概要
Damnatio Memoriae(ダムナティオ・メモリアエ)の訳だが、原義に沿った「記憶の断罪」といった訳語も使われる。
帝政期のローマで行われた、対象者の死後その名前や肖像を記録や碑文から抹消する罰。
死後長く人々に記憶されることを望んだ古代ローマの上流階級の人々は、あやふやな人間の記憶のみに頼らず書物や碑文、彫像といった形で自らの名前が残されることを非常に重要視した。
記憶の断罪はこうした当時の心性を前提として、政治的に失脚した人物や死後暴君として処断されたローマ皇帝に対して行われた。
その人物の痕跡を抹消することで処断するといった強烈なイメージからフィクションで採用されることもあるが、同様の例は他の時代・地域にも存在している。
ソビエト連邦のスターリンとともに映っていたニコライ・エジョフが消されている比較写真などはインターネットでも知られる著名な例だろう。