野生のニホンザルが日本一多く生息している大分県大分市の観光名所。
正式名は高崎山自然動物園。別大国道を挟んでうみたまごと隣接する。
高崎山の伝説のボス・ベンツ
かつて高崎山には一頭の名を馳せた大物のボスザルがいた。
高崎山には三つの猿の群れ「A群」「B群」「C群」が存在し、その中の「B群」において1987年に9歳のオスザルがαオスすなわちボスザルとなった。
ところが、1990年に「C群」のメスザルを追いかけて「B群」から離れてしまいボスザルの座を追われ、そのまま「C群」に移る。2000年には群れの最下位からナンバー2に成り上がり、2001年-2002年の当時最大の群れだった「A群」との抗争に率先として立ち向かい若猿達の士気も高めた故に抗争に勝ち、高崎山の餌場に「A群」が現れなくなる程の影響力を持った。
2011年、それまで「C群」最長在任のボスザル「ゾロ」の後を継いで「C群」のボスに君臨する。この時33歳。人間でいえば100歳以上の高齢である。「B群」「C群」の二つの群れでボスの座に就いたサルは高崎山では観察下では前例の無いボスザルであり、また貫禄ある容貌から高級車のメルセデス・ベンツにあやかり「ベンツ」と名付けられていた。
武勇伝からもわかる通り気性は荒いが、群れのサル達からは揉め事の間に立って裁定する等人望(猿望?)が高かったという。
2013年9月14日に突如群れから離れて失踪。10月1日に高崎山から6km離れた大分市内で発見され、無事に群れに戻された。群れから離れた事で高齢でもある事から復帰が不安視されたが、無事に受け入れられていた。
しかし、同年12月16日に再び姿を消す。二度目の失踪は何回かの捜索でも発見できず、失踪から1ヶ月後の2017年に園の規定によりベンツの死亡と認定された。結局、彼は死体すら見つからなかった。
伝説のボス・ベンツは颯爽と高崎山から現れ、風のように高崎山に消えた生涯であったといえる。
後継のC群ボスザルはベンツの側近・ゾロメが継いだ(2018年に死亡)。このゾロメはベンツが失踪後に復帰しても変わらぬ忠誠を持っており、オスザルでは珍しく物腰が柔らかな穏やかな性格であり母親を失った子ザルの面倒を見ていた事もあったというこれまたサルにも人にも一目置かれた存在であった。
現在、園内には在りし日のベンツを称えて園内にはベンツの像が建立されている。
そして高崎山の名誉ボスザルの称号が与えられ名実共に高崎山の伝説のボスザルとなったのである。
高崎山の三大ボスザル
- ジュピター:日本において初めてボスザルと呼ばれた高崎山のニホンザル。
- ベンツ:上記の通り二つの群れでボスとなった武勇伝と生き様により伝説のボスザルとなった。
- ゾロメ:ベンツの死後のC群ボスを継いだ。ベンツがナンバー2だった頃のC群のボスザル「ゾロ」の弟であり、兄弟揃ってC群ボスザルになった。ベンツへの忠義心と彼とは一味違った穏健派のボスザル。メスからかなりモテていたらしく、ゾロメの子供が現在複数いるのではないかとされている。