概要
今村昌弘氏のデビュー作にして、第27回鮎川哲也賞受賞作。また、『剣崎比留子シリーズ』1作目にも当たる。
2017年月に東京創元社より刊行され、『このミステリーがすごい! 2018年版』国内編、〈週刊文春〉2017年ミステリーベスト10/国内部門、第1位『2018本格ミステリ・ベスト10』国内篇で3冠を達成、さらに第18回本格ミステリ大賞〔小説部門〕fを受賞し話題作となった。
あらすじ
神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、いわくつきの映画研究会の夏合宿に参加するため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション『紫湛荘』を訪れる。合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。
緊張と混乱の一夜が明け――。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった。究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は事件の解明に挑む。
登場人物紹介
神紅大学ミステリ愛好会
葉村 譲 はむら ゆずる)
経済学部1回生。ミステリ愛好会会員。
当初はミステリ研究会に入るつもりだったが、部員たちからミステリに対する情熱が感じられず入部を躊躇していたところに、真のミステリ好きである明智に誘われて、学校非公認のミステリ愛好会に入会。入会後に会員は明智と自分の2人だけだと知る。
明智 恭介 (あけち きょうすけ)
理学部3回生。ミステリ愛好会会長。「神紅のホームズ」。リムレス眼鏡をかけている。
ミステリ愛好会の知名度を上げるべく、あらゆるサークルに「入用の時には声掛けを」と名刺を配り歩き、実際に学内で起こった事件をいくつか解決している。さらに学内だけでは飽き足らず探偵事務所や警察にまで顔を出し事件に首をつっこもうとする。
剣崎 比留子 (けんざき ひるこ)
文学部2回生。横浜の名家のお嬢様。髪は肩より少し長い。髪の色は黒。身長は150cm弱。
警察ですら手を焼く難事件をいくつも解決へ導いた実績を持つ。明智が映画研究部の合宿に参加したがっているのを聞きつけ、交換条件付きで同行を求めてきた。
神紅大学演劇部
進藤 歩 (しんどう あゆむ)
芸術学部3回生。映画研究部部長。
眼鏡をかけて、真面目そうな風貌をした、痩躯な男性。
星川 麗花 (ほしかわ れいか)
芸術学部3回生。演劇部部員。進藤の恋人。
緩くウェーブのかかった栗色の神とアイドルのような愛嬌のある顔立ちをもっている。
進藤に誘われ映画研究部の合宿に参加。
名張 純江 (なばり すみえ)
芸術学部2回生。演劇部部員。
神経質。乗り物に酔いやすい。鋭い空気をまとった、理知的な印象の美人。
高木 凛 (たかぎ りん)
経済学部3回生。映画研究部部員。
姉御肌。背が高く、気が強い。ボーイッシュなショートへあとくっきりした目鼻立ちが印象的な美女。
前年の合宿にも参加。
静原 美冬 (しずはら みふゆ)5
医学部1回生。映画研究部部員。
小柄でおとなしい性格。清楚という表現がしっくりくる黒髪の少女。
いつも高木と行動している。
下松 孝子 (くだまつ たかこ)
社会学部3回生。映画研究部部員。
明るく強か。ふわふわのパーマをかけた金髪をポニーテールにし、きっちりメイクを施している。
重元 充 (しげもと みつる)
理学部2回生。映画研究部部員。
特殊な映画のマニア。縁の太い眼鏡をかけた肥満気味の男。
その他
七宮 兼光 (ななみや かねみつ)
OB。 ペンション「紫湛荘」のオーナーの息子で、毎年映画研究部に合宿の場所として紫湛荘を提供している。父親は映像制作会社の社長でもある。
小柄。顔立ちは整っているが、肌が白く、目や口と言ったパーツが小さく、仮面でもかぶっているかの印象を持つ。
出目 飛雄(でめ とびお)
OB。七宮の友人。前年の合宿にも参加。
ぎょろりとした目つきで、両目の間が広くモヒカンに近い髪型をしているため、魚類のように見える。
立浪 波流也(たつなみ はるや)
OB。七宮の友人。前年の合宿にも参加。
オールバックの髪を後ろで結んでいる。ワイルドな二枚目。
菅野 唯人 (かんの ゆいと)
紫湛荘の管理人。勤めていた東京の会社が倒産したため、去年の11月から知り合いの伝手で管理人の職を得た。
眼鏡をかけた誠実そうな雰囲気の男で、三十前後に見える。
浜坂 智教 (はまさか とものり)
儀宣大学の生物学准教授。公安の家宅捜査を受けた際、研究資料と共に姿を消した。
班目 栄龍
岡山の資産家。研究機関「班目機関」の創設者。