概要
テュフォン(リゼロ)とは長月達平の小説「Re:ゼロから始める異世界生活」に登場するキャラクターである。既に故人。
プロフィール
出演作品 | Re:ゼロから始める異世界生活 |
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性別 | 女性 |
誕生日 | 不明 |
出身地 | 不明 |
身長 | 不明 |
体重 | 不明 |
特技 | アクニン裁き |
好きなもの | 不明(基本的には一般的な少女と同一?) |
嫌いなもの | (おそらく)アクニン |
人物
非情に無邪気な少女。無垢の体現。基本的に物事を「善」と「悪」に分けて考える。そこに中間などありはしない。ただ人々を「裁く」少女。幼いがゆえに妥協と諦めを知らぬもの。「怠惰の魔女」セクメトとは母と子のような関係(血縁関係は一切ないと思われる)。いわく、「他人の痛みがわからない子」。
濃い緑髪を肩口で揃えて、リンゴのように赤い頬をした少女。褐色の肌に白のワンピースのような服装が可憐に似合っていて、童女らしい愛らしさを周囲に惜しげもなく振りまいている。髪に留めた青い花を模した髪留めが特徴的。
他者の名前の下2文字をとって呼ぶ(例、ナツキ・スバル→バル)。また、セクメトの体を定期的に拭いている。
経歴
元はただの少女だったが父親の教育が盛大に失敗した結果がこれ。
――女、一人の女がいた。
女、と呼ぶことを躊躇するほど、まだ幼い女だ。
痩せた体に粗末な服、日に焼けた褐色の肌に緑の髪。
童女と呼ばれるような年代の女は、しかし尽きぬ悩みに心を支配されていた。
それは決して答えの出ない、女にとっては生まれながらの命題であった。
「――――」
延々と頭を悩ませ続け、尽きることのない至上の命題。
それは世に存在する理、その白と黒――即ち、善と悪にあった。
正しきこと、誤った行い。
世に無数の選択肢があれど、全ての行いには両極いずれかの評価が下される。
まだ童女であった女には、その理に悩み続ける理由があった。必然があった。
女の世界を白と黒、善と悪、善因と悪因、二つに割ったのは女の父だ。
「――――」
女の父は罪人の首を刎ね、咎に相応しい罰を下す行いを生業としていた。
罪を犯した罪人に、罪に相応しい罰を、人生の最期を与えることが父の生業。
「――処刑人」
そう呼ばれる父の所業を、処刑場の在り方を、女は幼い日より目にしてきた。
おぞましき残酷な行い、落命する咎人の断末魔、血と死に支配された処刑場。
――そこで女に『死』を見せ続けたのは、他でもない女の父親の意思だ。
犯した罪に罰が与えられ、悪果には悪果で以て報いがある。
世に存在する善悪の、己が処刑人として信じる在り方を、父は女に伝えようとした。
父の意思は崇高なものであり、高潔な思想に違いなかった。
だが、女の幼さを思えばそれは独りよがりであり、理想を求めるには早すぎた。
女は幾人もの死を見届け、血の香りを嗅ぎ、罪人が罰されるのを焼き付けた。
結果、女は命の尊さを、人の死生の理を学ぶ以前に、罪に相応しき罰を学んだ。
善行が善因を生み、悪行が悪因を呼び、罪人の魂は罰に相応しく穢れてゆく。
父の教えをそう理解し、女は『罪に相応しき罰』の在り方を欲する。そのための指針となり得るものを、悪業を悪と定める善の天秤を求めた。
「――――」
しかし、女の求める天秤は、女の探し求めた範囲に存在しない。
事の善悪に単純な答えはなく、正誤は、罪と罰は、多くの要素に左右される。
「――――」
だが、まだ幼く、妥協と諦めを知らぬ女は止まらない。
答えを得なければならない。善悪に相応しき天秤を心に宿さなければならない。
消えない胸の内の問いかけに、答えを差し出さなければならない。
「――――」
懊悩する日々が続き、しかし答えが天の恵みのように授けられたのは突然だ。
父の酒杯を割り、女は自らの犯した罪に大いに怯えた。
あるいは首を落とされることすら覚悟して、女は己の罪を父に告白した。
「――自分の間違いを打ち明け、謝ったことは正しい」
女の父は過失を許し、笑みすら浮かべて女に言った。
その父の微笑みと頭を撫でられる掌の感触に、幼い女は理解した。
――犯した罪を計る天秤は他でもない、罪人自身の心の内にあるのだ。
たとえ誰が見ていなくとも、罪人の罪は己の心が知っている。
善悪は、わからない。難しい。正誤は、確実な指針がない。見つからない。
しかし、罪の意識は己の中にある。
罪に相応しい罰の基準はない。だが、罰に相応しい罪の意識は己の中にある。
女は理解した、満足した、天秤をようやく手に入れた。
幼い女は命の尊さを、人の死生の理を知らぬまま、罰に相応しき罪を暴いた。
「――――」
処刑人の父を見習い、罪に相応しき罰を下すため、女は日の下に歩き出す。
罰されるに値する罪人の、その心を暴くために。
「――――」
それは善悪を、正誤を、実と不実を二分にする、女にとっての人生の集大成。
幼い女の問いかけに、ある者は笑い、ある者は困り、ある者は戸惑う。
だが、女の問いかけに答えた結果は、全員が同じだ。
――罰に相応しき罪は、己の心の中にある。
周りを見る。誰もいない。ここにはもう、罰を受けた罪人しかいない。
粉々に砕け散った破片の人々と、最後に父の破片を踏み越えて、女は自分に与えられた宿願を果たすために、罰に相応しい罪を求めて歩き出す。
――『傲慢の魔女』は罪を問い、罰を与え、罪人を裁き続けた。
(Re:ゼロから始める異世界生活 第六章23『三層タイゲタの書庫評』より)
能力
上記の経歴を見ればだいたいわかるだろうが、彼女の能力は他人を「裁く」ものではなく自身で自身を「裁かせる」ものと、相手が「アクニン」(悪人のことと思われる)かどうかを判定するものが確認されている。
ツミハタダイタミニヨッテノミアガナワレル
相手の肉体を「欠損」させる(欠損させる範囲は選択可能?)。この時、能力対象は体のどこかをちぎられる(世界から消滅したりするわけではなくテュフォンがちぎる。接合可能?)。その対象が「アクニン」であった場合は痛覚が発生し、そうでない場合はちぎられたことにすら気づけないほど違和感がない。
トガハクサビトナッテケッシテノガサズ
対象が「罪の意識」を持っていた場合その効果は発揮される。具体的には体が砕ける、物理的に。この能力を使って彼女は出会った人すべてを「裁かせて」いた。多分効かないのは大罪司教くらいではないだろうか。