概要
本来は企業や組織で特定の人物が高齢化しても独裁的な実権を握りつづける事により、経営戦略や政策が勘違いした方向に脱線してしまう現象をこう呼んでいた。
しかし、他人の意見を聞かず実害を及ぼす傲慢な高齢者に対する言葉としても使われている。
実際、人間は40代辺りから前頭葉の働きが衰え始め、脳のブレーキ(≒自制心)が効きにくくなる事で怒りが収まらなかったり柔軟性がなくなったりし始める(年を取ると涙もろくなるのもこのため)。
ただ、単純に高齢化したからと言ってすべての人間が老害になってしまうのではなく、様々な外部の情報を自らの中に取り込んでいながら活用する事を放棄してしまった全ての人に該当する事象である。年老いてからも幅広く有効な意見を聞き取ることができ、周囲の状況に対して柔軟に対応できる人間に対して老害は該当しない。
また、情報格差も大きく、IT機器を自在に使いこなす世代と比べて最新の情報を取得しづらい状況にあり、時代の流れに対して完全に取り残されてしまっている部分も大きい。
とはいえ若年でも容易にこの現象が既に発生しているために、現在ではその定義はやや広くなっている。更に、高齢者に対する憎悪感情も前述した理由から年々高まっており、別件としてレッテル貼りとしての用法もあるため、複雑なこれらの事情が老害という言葉の定義を難しくしている要因にもなっている。
ネット上における用法
本来の原義は「組織が老いていく事によって生じた害」なので、あくまで「若返りが阻まれている状態」を意味する用語であり、高齢者・老人への差別的な意味合いは一切ない。
ところが、pixivでの用法は「若者達に暴言を吐く」「自己の利益や満足の為に社会を脅かす」ような老人を皮肉るイラストに付けられる等、ネット上では「過去の栄光に縋る哀れな高齢者」「反社会的・横暴(横柄)な老人」といった、原義とは大きく異なる意味合いで使用され、今や高齢者に対する差別用語として定着している。
この場合、老害とは悪質な老人による社会的な弊害、及び害の原因となっている高齢者そのものの事であり、原義の「老害」とはそもそもの意味合いが異なる(此方の用法は害虫を虫害と呼ぶようなものである)。
このような誤用が広まった背景として、この老害は「公害」と「老人」の合成語であり、元々の「老害」とは出自からして無関係であるからという説もある。
サブカルチャー層における老害
先のように、ある人が「老害」になってしまう原因としてジェネレーションギャップの存在は大きい。そのため、先述のように極端な例を含めても0とは言いきれない。例えば、あなたが何らかのシリーズ作品のファンだとしよう。そのシリーズが長年に渡って続いていると必ずファンに世代の差が生まれる。その場合に最新の作品批判をいわゆる「古参」が始めると初期世代と現在の世代で諍いが起きる。
つまり、これが新しい(若い)世代のファンからすれば古参は老害となるわけである。いずれにせよ、新しい者ができる度にこのような事が繰り返されるわけである。どの作品とは言わないが、既に最初の実害も発生してから十年以上経過しており、現象としては既知のものである。
その為、老害という言葉は無闇に乱用するといずれ自分に返ってくるのである。気を付けよう。