ケヴィン(聖剣伝説3)
けゔぃん
概要
ボサボサの金髪と金色の瞳、褐色肌が特徴の野性味溢れる少年。
ビーストキングダムの長・獣人王と人間の女性との間に生まれたハーフ。
父である獣人王から冷徹な戦闘マシーンとなるべく育てられていたが、月夜の森にて母親を亡くしたちびウルフ・カールを保護してからは、元来の心優しい性格が表立つようになっていった。
これを快く思わなかった獣人王は、ある日自身を訪ね現れた死を喰らう男に命じ、その魔術でカールを凶暴化させケヴィンを襲わせる。親友に傷付けられたケヴィンは獣人化を覚醒し、そのままカールを殺害してしまう。
放心のままビーストキングダムに戻ったケヴィンであったが、このとき獣人王と死を喰らう男の会話で彼らがカールを操っていたことを知り憤慨、怒りのままに獣人王に挑みかかるが返り討ちにあい、一撃で城外へと叩き出されてしまう。
その後、傷心のまま森を彷徨っていると再び死を喰らう男が目の前に現れ「聖都ウェンデルの光の司祭ならカールを生き返らせられる」と吹き込まれ、そのまま森を抜けてウェンデル近郊の港町ジャドを目指した―――。
一人称は「オイラ」で、所々接続詞の抜けたややカタコトな口調を用いる。
心優しく純粋な性格だが、しゃべることやコミュニケーションが苦手。
カタコトの言葉遣いもさることながら、野生児故か世間知らずな部分も多く、リメイク版では旅の仲間として同行している際に立ち寄った町で話しかけると、その地域の文化や風土に興味を示す発言も多い。特に食べ物への感心も強いようで、よく「あれ食えるのか?」と尋ねてきたり空腹を訴えることも。ニトロの火薬の捜索のためドワーフトンネルでワッツを追跡中に戦闘に勝利すると「カヤクって、ウマイのか」と発言する。手持ちの資金が多くなった際には、使うことが苦手である旨の発言も漏らしている。
ただし、決して食欲一辺倒というわけではなく、ときには他者の心痛を察して心配する言葉を吐露したり、ディオールではランプ花の美しさに感激したりなど純真さも見せている。また、地頭が悪いわけではないようで、ジャドでの牢屋脱出イベント(ケヴィンが3人目のPTの場合)では、牢番のビースト兵フレディに獣人王の名前を出して脅し、扉を解錠させたりしている。
唯一の肉親である獣人王に対しては「あんなの父さんじゃない」と毛嫌いしており、カールのこともあり、強く憎んでいる。
性能
武器はグローブ・鉤爪。攻撃力数値はデュランに劣るものの、通常攻撃が2回攻撃のため、単位時間あたりに与えるダメージが大きい。
獣人族のハーフということもあり「シェイドの刻(夜)には獣人化する」という特徴がある。ウルフ化すると通常時より攻撃力が上がり、この状態でダメージを受ける等すると自動的にパワーアップの魔法がかかりさらに攻撃力がアップ、通常時の1.5倍ほどになる。
リメイク版では、数値上の攻撃力もデュランより高くなり、名実共に全キャラ中トップの座を獲得。一方で、徒手空拳によるリーチの短さが露呈、強攻撃のモーションが大振りで隙が大きく、守備力も低くなっているなど、ところ構わず突っ込むといつの間にか大ダメージを負っていることも少なくはなく、意外に繊細な立ち回りが要求される。
クラス2
モンク
『ヒールライト』『秘孔』を習得。
自らにバフをかけつつHPの回復もできる、攻守に優れたクラス。
リメイク版では、回復はオマケ程度であくまでも本分はアタッカーといった方向性に調整されている。
バシュカー
新規習得特技はなし。
クラス1に引き続いて殴るだけと、ある種珍しい性質を持つ。
リメイク版では、近接戦に特化したアビリティを習得可能になり、アタッカーとしての役割が強化された。
クラス3
ゴッドハンド
『オーラウェイブ』を習得。
必殺技で敵を倒す、単純明快かつ強力な戦法を得意とする。
リメイク版では、SP回収率の高いアビリティを多数習得でき、この方向性に拍車がかかっている。
結城信輝氏曰く「金色の逆立つ髪と胴着はまるでドラゴンボール、ストⅡのケン」との事。(イラストレーションブックより。)
ウォーリアモンク
『リーフセイバー』を習得。『ヒールライト』が全体化。
HPが減れば『ヒールライト』で回復し、消費したMPは『リーフセイバー』で回収する、ある種の永久機関となるクラス。
リメイク版では、汎用性の高さは相変わらずであるものの、自身に対する回復量を底上げするアビリティしか覚えられず、回復役としてはやや不足を感じるように。ケヴィン・シャルロットルートで入手できるリンクアビリティ『ウルフソウル』(バトル中、HP30%以下の味方回復時、HP回復量を30%アップ)があれば、以前のような運用も。攻撃面では『アタックセイバーII』(セイバー魔法の消費MPを8アップ、効果中与ダメージを25%アップ)を習得。これは『リーフセイバー』にも適用されるので、『秘孔』と合わせてさらなる攻撃力強化が可能。
デスハンド
『エナジーボール』を習得。
クリティカル率を上げる効果がある特技だが、本作にはそもそもクリティカルというシステム自体が存在せず、必然的にこの特技も何の効果も発揮しないため、事実上習得技なし。最初から最後まで殴るだけとなるものの、それでも充分強い。
リメイク版では、クリティカルシステムが実装されたことで『エナジーボール』も本来の効果を発揮できるように。クリティカルに関連する『クリティカルダメージ』『プロテクトブレイク』のアビリティの他、固有の『逆鱗』・バシュカー時の『反逆』、『状態異常特効II』により、色々な方法で大ダメージを与えるアタッカーに磨きをかけている。
結城信輝氏曰く「地獄の貴公子(笑)」「ゴッドハンドの熱血な感じと正反対のクールな感じ」との事。(イラストレーションブックより。)
デルヴィッシュ
『ムーンセイバー』を習得。
HP吸収効果を得て敵を殴る、実質的な耐久力を底上げできるクラス。
リメイク版では、専用アビリティ『烈火』(バトル開始から10秒、無敵になる)が極めて強力で、遠距離攻撃を持たないケヴィンにとっては受ける恩恵が非常に大きい。また、攻撃に関わる『逆境』『不屈』『クリティカルダメージ』のアビリティが揃っている。
クラス4
ビーストキング
光の最上級クラス。
リンクアビリティ『治癒力向上II』(バトル中、HP回復を受けた時、回復量を50%アップ)を仲間に付けて回復力向上といったことが可能に。さらに『キュアヒールII』(バトル中、魔法でのHP回復時、状態異常を解除)もあり、状態異常にも対応できるようになる。これらはウォーリアモンク経由でヒールライトを全体化していると非常に恩恵が大きい。一方でゴッドハンド経由の場合は、2種類の一撃必殺アビリティを活かして開幕で必殺技を撃っていくのが有効か。
デストロイヤー
闇の最上級クラス。
デスハンド経由の場合は、クリティカル時の火力がさらに強化される形になるが、防御面が手薄。デルヴィッシュ経由の場合は、逆に攻撃面で『クリティカルダメージII』(クリティカル発生時、与ダメージを40%アップ)の特性を生かしにくいなど、一長一短。
待遇
SFC版ではあらゆる点で露骨に優遇されているキャラ。
- 性能が極めて優秀
- 通常技が2回攻撃
- 攻撃が当たった回数分、必殺技ゲージも溜まるため、単発ヒットのキャラに比べて回収率が約2倍
- ウルフ化
- ケヴィン固有のシステム。元々高い攻撃力がさらに上がる。
- クラス3がどれも強力
- 他キャラは利便性が高いクラスとそうでないクラスがあるが、ケヴィンの場合はどれに進んでも(方向性は異なるものの)使い勝手がいい。
- 必殺技
- 他キャラは1クラスあたり1つに対し、ケヴィンのみ2つずつ用意されている。
- 通常技が2回攻撃
- ストーリー中でケヴィン固有の演出が多い
- ゲーム冒頭でジャドに向かう際、ミントスから海を泳いで渡る。リメイク版では見事なフォームのクロールを披露しており、近くを進む船の乗客達が見て驚いている。
- ジャドを占拠しているビースト兵たちの反応が、他の主人公たちとは異なる。
- 話しかけると驚かれた後に「獣人王の密命でジャドに来ている」と勝手に解釈される。
- 隊長のルガーに話しかけようとすると慌てて物陰に隠れ、ルガーも「後ろ姿がケヴィンに似ていたが…」と訝しむもののそれ以上追走せずに元の場所に戻っている。
- ボン・ボヤジ一族の大砲移動では、ケヴィンだけはしっかり足から着地して衝撃に耐えようとしている。
- 原作では衝撃が頭まで響いて突っ伏してしまうが、リメイク版ではそのまま耐え切っている。
リメイク版でもストーリー上の扱いはそのままだが、アタッカー方面に特化した性能に調整され、旧作ほどの万能さはなくなった。
関連イラスト
※以下ネタバレ注意
ルガーとの決着
精霊探しの道中、主人公たちは月読みの塔にてルガーと対決することになる。
勝利後、瀕死のルガーはケヴィンに対して抱いていた内情(獣人王の息子として資質に恵まれ、彼直々に拳の極意を享受されていたケヴィンが羨ましかったこと、それに反してケヴィンは戦いを好まず避けていたことが憎かったこと)を顕にし、ケヴィンも彼の戦いへの直向きさを常々感じており「ルガーこそ次の獣人王に相応しい」と賛美する。
互いの想いを知りついに和解したルガーは「生まれ変わったら今度こそお前を倒す」と誓いを立てそのまま息絶えようとするも、直後に現れた月の精霊ルナにケヴィンは「ルガーを助けて」と懇願。ケヴィン、そしてルガーの想いに応えようとしたルナは、なんとルガーを赤ん坊へと転生させる。愛らしい姿になりつつも存命したルガーに安心したケヴィンは、その後、月夜の森の中に消えていくルガーを見送った。獣人族の風習として、幼少期の獣人は皆親の手を離れ自然の中で動物たちに育てられるという。
リメイク版のエンディングでは、森に戻ったケヴィンがルガーに拳法を教える描写があり、赤ん坊でありながら凄まじい蹴りの妙技を披露するルガーにたじろぐ姿をみせていた。
カールについて
親友カールを生き返らせるために外界へ旅立ったケヴィンであったが、後の展開で実はカールは死んでいなかったことが発覚する。カールは覚醒したケヴィンによって倒された後、一時的に仮死状態になっていただけだったようで、ケヴィンが旅立って間もなく、獣人王がカールが埋葬された墓から掘り出し保護していた。
ケヴィンのポジション(主人公か二人目以降の味方か)によって事実を知るタイミングは異なるものの、帰省したケヴィンが獣人王にカールの敵討ちを挑もうとした際にこの事実を知らされ、逆に獣人王に諌められることになる。
獣人王の真意
当初、ケヴィンは父である獣人王から実の母である人間の女性は「自分を置いて出ていった」と伝えられていたが、実際はケヴィンが物心付く前に病没していたことが判明した。こうした嘘が吹き込まれていたのは「力を生み出すのは憎しみや怒りである」という獣人王の思惑があったという。また、ビーストキングダムを建国した経緯についても、“弱者”を嫌う獣人王が「人間への報復」を掲げることで迫害の歴史から意気消沈する獣人たちを奮い立たせるための方便であったらしく、彼自身は獣人が人間に成り代わる気など興味がなかったことを明かした。
カールの存命を知ってからは、獣人王への見識を改めるケヴィンであったが、獣人王自身もケヴィンが自身を超える実力者になることを待ち望んでいる旨を伝えられ、ケヴィンもこれに応え、いつか相まみえることを約束した。
獣人王との勝負
『ToM』の本編クリア後の追加シナリオにおいて、とうとう獣人王とのタイマン勝負が実現。
クラス4へチェンジするために獣人王に“本能のオーブ”の存在を尋ねたケヴィンは、神妙な面持ちで立ち上がった獣人王に月読の塔の最上階まで来るように伝えられる。
実は本能のオーブは獣人族の長にのみ持つことが許されたものであるらしく、手に入れたければ自身を倒してみせろと真剣勝負を挑まれる。この戦闘ではケヴィン一人で獣人王に挑むことになる。
勝利すると約束通り本能のオーブが与えられ、マナの聖域の女神像でクラス4にチェンジすることが出来るようになる。
余談
ケヴィンのデザインについて、聖剣伝説3でゲームデザインディレクターを担当した石井浩一氏は公式イラストブックで以下の様に答えている。
- ケヴィンのイメージ元は「チョイ悪な悟空」。
- シルエットは、アラビアンの服装と不良の学ランを合わせた感じ。
- 襟のボアとゼブラ模様は獣人らしさを出すため。
- 帽子は、グリーンベレーの様な戦闘集団の一員の要素を組み込むため。
- また、 聖剣伝説3のディレクターを担当した田中弘道氏は、リメイク版を作るに当たり「ケヴィンのエピソードに手を入れて欲しい。」とスタッフに伝え、追加エピソードが出来たとの事。