機動戦士ガンダムに登場する巨大モビルアーマーである。
概要
元々はジオン軍による連邦軍本部ジャブロー攻略用兵器として開発されている。一年戦争末期の連邦軍による宇宙要塞ソロモン攻略作戦(チェンバロ作戦)の終盤戦において初めて実戦投入された。
ソロモン攻略戦前にソロモン司令官ドズル・ザビが兄である総帥ギレン・ザビに援軍要請をして送られた唯一の機動兵器であった。当初ドズルは「ドムの10機を寄こせ」と不満の声を上げたが、それでも完成を急がせて、自らが乗りこんだ。
性能
一度に数隻の戦艦を撃沈させる大型メガ粒子砲などの攻撃力と、戦艦クラスの主砲のビームを跳ね返すバリアを持った防御力をもつまさに超兵器であったが、反面宇宙空間における冷却性能に難があり、その稼働時間は15分ないし20分も持たないとされていた。
搭乗員は3人だったが、操縦系を切り替えることで1人でも運用することができる。
なお前述のようにドズルは「ビグザムよりドムの10機を寄こせ」とビグザムを軽視した発言をしているが、軍指揮官としては戦術より戦略を重視したまっとうな発言であり、そもそもジャブロー攻略戦用で開発されたビグザムのような兵器を要塞防衛戦の援軍として寄こすこと自体が運用的に間違っており(戦局の悪化でジャブロー攻略が不可能になりつつあった中での、事実上の廃棄処分とも言える)、ザビ家の兄弟間の政治的な確執が産んだ結果となっている。
作内における活躍
ソーラ・システムによってソロモンに多大な被害を被り、指揮官のドズルはソロモンの水際でせん滅する作戦に切り替え、自らもビグザムに搭乗し戦線に参加する。ソロモン内に侵入したGMやボールを大型メガ粒子砲でドロドロに溶かすほどに圧倒する。その後戦局の打開をはかって主力艦隊に攻撃をしかけるものの、再度のソーラ・システムの照射で被害を被り、ここへ来てドズルは要塞を放棄、味方を逃がすための盾となり、主力艦隊に特攻する。
アムロ・レイにして「圧倒的だ」、ドズルにして「量産の暁には連邦などあっと言う間に叩いてみせる」と言わしめた攻撃力で、ソロモン攻略部隊指揮官ティアンムが乗るマゼラン艦を含む多数の艦艇、多くのMSを沈めるが、近距離からの攻撃に弱いと見抜いたスレッガー・ロウとアムロの攻撃でスレッガーを戦死させるものの、アムロのガンダムによってビームサーベルを機体に刺されて撃破され、ドズルも咆哮を挙げながら戦死する。
ビグザムの名を冠した兵器はそれ以降(外伝や漫画作品を除いて)は登場していない。漫画『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』では8機のビグザムが登場し、「ビグザム量産の暁には」を実現させている(コミック作者インタビューより)。