沸点が30~220℃の石油製品の総称で炭素数4~10の炭化水素。そのうち低沸点(30~120℃)のものをベンジンという。製品にする際は不純物として含まれている硫黄や窒化物を取り除く。
名前の由来
"gas"とアルコールやフェノール類の接尾辞である"ol"と不飽和炭化水素の接尾辞である"ine"をつなげた語。
用途
- 燃料。(自動車用は着色してある)
- 混合燃料(刈払機など簡易な構造を持つエンジン用に潤滑油を混ぜた燃料)
- 油脂汚れ用の溶剤
燃料として燃やす場合、1g燃焼させるのに空気が14.7g必要になる。(理論空燃比)
この燃焼が最も理想的なので、自動車メーカーはこの比率に近づけるように日夜工夫している。
使用上の注意
非常に揮発しやすく、空気より重いため、密室などでは揮発したガソリンが滞留しやすくしかも-40℃でも引火するため、不用意に取り扱うと広範囲に燃え広がる。そのため、密室や近くに火気のある場所では扱わないこと。
燃料としての違い
自動車用
- 低温でも気化してエンジン始動ができること。
- 高温でも沸騰しないこと。
- 腐食性がないこと。
航空機用
- 適度の気化性をもつこと
- 高いアンチノック性をもつこと
- 高い発熱量をもつこと
- 腐食性がないこと
- 耐寒性に富むこと
- 安定性が高いこと
ちなみに、自動車用は無鉛ガソリンだが航空機用は有鉛ガソリンなので間違えて入れるとエンジンや排気系統の故障の原因になるので注意。また、有鉛ガソリン内の鉛化合物は毒性が高いので無闇に触れたり、航空機用ガソリン蒸気を吸引しないように注意が必要。
自動車用のガソリンについての違い
国内ではハイオクガソリンとレギュラーガソリンの2種類があるが、これらは要はノッキングの起こりやすさの違い。
ハイオクガソリンではメチルtert-ブチルエーテルやエチルtert-ブチルエーテルなどの混合により耐ノック性を上げている。航空機用ガソリンや、かつての自動車用は有機鉛化合物を使用していたが、現在は自動車用には使われていない。
スポーツカーなどに採用される高圧縮比のガソリンエンジンや、ターボつきガソリンエンジン、外車のガソリンエンジンのうち使用ガソリンのオクタン価が国内基準で見た場合にハイオクガソリンに該当するものはハイオクガソリンが指定される。
近年の自動車ではハイオク指定車にレギュラーガソリンを入れても電子装置の制御により異常燃焼による故障をしないようになっており、またレギュラー指定車にハイオクガソリンを入れても燃料の耐ノック性が高く異常な燃焼をすること自体ないが、メーカー指定燃料ではない上に本来の性能も出ないのでお勧めはしない。万一のときの「救済措置」程度と思ったほうがよい。
税金
航空機の場合
購入時: 消費税
購入後: 航空機燃料税
実質的には購入時に航空機燃料税申告の書類がないと売ってくれない。
自動車の場合
販売店: 揮発油税×2+地方揮発油税
購入者: 販売店での売値の消費税
自動車用ガソリンの場合租税特別措置法により揮発油税は「倍」になる。
揮発油税と地方揮発油税の法律上の負担者と消費税の法律上の負担者はことなるため、二重課税に見えても二重課税ではないそうである。「何でだよゴルァ!」と思う方も多いであろうが、そうなのであるそうだ…。
揮発油税より航空機燃料税のほうが高額だが租税特別措置法による2倍掛けにより実際は航空機のほうが安価である。だからといって航空機用のガソリンを自動車に入れるとエンジンが故障する上に警察のお世話になる羽目になるので行ってはいけない。
特殊用途
爆発効果
ガソリンを火薬で起爆すると派手に爆炎を上げる。俗に言うナパームという特殊効果。近くに演技者がいる場合は火のついたガソリンが付着して酷い火傷を負う危険性があるのでプロパンガスなどで代用する。
撮影そのものが危険なことと、権利を盾にクレームをつけることしか能のない団体が文句をつけるので最近はめっきりこの効果の出番が減った。が、CGでは本物の爆発のような迫力のある効果はまだまだ出せないので、合成用に爆発だけ撮影しておき後で合成するという方法が用いられることがある。
焼夷剤
粗製ガソリン(ナフサ)に増粘剤を加えてゲル化したもの。高温で燃え(900~1300℃)容易には落ちないため、人体や木材に付着すると大きな被害を与える。しかもその周囲では酸欠による窒息死または一酸化炭素中毒死する危険性がある。消火には界面活性剤入りの水かガソリン用消火器が必要。
オイルライター
燃料に粗製ガソリンのうち沸点の高い重質ナフサが使われている。