プロフィール
| 名前 | Romulus |
|---|---|
| 綴り | ロムルス |
| 在位 | 紀元前753年–紀元前717年 |
| 生没年 | 紀元前771年-紀元前717年7月5日 |
概説
ロムルスとはローマの建国神話に登場するローマの建設者で、伝説上の王政ローマ建国の初代王である。レムスの双子の兄弟。とも呼ばれる。
ラテン人貴族の子としてアルバ・ロンガに生まれ、叔父アムリウスを倒して祖父ヌミトルをアルバ王に復位させるなど、様々な冒険を経てローマを建国した。最初の国王として元老院や軍団（レギオー）、七つの丘の城壁など古代ローマの根幹となる概念を整備した。
また勇敢な王として他のラテン都市やサビニ都市を征服して国を豊かにしたが、同時に強権的な王として元老院とは対立したという。
経歴
誕生
ラテン人貴族の都市国家アルバ・ロンガの血統を継ぐも、その出生は苦難に満ちている。
アルバ･ロンガには、ヌミトルとアムリウスという兄弟が後継者の資格を持ち、最終的にヌミトルが王位を、ヌアムリウスが先王の財産を継ぐことに決まった。
しかしアムリウスはヌミトルの王座さえ欲し、議会や軍を味方に付けてヌミトルを追放処分とし、彼の息子を処刑し、娘レア・シルウィアも神殿の巫女として出家させてしまう。
神殿での軟禁生活を余儀なくされたシルウェアだったが、その美しさから軍神アレスに見初められ、アレスと契りを交わして双子の男の子を授かる。
この双子こそ、ロムルスとレムスであった。
事実を知ったアムリウスは、シルウェアから双子を取り上げ、部下に殺すように命じる。しかし彼の部下も赤子を殺すのは忍びなく思い、密かに川に流して誤魔化すことにした。
アルバ戦争
我が子が川に流されたと知ったアレスは、急いで牝狼を遣わして双子を拾わせ、育ての親とさせた。
やがて双子は近くの羊飼いの夫婦に拾われ、逞しく育って羊飼いたちのリーダーとなった。
そして成人したある日、二つの軍隊の激突に巻き込まれ、弟レムスが優勢に戦っていた軍隊と諍いを起こして捕縛され、この騒動の中で自分たちがアルバ貴族の血を継ぐ人間であることを知る。
弟と祖父を救うべく、周辺の腕っ節の立つ羊飼いたちに召集を掛け、アムリウスの宮殿へと襲撃を掛けた。
これが「アルバ戦争」である。
激戦の末に兄弟はアムリウスを討ち取り、二つ軍の激突で捕縛されていたヌミトルを解放する。
ヌミトルは兄弟を後継者に推挙するも、兄弟は辞退し、自らの力で新たな国を創る夢を持つようになった。
ローマ建都
ロムルスとレムスはそれぞれに、パラティーノの丘とアウェンティウスの丘に城塞都市を計画する。
しかしここに来て、パラティーノとアウェンティウスのどちらが新王国の首都に相応しいかで議論となってしまう。
そこで二人は神々の采配に委ねることに決め、それぞれの丘に祭壇を設けた。するとレムスの祭壇に神の使いである鷲が6羽降り立ち、少し遅れてロムルスの祭壇に12羽の鷲が降り立った。
倍の鷲が降り立ったロムルスはパラティーノが首都に相応しいと確信して都市の建設を開始するも、この結果にレムスは納得出来ず、「先に祭壇に鷲が降り立ったのは自分だ」として譲ろうとしなかった。
それ以来、兄弟は口論を重ねるようになり、兄弟仲は悪化の一途を辿った。
そして遂にレムスはロムルスを挑発するために、国境として掘った外堀を飛び越えてみせ、この出過ぎた行為にロムルスも怒りを抑え切れず、両者は決闘にて雌雄を決するに至る。
結果、ロムルスが勝利するも、レムスは敗死してしまう。
望まぬ決闘で弟を亡くしたロムルスは、「堀を飛び越えんとする者に死を与えよ」神に祈願したという。
以降、ロムルスはパラティーノを始めとする七つの丘(ローマ七丘)に城塞を築き、ローマはそれぞれの丘を中心に次第に発展を遂げていく。
ロムルスはパラティーノの城塞都市を「ローマ」と命名した。
サビニ戦争
ローマ建設からしばらくの間、ロムルスは軍を率いてローマの防衛に奔走していく。
そうして打倒した諸国を併吞し、ローマはより強大に成長していった。
軍隊制度を整備し「レギオー」を制度化し、諸所の有力者たちを元老院の議員として登用し、内政の整備も進めていった。
しかしここに来て、ローマの深刻な女性人口の不足に悩まされることになる。
そこでロムルスは、祖父ヌミトルに打開策を尋ね、ヌミトルはローマ北東にいるラテン人と縁深いサビニ人を頼るよう提案する。
そこでロムルスはネプチューンの祭典にサビニ人たちを招待し、盛大にもてなすことで親睦を深めめ、サビニの女性たちを幾らか譲ってもらおうと画策する。
だがサビニ人たちは、新進気鋭のローマに警戒心を抱いて疑心暗鬼になり、この申し出を一方的に突っぱねてしまう。
この一方的な振る舞いがロムルスの逆鱗に触れてしまい、ローマ軍をサビニに攻め入らせてサビニの女性たちを略奪した上に、女性たちを未婚の兵士に嫁入りさせるという報復に打って出る。
これがきっかけで両者は戦争に突入する。「サビニ戦争」である。
四度に渡る戦いの末、ローマが勝利してサビニの地をローマへ併合させる。
戦争後、助命を乞うサビニ人への配慮として、サビニの都市国家で盟主であるクレス王の地位を安堵し、サビニの地の共同統治を許可した。また有力者たちを元老院に招き、議員に任命するなど厚遇した。
のちにサビニはローマに完全に併合されて北東の要害となり、サビニの出身者は名門の家柄を長く得ることになった。
天に還る
こうして様々な戦いを勝ち抜き、ローマの基盤を築いたロムルスだったが、在位から36年経ったある日、豪雨の中で忽然と姿を消してしまう。
それ以来、ロムルスの姿を見た者はなく、ロムルスは死したものと定められた。
一説には暗殺されたとも、天の神々がロムルスの使命が満了したと判断して風の神を遣わし、その身を天界に招いて神の一員として迎えたとも噂された。
後世の歴史家は、おおよそ暗殺説を支持している。
死後、ロムルスは「神祖」として崇拝され、神殿に祀られたという。
