山文甲
さんもんこう
山文甲とは、中国の甲冑にみられる構造・デザインの一種である。
概要
唐の時代から現われた様式で、逆さまにした「Y」の字のようなパーツを規則的により合わせたような見た目をしている。
唐代中国の官制・法制について記した『唐六典』でも記述があり、「武庫令」という箇所において、「甲之制十有三:曰明光甲,光要甲,細鱗甲,山文甲,烏錘甲,白布甲,皂絹甲,布背甲,步兵甲,皮甲,木甲,鎖子甲,馬甲。」と甲冑についての13の分類の一つとして言及される。
『三国志演義』の英傑たちや玄天上帝のような道教の武神、四天王のような仏教の神将系尊格の図像でも山文甲が施された甲冑の着用例が見られる。
しかし、山文甲の甲冑は現存していない。製法や厳密な構造については謎が多く、現在において様々な復元が試みられている。
逆Yの両側に返しがあって「山」の字のような形にしたものを組み合わせる、という再現案は「山文」甲という名前を反映したものに出来る事もあり有力視されている説であるが、確証はない。