概要
極度のスランプに陥ったベストセラー小説家アラン・ウェイクが、妻アリスとともに休暇で訪れたアメリカ西海岸最北部の田舎町『ブライトフォールズ』で遭遇する恐怖の体験を描く。闇の力に支配されたカルデラ湖『コールドロンレイク』を舞台に、行く先々で襲い来る「人ならざるもの」を銃とライト(光)を武器に退けながら、突然姿を消した妻の行方を追う。
TPS(三人称視点シューティング)スタイルのアクションゲームで、開発したRemedy Entertainmentは「アクションサイコスリラー」と位置づけている。
ホラー性が極めて強いが、開発スタッフ曰く「ホラーではない」とのこと。また、この種のゲームにはつきものの血なまぐさい描写も可能な限り避けられている。
「ここまでのアランウェイク」
すべては、自身の小説の登場人物が明確な殺意を持って襲ってくる不気味な夢からはじまった。
妻アリスの声で目覚めたベストセラー作家アラン・ウェイクは、この不吉な悪夢を振り払い、休暇の地ブライトフォールズに降り立った。キャビンの管理人の待つダイナーで、喪服に身を包んだ老女よりキャビンの鍵を受け取ったアランは、目的のキャビンのあるコールドロンレイクに浮かぶ小島へと渡る。
四方を鋭く切り立った山々が取り囲み、木々が生い茂る──。美しいコールドロンレイクの夕暮れの中でアランは、この休暇が自身の苦悩を癒し、最良のものとなる事を期待する。だが、思いも空しくその夜、この旅で自身が遠ざけておきたかった”もの”と思わぬ形で対面させられ、アリスと口論となってしまう。怒りのあまり思わずキャビンを飛び出したアランは、島と湖岸とを繋ぐ橋の上で自身の行動を自嘲する。
突然、コールドロンレイクの夜の闇にアリスの悲鳴が響き渡った。灯りの消えたキャビンに駆け戻ったアランが目にしたのは──
登場人物
アラン・ウェイク
ホラーや犯罪スリラーを得意とするベストセラー小説家。自身の代表作ともなった人気シリーズの最新作の出版を境に原稿が書けなくなり、現在に至るまで2年以上に渡り苦しんでいる。短気で手が出るのも早く、パパラッチに対する暴行等、醜聞も多い。妻のアリスをなによりも愛しているが、スランプに陥ってからは原稿を書けない苛立ちを(暴力以外の形で)ぶつけてしまう事も少なくない。エージェントのバリーは心を許せる数少ない親友でもある。
アリス・ウェイク
アランの妻。自身もプロの写真家として活躍している。アランの小説の装丁デザインも彼女の手によるものである(最新作では勝手に修正を加えるバリーよりデザインを死守した模様)。妻としてスランプに苦しみ荒れる夫の姿に苦悩しながらも、それでもアランを見放す事なく懸命に支え続ける。暗闇にただならぬ恐怖を抱え持つ。この度の休暇旅行にブライトフォールズを提案した本人でもある。
バリー・ウィーラー
アランの親友で幼馴染み。とにかく口数が多く、それを武器にアランのエージェント(著作権代理人)として辣腕を振るう。ビジネスのパートナー以上に親友としてアランの身を常に案じている。ニューヨーカーを自認し大の田舎嫌いだが、休暇中のウェイク夫妻が連絡を絶った事に不安が募り、ついに自らブライトフォールズに赴く事を決断する。偏頭痛とアレルギーに悩まされている。アリスとは互いにウマが合わない事を認めている。
サラ・ブレーカー
住民からの信頼も厚いブライトフォールズの若き女性保安官。権威や権力といったものにも物怖じしない強い正義感と並外れた行動力を持ち、いざとなればヘリの操縦までもこなす。アランに警官だった父と通じるものを感じており、自身の妻の失踪について不審な言動が目立つ彼に対しても一定の理解を示す。因みに父フランクはアランを「今世紀を代表する作家」と評する(もっとも、少々酔っての発言だが)。
エミル・ハートマン
アーティストの治療を専門とする精神科医。ホテルを改装した私設のクリニック『コールドロンレイクロッジ』で、問題を抱えたアーティストやクリエーターたちの長期治療にあたる。ただ、町の住人のハートマンに対する評価は決してよいものとはいえない。著書に自身の治療メソッドを紹介した『創作家のジレンマ』がある。
シンシア・ウィーバー
常に火の灯ったランプを携え、町の住人から「ランプおばさん」と呼ばれる風変わりな女性。かつては地元の新聞記者で、ブライトフォールズで頻発する奇妙な事件を記事にとりあげていた。アリス同様に暗闇を極端に恐れ、町中の照明を点検して歩く姿がよく目撃される。
ローズ・マリゴールド
レストラン『オーディアダイナー』に勤める女性。本屋より譲り受けたアランのパネルをダイナーに飾るほどの作家アランウェイクの熱狂的なファンで、ファンサイトも運営している。彼女が店で出すコーヒーには定評がある。パークレンジャーのラスティとは周知の仲だが、彼に対しては好意とともにある種の失望も感じている。
パット・メイン
地元FMラジオ局でパーソナリティを務める。穏やかで物腰も柔らかく、事を荒立てることを極力避けてはいるものの、理不尽な横暴を嫌い、必要とあれば自身の意見をしっかり述べる良識ある人物である。ブライトフォールズに向かうフェリー(渡船)でウェイク夫妻と出会い、アランに自身の番組への出演を希望する。
オーディン&トール・アンダーソン
かつて70年代に活躍したヘビーメタルバント『Oid Gods Of Asgard』を率いた老兄弟。北欧神話の神に因んで自身の名前を改名するほどの「バイキングフェチ(バリー談)」。現在は認知症を患いハートマンのもとで治療を受けている。コールドロンレイクのほとりに特製の野外ステージを備えた農場を所有し、密造酒の醸造も行っている。クリ二ックのスタッフの目を盗んで度々ロッジを抜け出している。
ロバート・ナイチンゲール
FBI捜査官。突然ブライトフォールズに乗り込んできて、ある事件の容疑者としてアランを執拗に追い回す。周囲に対し高圧的で、特にアランには状況に関わらず発砲という手段に出る事もいとわない。見るからにアルコール依存に陥っており、職務中も常に酒の匂いを漂わせている。
ネルソン医師
ブライトフォールズで開業医を営む老医師。医師としては勿論の事、町の重鎮としても住人からの信頼は厚い。自他共に認める太公望で、診療の暇を見つけては釣りにいそしんでいる。
ラスティ
『エルダーウッド国立公園』のパークレンジャー(自然保護官)。ローズとはお互いに好意を寄せながらも、一歩を踏み出せずにいる。「(体の)中身はブラックコーヒー」と揶揄されるほどのカフェイン中毒で、職務の合間にローズのコーヒー目当てにダイナーまで足を伸ばす事も少なくない。既婚者だが結婚生活は破綻状態にある。
ポール・ランドルフ
ローズの住むトレーラーパーク『スパークリングリバーエステーツ』の管理人。家賃の滞納がなく、辛い時でも明るく努める健気なローズが大のお気に入りで、彼女を日頃から見守っている。彼がパーク内で販売しているホットドッグは「ここらで一番」との評判である。
モット
町のトラブルメーカーとして悪名高い男。フェリーでウェイク夫妻を見つめていた。
カール・スタッキー
コールドロンレイクに程近いガソリンスタンドのオーナー。旅行滞在者向けのキャビンの管理人もしており、ウェイク夫妻が宿泊するキャビンの鍵をダイナーで受け渡す手筈だった。
喪服の老女
「体調を崩して来られなくなった」スタッキーに代わり、キャビンの鍵と行き先を記したメモをアランに手渡す。
トーマス・ゼイン
無名の作家。島のキャビンに置かれてあった本の著者。
クレイ・スチュワード
悪夢の中で出会う見知らぬ男性。本ゲームソフトの限定版『ALAN WAKE LIMITED EDITION』の特典の一つ『アランウェイクファイル』でその正体が明らかとなる。