川尻浩作
かわじりこうさく
概要
第4部『ダイヤモンドは砕けない』の登場人物
家族構成は妻しのぶ、息子早人の三人構成。酒はあまり口にせず、椎茸が苦手。
寡黙で誠実なサラリーマンだが、裏を返せば「つまらない男」であり、妻のしのぶとの夫婦仲は冷え切っていた。しのぶによると、元々浩作とは同じ大学に通っており、当時は「寡黙でカッコイイ」と女友達の間で評判であり、一種の優越感から彼と付き合っていたらいつの間にか子供ができた…とのこと。そのため夫や子に対して深い愛情も関心もない彼女から、夕食にカップメンを出されるなど冷遇されていた。
浩作自身も、起来の物言わぬ性格から家族とのコミュニケーションは殆どなかったようで、たまに喋っても「飯」「風呂」「寝る」などの必要最低限の言葉しか発さなかったらしい。しかし、昇進を狙っていたらしく妻子のために影ながら努力はしていた様子。
そんな取り立てて特徴もないサラリーマンであった彼であるが、ある日を境にして、僅かに、しかし確実に、その行動に異変を生じさせてゆく事になる。
異変
- 急いで帰って来たのか、玄関の鍵を間違えるというおちゃめな一面を見せる。
- 帰宅後に出されたカップ麺を食べることはせず、ラジオ番組「杜王町RADIO」を聴きながらエプロンを身に着けて普段は作らない料理をし始めた。ぎこちなさもなく、手早く材料を刻み、フライパンで炒め、綺麗に皿へと盛り付け、食事時にワインを用意すると言う徹底ぶりを観えた。
- しのぶは『あんたが料理なんて・・・・』と驚いていたが、夫の料理を口にした瞬間『え・・・美味しいじゃない、この料理!』と更に驚くことに
- この間、整えたはずの爪をまた切り始めた。 これに対してしのぶは、『この間も爪を切ってなかった?』と、驚いていた
- 風呂で身体を清めている時に、猫が外にいたことを知らずに窓を閉めてしまったことに『悪かったよ、窓をうっかり閉めてしまった・・・二度としないよ』と謝罪した。また普段は電気シェーバーを使って髭を剃っていたのだが、今回から剃刀で髭を剃るようになっていた。(しのぶ曰く『すぐに剃刀負けするのに』とこと)
- 大家が家賃の集金に来た際、大家の集金鞄から現金を奪って滞納していた家賃を支払うという芸当をみせた。これに対するしのぶの反応は軽蔑するどころか『なんてロマンチックなの…』とスリルを味わっていた。
- しのぶが差し入れてくれた紅茶を飲みながら、読書を楽しむ。
- しのぶの服のファスナーを下げるのを手伝う。
- しのぶが作った料理を食べた時に椎茸を克服し、椎茸の美味さを知る。
- しのぶが負傷した時に心配し、目立った外傷がないことに安心した表情を浮かべていた。
- 植物を育てたり、猫の面倒を見たりする優しい一面を見せる。
- 息子の早人とコミュニケーションを試みる。
- 怪我をした時、救急箱を取りに行こうとするしのぶに心配かけないように『心配ないよ・・・治療は、自分でやるよ』と気を遣う。
- しのぶの大事なティーカップが破損してしまった時に『割れてしまったなら・・・また、買えばいいさ』と励ました。
関連項目
【警告】これより先、読んではいけない
ぼくのパパはパパじゃない
パパの名前はキラ・ヨシカゲだ
【異変の理由】
川尻浩作がここまで変化した理由。それは吉良吉影と入れ替わったからに他ならない。
仗助たちに追い詰められた吉良吉影は、しかし安眠への凄まじい執着心から手を切り落とし、その隙に逃走する。
そして辻彩のシンデレラの能力で川尻浩作と入れ替わったのである。
(と言っても川尻浩作だった方の男は死んでいるが…)
【ぼくのパパはパパじゃない】
川尻浩作は電車の中で迷惑行為を働いていた二人組のカップルに因縁をつけられ、更に去り際に爪切りを「ダサい」と貶される。
しかし、あろうことかそのカップルの住む部屋に訪れた川尻浩作は男の方を爆殺してしまう。
恐れをなした女は泣いて許しを懇願するが、結局「ダサい」と貶した爪切りで川尻浩作の爪を切らされた挙げ句爆殺されてしまった。
この時、先に爆殺した男の耳をイヤリングにして女にプレゼントしている。
さて、川尻早人はこれを目撃しており逃げ出してしまう。それに気付いた川尻浩作は…。
【皮肉なことに…】
早人に「手を出すな」と脅されたりしながらも、妻であるしのぶとは良好な関係を築くことになる。
吉良吉影と入れ替わる前の川尻浩作であれば、ここまでしのぶを魅了することなどなかったであろう。
仮に中身が殺人鬼だったとしても、少なくともそんな事情を知らない川尻しのぶにとっては幸せだったはずである。
ついでに言えば川尻早人が割とアクティブになったのもこのおかげと言って良い。
父親が殺人鬼と入れ替わったというのはとても恐ろしい話だが、この事件を経て早人は成長したのである。