1872年に米国Colt's Manufacturing Companyより開発された
金属薬莢式ソリッドフレームリボルバーの呼称である
「シングル・アクション・アーミー」の略称。
別名として「ピースメーカー」や「イコライザー」といわれることも有る。
デザイン
強度面に於いてレミントンの後塵を拝し、
金属薬莢専用設計に於いてはS&Wの後塵を拝する形だった
パーカッション時代のオープントップ・前後分離型のフレームが
背骨となるフレームトップを有する銃身と機関部が一体の
ソリッドフレームとされ、機関部強度が向上している。
トリガー・ハンマー関連機関部のデザインはウォーカー・ドラグーン時代と
ほぼ同一の物であり、寸法の類似する1851NAVY以降のパーカッションリボルバーの場合
一部部品が流用できることもある。
ハンマースクリューを延長することでストックを取り付けるモデルや
バックストラップ自体をストックに置き換えたカービンモデルも存在する。
前から見た銃身左下にはエジェクター・ロッドが備えられ
ハンマーをハーフコック・ポジションにすることでローディングゲートより
空薬莢を押し出して排莢する構造。
この構造の為、一度撃ち尽くすと再装填に時間がかかるという欠点が有る。
無煙火薬が一般化しつつある1890年前期にシリンダーベースピンストップスクリューを
横配置にしたものが製造され、1896年以降の製造モデルではほぼ全てが此方に置き換えられた。
ワンタッチでベースピンを取り出してシリンダーを着脱できる為、
旧型よりも再装填速度を上げることに繋がったが、
S&W Model1899ハンドイジェクターの出現により、
再装填性の面に於いて再び後塵を拝する格好となってしまう。
サイト(照準器)はフロントが背の高いブレード、リアが1st前中期でVノッチ、
それ以降がスクウェアノッチであるが、特注品や軍再生品等のイレギュラーも多数存在する為
明確に区切るのは不可能といわれている。
銃身バリエーション
口径は主な物で45LCのほか、44-40、38と40種類近くのバリエーションが有る。
銃身長で様々な呼称があるが、当初製造(1873年)は7 1/2インチ軍用モデルのみであり
当時より現存しているSAAの大半も7 1/2インチモデルや5 1/2が多い。
アーティラリー(5 1/2)と言った銃身バリエーションは民間発売(1875年)以降作られた物であり、
有名なシビリアン(4 1/2) は1879年から製造されている。
アーティラリー、キャバルリー、シビリアンと付けられた呼称は
後から付けられた便宜的な呼称であり、アメリカ本国では上手く伝わらないこともある。
創作におけるSAA
マカロニウエスタンやゲーム漫画アニメ等で引き合いに出されることが多く、
西部劇題材のものではほぼ必ず出てくるアイテムだが
考証に拘った作品以外では西部開拓終了以降製造の2nd~4thモデルの
シビリアン(4 1/2)が使われることが多い。
2nd以降のSAAモデルガンが一般的な日本国内の作品では特にそれが顕著で
明確に時代背景を銘打った物でも20世紀以降生産のものが用いられていたりする。
実際のワイルドウエストに於いても、貧乏な一般市民や開拓者の間では高価なSAAよりも
広く出回った旧型のパーカッションを金属薬莢仕様にコンバージョンしたものや
パーカッションリボルバーをそのまま使用することも多かったとも言われている。
他社による現代派生型
SAAのソリッドフレームは強力な拳銃弾薬に最適なプラットホームであり
COLTのパテントが失効した現代に於いてはほぼ同じデザインの
大口径モデルが多く製造されて人気を博している。
現代モデルはPL法の手前、トランスファーハンマー等で安全性を高めた物が多い。
その中でも有名な物が以下となる。
Sturm,Ruger製品
ブラックホーク:
SAAの基本デザインを元に357マグナム仕様に改設計したソリッドフレームリボルバー。
SAAよりもフレームが肉厚であり、必要以上のエキストラ強度を持つ。
スーパーブラックホーク:
ブラックホークをスケールアップして44マグナム仕様にしたもの。
レトロなスクウェアトリガーガードが特徴となり、大きな人気を呼んだ。
ブラックホークと同じく大変頑丈では有るがユーザーの不注意に起因した暴発事故により
製造者責任裁判を起こされて敗訴、現代ソリッドフレームリボルバーの多くに
トランスファーハンマーが導入される契機にもなった。
バケロ:
上記のモデルを元祖SAAの形態にシェイプしたSAA復刻モデル。
英語読みでバッケェロやバッキャロ、バクエロなどと呼ばれることもある。
本家と同じくいずれも口径バリエーションが多く、記念モデルも多く作られている。
Freedom Arms製品
Model83:
454 Casullのリボルバーで一躍有名になったFreedom Armsの看板商品。
最大.500WE口径から最小.22LR迄の口径バリエーションが存在。
スーパーブラックホークよりも更に頑丈になるよう設計されている。
フレーム各部を極限まで肉厚にし.40以上の口径モデルではシリンダー弾数を
5発に減らすことでシリンダーの肉厚を稼いでいる為、
ブラックホーク以上の強靭さを持っている。
Model97:
.45LC~.17HMRまでの口径バリエーション上位機種モデル。
関連イラスト
関連タグ
オセロット(リボルバー・オセロット MGSシリーズより)
本銃を愛用するキャラクター。「世界で最も高貴な銃だ」