概要
精神力のひときわ強い人間が亡くなると、その霊魂が魔物の魔力と結びついて本種に変じることがある。
同じく人から変じたゴーストと異なり、誕生時から実体化に必要な魔力と能力を備える。
夫を得た原種のゴーストが性交渉を重ね魔力を蓄積することで変化することもある。
ゴーストはぼんやりとした思考の中で抱いた性的な「妄想」を獲物となる男性と注入するが、ファントムの場合その妄想の際にも思考は明確であり、妄想の中身もまた具体的で、戯曲のように筋書きを備えた物語となっている。結末はもちろん……
物語を頭に直接注入された男性と注入したファントムの思考は接続され、相手の精神の中で空想と現実の狭間は曖昧となり、ファントムたちの筋書き通りに恋愛劇を繰り広げることになる。
ファントムの力が大きい場合、ターゲットだけでなく周囲の人間も物語に取り込まれ登場人物として振る舞ってしまうこともある。
そうして物語の上演を終えた男性の中では演じられた劇中の様が実感を持った思い出として引き継がれる、そのため終了後もそこに引き込んだファントムを運命の相手としか思えなくなる。
役に入り込む傾向があるのか、ファントムたちは普段から芝居がかった所作や話し方をする。アンデッドたちの魔界「不死者の国」においては芸術文化が重んじられており、ファントムたちはしばしば他種のアンデッドたちとも組んだ「男優のいない劇団」を結成し、「不死者の国」各地に設営された「劇場」で共演者となる男性を待ち続けている。