もこふと
もこふと
概要
東方Projectに登場する藤原妹紅と物部布都のカップリング。
両者は『東方深秘録』において出会っており、二人ならではの交流も描かれた。
二次創作では『深秘録』以前からも両者の相性の良さ、バックボーンに見る関連性などから様々な「ふともこ」が想像され続けており、『深秘録』での様子も受けてさらにその可能性が広がり続けている。
『東方深秘録』
『深秘録』では布都のルートで両者が出会っている。本作での二人の出会いはオカルトボール争奪戦に参加していた布都が迷いの竹林を訪れた際に妹紅に勝負を挑んだことに始まる。すでに多数の挑戦者をいなしていたようであった妹紅は、布都からの挑戦を受けて、気怠そうにしつつもこれに応じる。
その際、妹紅は自らを「 不死者 」と名乗っており、これに一度死を経験している布都が共感を寄せている。
妹紅はその言葉を聞くと、同じ体験を持つ仲間とあって熱も入った様子で、「 どっちが先に死ねるか 」という妹紅らしい切り口で布都との勝負を楽しんだ。
なお両者が対面した場所が迷いの竹林とあって、妹紅は当初布都を迷子と思っていたようであった。
実際に布都は案の定迷子になりかけるところであり、道案内を妹紅に頼むこととなる。
その後布都は妹紅の案内で無事迷いの竹林を脱したようである。
『深秘録』では妹紅は神霊廟も訪ねている(河城にとりルート)。
曰く「 道案内のついで 」に立ち寄ったとのことであり、神霊廟という場所との関連や物語の時系列からしてこのとき案内していたのは先述の布都の可能性もある。
妹紅は「 不死者はここに住んでいる 」として神霊廟にも興味を持った様子である。
この他対戦モードでは妹紅が布都が選んだ都市伝説であるお菊さんについて妹紅なりの切り口で言及したり、布都から妹紅に道案内を感謝する言葉があったりとこちらでも二人の交流が描かれている。
また対戦モードでは開幕時に共に背を向けた姿勢からスタートするモーションがある。
ただし正面(相手方向)に振り返ったあとのポーズの個性はそれぞれテイストが異なる。
炎
妹紅と布都の二人はともに「炎」を使用したり弾幕で表現したりしている。
妹紅の炎は長年の生活の中で身につけた妖術であり、それ自体を死と再生を伴う「不死」の象徴としても表現する。(<「リザレクション」他>)
布都は物部氏の伝承にある廃仏派としての側面と廃仏の手段である炎上焼却という点をスペルカードとして表現している(<炎符「廃仏の炎風」>や<炎符「桜井寺炎上」>等)。
また象徴としてのものだけでない炎によるスペルカード(<炎符「太乙真火」>や<「大火の改新」>)や炎弾も使用している。
加えて布都は幻想郷の仏教勢力である命蓮寺の焼き討ちを目論んだ(『東方心綺楼』、未遂)こともあったが、妹紅は実際に蓬莱山輝夜との闘いのなかで迷いの竹林を一部炎上させたと思しき様子が語られている(『東方文花帖』)など、今日にあっても炎とそれがもたらす騒動と縁がある。
デザイン
共に白から銀の髪色をもち、髪型のバリエーションには後ろにまとめたヘアスタイルをもつことも共通する。
例えば『深秘録』などではともにポニーテール状。
一方で服のカラーには共に上着に白を基調としたものもあるが、それ以外の服のカラーは妹紅は赤系統、布都は青系統であるという違いがある。
また布都は比較的上半身の服装が厚いが、妹紅は下半身の服装がもこもことした厚みをもつことが多い。
「藤原」と「物部」
妹紅と布都はいずれも日本史上に登場する豪族である「藤原」と「物部」の姓をもち、二次創作などでは各々の伝承との関連も考察されている。
例えば妹紅は輝夜などとの関係性から藤原不比等の娘、布都は豊聡耳神子などとの関係から布都姫または太媛との関連が想像されている。年代としては藤原不比等は7世紀中ごろから8世紀前半、布都姫または太媛の兄である物部守屋は6世紀後半の人物である。
不比等は藤原鎌足の次男にあたり、鎌足は蘇我入鹿ら蘇我氏滅亡に至る中心人物である。
一方の物部守屋は蘇我馬子(入鹿からは祖父の代にあたる)と政治的に激しく対立しており、血生臭い暗躍や具体的な衝突へと発展する。後の直接対決では馬子らに守屋が敗北し、守屋は戦死している。
妹紅と布都が関連すると思しき人物たちの活動した時代には隔たりがあるものの、政治的な流れの関係性は繋がっており、古代日本における歴史の流れの渦中にあった人物たちとして同様に豪族の一角であった蘇我氏も絡めた様々な因縁をもつのが「藤原」と「物部」であるのである。
ただしこれらの後世に伝えられた記述が、藤原氏が政治的実権を深くまで掌握して以後の時代に編纂されたことも注意点であると指摘するものもある。
二次創作では
二次創作では両者の様々な側面から様々な「もこふと」が想像されている。
例えば妹紅の面倒見の良さが暴走しがちな布都と相性良く見出されたり、時には二人の天然ボケ(時差ボケ)が調和と昇華へと至り思わぬ展開をもたらすなど二人のキャラクター性からは多様なアプローチが見出されている。
例えば天真爛漫元気いっぱいな布都とクールな妹紅の二人といった想像やともに世間ズレした二人などの想像はその一例である。
先述のような歴史的な部分から回顧的に古代ネタで会話できるのも二人の特徴の一つ。新しいものが苦手な布都も、自分が生きた時代とほぼ同じ時代も経験し、かつ人間である妹紅はとっつきやすいと想像するものもある。
時には炎を自在に操る妹紅に布都が感心し、完全防火処置を施された命蓮寺を今度こそ燃やし尽くすために炎上の師として教えを乞おうと思うなど「炎」という点を通した交流のありかたも想像されている。
『深秘録』の出会いでも語られたような「死」の体験者としての二人という点でアプローチするものもあり、神子に先立って死を受け入れた布都と自ら死を放棄し後に「 死ぬほど後悔 」(『東方儚月抄』)した体験も持つ妹紅の二人のシリアスなストーリーとして想像をつなぐ創作の在り方もある。
妹紅と布都の二人はそれぞれの時代を体験し、それぞれの在り方で今日の幻想郷に至った者たちである。
紆余曲折はあるものの今の幻想郷に馴染もうとし、この地での新たな「生」を過ごしている点がもこふとの二人にも共通する要素である。