君主制に対して人民が権力を有する政治制度を指す。
古代ローマの"Res Publica"が語源でラテン語で「公共のこと」を意味する。
日本語ではこの政治体制を共和政、これをとる国を共和国、この政治思想を共和主義と呼ぶが英語では"republic"の一語で表される。
似た語に民主制があるがこちらは古代ギリシアに由来し民衆が権力を有する政体を指す。古代人にとって民衆全体が公平に政治的権利を有するものが民主制と理解されていたのに対し、共和制は君主を頂いておらず国家が人民により運営されているものを指した。つまりは平民の意見がある程度反映される限り貴族政も共和政であり、事実「共和政ローマ」の政治体制は実質的には貴族政であるし、中世から近世にかけて共和国を名乗っていたフィレンツェも寡頭制によって運営されていた。
現代においては立憲君主制のように君主の政治権限が制約を受け政治的決定権が国民に存在する政治体制も民主制の枠組みに入れられるのに対して、共和政は君主の不在を前提とする。ゆえに共和政は民主制より「よりラディカル」であるとの理解があるしまたそれは一面正しくはあるのだが、過去の歴史においては貴族政、寡頭制も許す共和政の方が民主制よりも穏健であるとみなされていた。