概要
裸子植物の一種でソテツ類に属する。
なおソテツ類で日本に自生しているのは本種のみ。
木全体の見た目はヤシに似ているが、分類上は似ても似つかない。
若芽の形など、むしろシダに似ている。
雌雄異株で雄花と雌花が別々に咲く。
雌花は葉を縮めたような雌しべが珠状に集まっている。
雄花はバットのような形に集まっている。
種子植物では珍しく精子を作る(他にイチョウも作る)。
主に南西諸島や中国南部などといった亜熱帯地域に多く分布し、海岸近くに生育することが多い。
フェニックスやヤシのように南国を連想する植物のためか、沖縄県などの主要都市には大量に植えられている。
枯れた木に鉄釘を打ち込むと、蘇るという伝承から蘇鉄。即ちソテツという名前が付けられるようになったという説がある。
実際には幹が痛むだけで、やっても何の効果もない。
根粒に藍藻類を共生させているため、痩せ地でも植栽が可能。
学校の校庭などでソテツが植栽されていた人も多いことだろう。
幹が太く、濃緑色の硬い羽根状複葉を持ち先端が肌に刺さると痛みを覚える。
一応種子は食べられると言えば食べられるのではあるが、有毒であるため、直で食べるのは非常に危険。
皮を剥ぎ、時間をかけて充分に水に晒し、発酵させ、乾燥するなどの処理をする必要がある。
沖縄県などの南西諸島では飢饉の際にソテツを食べて飢えを凌いだ結果、毒により苦しんだという伝承がある。
これが俗に言う『ソテツ地獄』というヤツである。
しかし、上手く利用すれば貴重な澱粉源でもあるため、そこは付き合い方次第ということだろう。
また中国では漢方薬として葉・種子・茎・花・根が使われ、胃痛や解毒に効果があると言われているが、この手の薬品には言えることだが効果が保証されていない上に、副作用が表れた際には責任が取れないため使用はおすすめできない。
ちなみにあんまり知られてないが準絶滅危惧種だったりする。