方相氏
ほうそうし
古代中国の伝承に登場する鬼神。追儺式(ついなしき・・・鬼やらい)の時に先陣を務める異形の神。
方相氏とは、大晦日や節分に行われる追儺(ついな)式、即ち鬼やらいの時に魔や鬼を払う為に出てくる神様、或いはその神様に扮装する役目の人々の呼称である。また、天皇・親王・太政大臣の葬送の際には棺を載せた車の先導をも務めた。
黄金で出来た四つ目の仮面を被り、玄衣(黒い衣)に朱の裳(もすそ)を着用し、手には鬼を斬る大きな刀や矛・盾を持ち、疫鬼等を追い払う。
後に日本にも伝来され、所謂「節分の鬼」の伝承の元となったと言われる(つまり、鬼を払う立場から自ら払われる立場に零落したと言う事になる)。古代史家の三宅和朗氏はこの変化について「平安初期における触穢信仰の高まりが、葬送儀礼にも深く関わっていた方相氏に対する忌避感を強め、穢れとして追われる側に変化させたのではないか」と言う説を提唱している。