福本清三
ふくもとせいぞう
概要
1943年兵庫県出身。通称「5万回斬られた男」。
1959年に東映京都撮影所に入社し、台詞が覚えられないため大部屋俳優として数多くの時代劇に斬られ役として参加。現代劇でも、映画「仁義なき戦い」を始め、ヤクザ映画や刑事ドラマに多数出演している。「仁義なき戦い~広島死闘篇」ではチンピラとして登場し、「膝を落とした状態で撃たれ、一回転して倒れる」と言う超人的なやられシーンを演じている。
下記イラストのように、斬られた際に一瞬の溜めを置いてからのけぞって倒れる「海老反り」が特徴的で、
時代劇マニアの間では知る人ぞ知る存在だったが、1990年代あたりから徐々に名が知られるようになり、2003年の映画「ラストサムライ」でトム・クルーズと競演するに至り、一気に脚光を浴びた。その後、NHKで特集が組まれたり、NHKの時代劇で福本演じる悪役が主演の回があったりした後、2014年にはキャリアで初の主演作となる映画「太秦ライムライト」が公開された。
「たとえ華やかな仕事でなくても、真面目にコツコツと働いていれば、いつかは評価される」ことの代名詞として福本の名前を挙げる評論家や教育関係者もおり、教科書で目にした人も多いと思われる。
浪人姿
今や彼のトレードマークというべき浪人姿は一目でわかるほどであり、ファンからの愛称は「先生」が定着したぐらいである。
絶妙な痩せ具合、メイクによる眼光の鋭さがいかにもなアウトロー感と凄みを醸し出しているのはまさに彼のキャリアと斬られ役の美学の賜物である。
「刀を握る事は相手を殺す事、殺気を込めて演技する事が大事」の名言もある。
「ラストサムライ」において
一躍脚光を浴びる切っ掛けとなった「ラストサムライ」では、寡黙な名も無きサムライ(エンドクレジットでは「Silent samurai」という役名)を好演した。
役どころとしては、トム・クルーズ演じる主人公ネイサン・オールグレンの護衛兼監視役として彼の傍に控える無口な老侍といったポジションであり、役柄の関係上、出番も見せ場も過去作とは比べ物にならないぐらい多い。
本作における彼は不平士族…現代風に言えば反政府勢力の一員であるため、いつもの浪人姿ではなく、眼光の鋭さといったアウトロー感も控えめである(本作での彼は、どちらかと言うと穏やかで泰然とした人物を演じている)が、いざ戦闘となると数々の修羅場をくぐり抜けてきたであろう風格を見せ、まさしく「手練れ」と表現するに相応しいサムライ像を演じている。
加えて、最後のシーンではこれまで培ってきた斬られ役としての本領を発揮(ちなみに、この時一言だけセリフを喋っている)。
セリフは少なくとも、その姿とアクションで見事にその存在感を魅せつけた。