当するのが全ての精霊を封印した士道(士を分解すると、十一となる)である可能性がある点。
が、第14巻において真那からミオの名前を聴いた士道が一時的に過去の記憶らしきものを取り戻した際の描写から、彼女こそがファントムにして始原の精霊その人=つまり仮設1の可能性が高くなっているが果たして…?