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タイタン(ファイティングファンタジー)の編集履歴

2020-07-24 22:24:49 バージョン

タイタン(ファイティングファンタジー)

たいたん

「タイタン」とは、スティーブ・ジャクソン(英)とイアン・リビングストンにより創始されたゲームブック、またはロールプレイングゲーム、「ファイティングファンタジー」の、舞台となるファンタジー世界である。

概要

「タイタン」とは「ファイティングファンタジー」シリーズの多くで舞台となっているファンタジー世界。

 神々が魔法の土塊より、世界と生物を作り出し、混沌と戦い、「時」が放たれて寿命と死がもたらされた……という創世の神話が伝わっている。


 神話における、神々と混沌の最初の戦いが終わり、高度な魔法文明が繁栄したが、その後に勃発した魔法大戦により文明は崩壊し後退。

 現在は世界中で、混沌と悪徳がのさばる、過酷で危険な世界になっている。

「アランシア」、「旧世界」、「クール」の3大陸から成り立っている。


創世の神話

 かつて神々は永遠で、退屈していた。ある日神々は、自分たちの庭園に、命を持つ巨大な土塊を発見。主神タイタンはこれを半分にして、片方を球にして神々の宮殿の中心に置き、もう片方を神々に少しづつ分け与えた。

 土を貰った上位神、そして下位神に至るまでが、山や海、川、木々や草花、動物たち。タイタンの球の上に、世界と自然に存在するあらゆるものを、土を用いて作り出し、置いた。

 こうして作り出されたこの世界を、主神の名を取り「タイタン」と命名した。

 これに参加しなかったのは、暗き神々。しかし彼らも、土を少し盗んでいた。


 ある日、これを見た運と偶然の神ロガーンは、自分の取り分を要求。貰った分から在る生き物を作り、自分の体の一部を入れ、『人間』と命名した。

 ほとんどの神々はこれに抵抗感を示したが、主神タイタンを含むいくつかの神々はこれを真似た。主神タイタンは巨人を、大地の女神スロッフはドワーフを、植物と自然の女神ガラナはエルフを作り、タイタンに置いた。

 昼は太陽の女神グランタンカがタイタンを回って照らし、夜は月の女神ルナールが照る。嵐の神スークや風の神パンガラの息吹が飛び、平和な世界となってタイタンは神々を楽しませていた。


 しかしある日。ルナールが捕らえられ暗黒の夜が。

 そして暗き神々が作った、様々な怪物たち……彼らの邪悪な心に染まった混沌の軍勢が、世に放たれたのだ。


 次の日、タイタンら主神がこれを見て驚愕しているところ、暗き神々がやってきて対峙した。先頭には、袋を持った「死」。続いて、その兄弟「疫病」「腐敗」。そしてその他数々の下位神や半神たち。

「死」は、怪物が跋扈しているタイタン世界を見せた。そして袋の中のロガーンを放り出し、

遠くの異世界に行った彼の神が、『時』を見つけたと告げる。

 再び袋をひっくり返すと、ロガーンに続き、気味の悪い姿が出て来た。それは常に変化していたのだ。

「死」の神は、これの名を告げた。これこそが『時』だと。

「死」の神は更に告げる。この「時」が解き放たれれば、永遠は無くなり、神ですら自分の力……「死」から免れられない。

 そうされたくなくば、このタイタンの所有権をよこせと要求。神々はそれを断り、こうして神々による「最初の戦い」が始まる事に。


 両者は十分に準備を整え、タイタンにて激突した。戦いは激しさを極め、双方とも深く傷ついた。

 そして、最後には神々が放った稲妻の一撃が、混沌の軍勢と、「時」そのものを貫き破壊。神々の勝利となった。

 敗北した暗き神々を殺そうとした主神タイタンだが、それを行ったら相手と同様になると止められ、「虚空」へ追放するに留まった。

 が、勝利の代償は大きく、人間をはじめとした多くの種族は傷つき、数を減らし、タイタンの自然そのものも大きく傷ついてしまった。

 なにより、タイタンに混沌と「時」をもたらしてしまった。ばらばらに飛び散った「時」は、タイタン世界に定命をもたらした。生まれたら年を取り、寿命で死んでいく運命を全ての生物に与えたのだ。


 そして、神話の時代から幾年が過ぎ。人間、およびすべての種族が文明を築いたのち。

 世界各地に眠っていた、暗き神々の残滓、「混沌」の軍勢がよみがえり、古代におけるあらたな伝説……魔法大戦が勃発する事になる。


 現在も神々は、タイタンを見下ろし見守っている。

 しかし彼らは、その手を直接下す事はできない。ゆえに、冒険者や英雄という気に入りの存在を駒として、世界の脅威に向かわせる事しかできない。

 言うなればタイタン世界は、巨大な遊戯盤。そして英雄や善の勢力も、混沌とその死の軍勢、悪の勢力も、その盤上を行く駒にすぎない。

 現在もこの盤上の戦いは続いており、善悪両者の勝負はつかない。均等化を保つため、善悪両方に味方し、戦場を引っ掻き回す中立勢すら存在するので、勝負の行方はいまだ不透明。

 故に、この遊戯は戦いの幻想と呼ばれるのだ。


タイタンの星座

 タイタンの夜空には、当然ながら無数の星が瞬いている。そしてその星空には、「最初の戦い」の際に、それぞれの陣営に属していた英雄、動物、怪物の星座が、タイタンの大地を見下ろしている。

:北天

鷹将(ホークロード)座(善側)

怪像(ガーゴイル)座(混沌側)

ドワーフ王座(善側)

竜王(キラニラックス)座(善側)

狩人座(善側)

鯨座(善側)

巨獣(ベヒモス)座(混沌側)

獅子王(ロガール)座(善側)


:南天

蜘蛛王(アーハロゲン)座(混沌側)

ベールの魔術師座(善側)

海妖座(混沌側)

蜥蜴(バジリスク)座(混沌側)

オークの将座(混沌側)

死の使い座(混沌側)

最後の角笛を吹く者座(善側)

人馬(ケンタウロス)座(善側)

角蛇(ジアルガ)座(混沌側)

魔蠍獅(マンティコア)座(混沌側)

エルフの王子座(善側)


タイタン各地

アランシア

 比較的平均的な土地。古代エルフ語で「騒乱の平地」を意味する。

 大陸全体の名前になっているが、本来は一部の土地……北は氷結大地、南はどくろ砂漠の北縁の土地を表す名前に過ぎなかった。

 ポート・ブラックサンドをはじめとした、有名な都市や土地、場所が多く存在し、冒険者が名を上げるにはもってこいだが、同時にそれだけ危険が待ち受けている場所でもある。

ポート・ブラックサンド

「盗賊都市」「真夜中の盗賊」などの舞台。冷酷なる海賊、ヴァレック・アズール卿が恐怖で治めている悪徳の町。通行証が無ければ、町中での商売どころか、町への出入りすらも出来ない。

 かつては太古の魔法大戦により破壊された都市だったが、その上に建造された。海賊やこそ泥、追いはぎ、盗賊などが集まりしのぎを削っており、別名「盗賊都市」と呼ばれている。

 アズール卿の恐怖政治と、トロールの衛兵などで統治され、皮肉にも近隣の都市に比べ経済的に最も繁栄している。

火吹山

「火吹山の魔法使い」の舞台。

 名前の由来は、山頂部に赤色の「眠り草」が茂っており、そのために遠目にみれば「火を吹く山」のように見えるため。

 この山中には、ドワーフによって掘られた広大な地下迷宮が存在し、ゴブリンやオークなどを引き連れた悪の魔法使い・ザゴールが、その最深部に住んでいる。

ファング

「死のワナの地下迷宮」などで有名な都市。比較的小規模だが、ここを治めるサカムビット公の発案した「迷宮探検競技」こと「決死行」というイベントが有名。

 参加者は、数々の罠を仕掛けた地下迷宮に入り込み、内部を探検し、手掛かりを得て、出口に辿り着かねばならない。成功すれば、大金と近隣の土地の永久統治権などが与えられる。しかし毎年、落命する者の方が多い。

ストーンブリッジ

「運命の森」などに登場。ダークウッドの森近くに存在する、ドワーフの町。魔法のハンマーを所有するドワーフ王・ジリブランによって納められている。

ダークウッドの森

「運命の森」の舞台。広大な森林で、内部には数々のモンスターが徘徊する危険な場所。この森の端には、善の魔法使いであるヤズトロモが住む塔が立っている。

 また、この近隣の地下には、邪悪な種族・闇エルフの地下都市が存在する。

柳谷

「バルサスの要塞」の舞台。太古の知識を蓄えた古代都市サラモリスのある場所。人々は友好的だが、領主は周辺地域にオークやゴブリンなどをはびこるにまかせた手ぬるさでも有名である。

混沌の要塞

「バルサスの要塞」の舞台。サラモリス近く、ぎざ岩高地に存在する要塞。悪の魔術師であるダイア一家の居住地で、クラゲン・ダイアの息子、バルサス・ダイアが、父親を刺殺し手に入れた。

火山島

「トカゲ王の島」の舞台。ポート・ブラックサンドの西に広がる海岸線を南下した、どくろ海岸に近い場所にある火山島。

 トカゲ兵団、および寄生生物ゴンチョンを頭部に頂いたトカゲ王が、この島を占拠し、原住民を奴隷化している。島には強力な力を有する祈祷師も住んでおり、試練を受けて合格すれば、助言をもらえる。

ファングセイン

 ドワーフの聖地。ドワーフ王・ナムルキムにより統治されている。山頂が黄金に輝く山の内部に、巨大な地下都市が形成されており、内部に数多くのドワーフの民が生活している。

 また、この地の金属精錬技術はドワーフの手によるものなだけあり、非常に頑丈で良質。この地で採れ、鍛えられた『ファングセイン鋼』の武器や防具は、最高級の品質を誇り、各地の戦士や騎士には垂涎の的になっている。

ヴィモーナ

「最期の戦士」の舞台。湿原帯の近くに立っており、すぐ近くにはトカゲ兵の本拠地であり首都・シルアー・チャが存在している。そのため、恒常的にトカゲ兵団と戦っており、町自体が要塞化している。現在もトカゲ兵団の包囲戦が続いており、北上してアランシア全土へ兵士を進めようとするトカゲ兵団を、ヴィモーナは必死に止めている状況にある。

カラメール

「謎かけ盗賊(RPGシナリオ)」「奈落の帝王」の舞台。アランシアの南端に位置する港町で、統治者であるブルーストーン男爵は、謎かけ盗賊により殺害された。

 後に、奈落の帝王バイソスにも狙われる事になる。

旧世界

 三つある大陸の一つ。比較的混沌による汚染と影響は少なく、安定した穏やかな土地ではあるが、危険なことには変わりない。

 かつてはこの地に足を踏み入れた開拓者たちは、皮肉にも「新世界」と名付けていた。現在は各地に王国が建立し、アランシアやクールに比べて洗練され文明化されている。

 ただし、アナランドの北側からザメン高地にいたるまでの土地、カーカバードは例外。この地は危険な蛮族やモンスターが徘徊し、悪党や盗賊も多く、土地自体も危険かつ混沌の汚染で異常な状況になっている。

アナランド

「ソーサリー」主人公の故郷。旧世界南東部に位置する。

 国自体は勤勉で誠実な人々が住む、快適な国。国境が巨大な壁により囲われているが、三か所が未完成の状態である。

 かつては国外から来る蛮族の襲撃に悩まされており、国境そのものを巨大な壁で囲う「大塁壁」という計画を立て、これを実行した。

 結果、三か所が未完成な状態で経済破綻し、中止になった。が、大塁壁そのものは現在も国を守るのに役立っている。

 優れた呪文と呪文書が作られているが、呪文書の国外への持ち出しは厳禁とされている。大塁壁には、視力に優れた種族・サイトマスターたちが警備にあたり、敵の接近を見張っている。

シャムタンティ

「魔法使いの丘」の舞台。アナランドの北側大塁壁の向こう側に広がる、広大な丘陵地帯。クリスタンティ、カントパーニ、ダンパスといった地が広がっている。猛獣やモンスター、盗賊など、多くの危険が潜む地ではあるが、カーカバードにしてはまだ危険度はそれほど高くはない地でもある。丘陵地を越えた北端に、大きく東西にジャバジ川が横切っている。

 ジャバジ川を挟んだ向こう側が、バクランドになる。

カーレ

「城砦都市カーレ」の舞台。広大なジャバジ川を渡る事が出来る、唯一の場所でもある。ポート・ブラックサンドと並ぶ危険な街で、はるかに無秩序。都市には盗賊や悪漢がはびこり、住民たちは自分の身を守るために罠を仕掛けたが、それがかえって危険度を増す事に。

バクランド

「七匹の大蛇」の舞台。混沌と邪悪により影響を受けた土地であり、カーカバードの中心部。自然の作用が捻じ曲げられ、超自然的な力が昼夜を支配している。

ザメン高地

「王たちの冠」の舞台。ここの「マンパン」という地に、「大魔王」と呼ばれる強大な悪の指導者が、要塞を作り拠点にしている。ここからアナランドを、ひいては世界を脅かす軍勢を作り、侵攻しようと企んでいる。バードマンやライフスティーラー(殺生怪)といった、空を飛ぶ種族も多く住んでいる。また、シーサテュロスといった蛮族や、聖者コレタスなどがいるのもこの地である。

ザンズヌ連峰

「王たちの冠」の舞台、ザメン高地の一角。この地には険しい山々が連なり、徒歩で赴くのは不可能なくらいの高地に、バードマンたちの文明化された居住地が存在する。

 しかし、マンパンの大魔王とその軍勢の攻撃を受け、バードマンたちは二つの派閥に分離。大魔王に味方した派閥と、大魔王に対抗する派閥に別れ、闘争を繰り広げている。後者は更なる奥地に逃げ込み、ゲリラとして戦っている。

ガランタリア

「魔術師タンタロンの12の難題」の舞台。旧世界の北西部に存在する平和で豊かな国だが、様々な問題を抱えている。後にそれらの問題を解決した英雄が、次の統治者となった。

クール

 魔法対戦の主戦場となった、最も荒廃した地域。アランシアでは、暗黒大陸と呼ぶ者もいる。

 周辺海域は荒れており、なおかつ巨大な海の怪物などが多く存在する。そのため、船によるアランシアや旧世界への行き来は容易ではない。さらに加えて、内陸では混沌の力により汚染されている場所も多く、アランシア以上に過酷で危険な場所である。

 一部の地域では、独自文明が築かれている。

ニューバーグ

「ナイトメアキャッスル」の舞台。

 クール南西部に存在する、城壁都市。かつてはこの場所で、邪悪な魔術師ザカーズと、三叉槍を武器とした英雄スカルロスとの戦いが行われていた。現在ザカーズは地下深く封印されたと言われている。

サソリ沼

「サソリ沼の迷路」の舞台。小路が迷路のように入り組んだ広大な沼地で、南東と北西のそれぞれの端に、フェンマージとウィロウベンドという町が存在する。フェンマージには、善と悪の魔術師、そして中立の魔法を商う商人とがいる。

アリオン

「仮面の破壊者」の舞台。クールの北東部に位置する町で、その領主は六角形の王の印が刻まれた兜を被っている。かつてはブレンダン・ブラッドアックスという英雄が、この地で混沌の種族「ブラックハート(闇エルフとオークの混血種)」と戦い、そのほとんどを滅ぼした。

八幡国

「サムライの剣」の舞台。戦士支配階級と、精神心情を組み合わせた、中世の日本的な独自の文化が形成されている。

 クールの最南東部、シオズイイ山脈により、クールの他の地域からは完全に遮断。土地自体は肥沃で天然資源に富んでいるため、ほとんどの住民はあえて周辺に向かおうとはしない。

 将軍が頂点に立ち、国全域を統治。各地の荘園にそれぞれ中小の貴族階級がそれを支えている。クールにしては比較的平穏な地域であるが、それでもこの地域独自の危険なモンスターは数多く存在する。

内海

「海賊船バンシー号」の舞台。クールの中央、最南端に存在する。

 内陸に広く広がった海域で、様々な国々が入り込み、交易も盛ん。そしてその分海賊も多い。地中海やアラビア風の文化が形成されている。

 タグ、ラガシュ、マラッド、キシュなど、数多くの都市国家がしのぎを削っている。


善と悪の代表者

 タイタンには、善と悪の勢力が存在し、人間もまた同様に善悪どちらかの陣営に身を置き、それぞれで活躍している。

善の代表者

ゲレス・ヤズトロモ

 ダークウッドの森、ストーンブリッジ近くの塔に住む、善の魔法使い。

 柳谷のサラモリス、その司祭の息子として生まれた。ヨーレ大魔法学校にて、師匠の大魔術師・『月を追う者』ヴァ―ミスラックスの元で魔法を学ぶ。

 マジックアイテムを作り出し、それを売る副業を営んでおり、その収入で好物の砂糖菓子をいたるところから注文している。やや怒りっぽい所もあるが、善の大義にその身を捧げており、志を同じくする英雄や冒険者たちには協力を惜しまない。

 ストーンブリッジのドワーフ達は良き友人。ダークウッドの森のエルフたちも、彼の魔法に敬意を表し、彼の事を好いている。

 反対に、近くの地下都市の闇エルフたちは、彼の事を無害かつ取るに足らない愚か者と捕えている。ヤズトロモはそのおかげで、闇エルフや悪の勢力に目を光らせる事ができた。

 師匠の名を付けた喋るカラス・ヴァ―ミスラックスを使い魔とし、多くの鳥や動物が彼の目となり伝令となり、アランシア中の情報を仕入れている。

アラコール・ニカデマス

 ポート・ブラックサンドの街中、「歌う橋」の橋の下の小屋に住む、善の魔法使い。

 ファングの大商人を父に持ち、ヤズトロモと同じくヨーレ大魔法学校のヴァ―ミスラックスの元で魔法を学んだ。

 学校卒業後には、アランシア各地に繰り出して数々の冒険行に赴いた。しかし一度、「死の呪文」により死にかけ、その後のべつまくなしに依頼される事に疲れ、ポート・ブラックサンドに引退生活に入ってしまう。

 ただしこれは、惚れ薬や害獣駆除などのくだらない依頼を避けるための防衛策でもあり、重要な案件に関しては協力を惜しまない。ヤズトロモとは同期の友人であり、鳥の伝令などで連絡を密に行っている。

癒し手

 本名ペン・ティ・コーラ。氷指山脈の、ある洞窟に住む善の魔法使い。仮面を用いた治療・治癒専門の魔法を用いるため、癒し手の名前で通っている。

 故郷はアランシアの南、アランティス地方。彼の父は、アランティスの『大司祭の代書人の監視長のような立場』の人間、との事。

 ヤズトロモとニカデマスとともに、ヴァ―ミスラックスから魔法を学んだ。卒業後には南の地へと旅し、大地の女神の信者に。その後、仮面を用いた治療・治癒を専門とする魔法を学び、それを専門とするようになる。

 しかしある時、ニカデマスがかけられた「死の呪文」の呪いを解いた事から、逆に呪われてしまった。動くと痛みが走り、身体は醜くなってしまったため、彼は洞窟にこもるように。

 現在も彼は存命で、治療の助けが必要な者以外とは、人と会わないようにしている。


聖人コレタス

 カーカバードのザメン地方にて、信仰する女神スロッフの教えを説く事で、人々を善の方向へと導いている盲目の聖人。

 視力は失われているが、その代わりに治療の力を授かっており、その力で病人の病気を吸い取り、治す事が可能。また、樫の木の槍に祝福を与え、強力な武器とする事もできる。

 かつては無知だが勇気のある若者で、マンパンの大魔王を倒すためにその砦に乗り込んでいた。仲間になるふりをして、隙を見て大魔王を殺す寸前までいったが、大魔王を守護していたデーモンの放ったファイアーボールを顔面に受け、その両目を潰されてしまう。

 その後、盲目のままで逃げ回り、黒エルフの魔女・フェネストラの治療を受けて助かる。

 更にその後で、スロッフの信者となり、戦う事以外で大魔王に抵抗し続けている。

魔女フェネストラ

 カーカバードのバク平原、イルクララ湖近くのスナタの森に住む、黒エルフの魔法使い。

 黒エルフながら仲間たちに背を向け、自らの力を善の為に役立てている。

 以前、それなりに力のあった魔術師の父を、大魔王が召喚した七匹の大蛇の一匹、水の蛇に殺されてしまった。そのため、水の蛇に復讐するために、集められるだけの情報を集めている。

 現在、七匹の大蛇の一匹、陽の蛇を、苦手な水を用いて罠をしかけ、水晶玉に閉じ込めている。

 見知らぬ者に対しては用心深く、訪問者を招き入れる事もめったにない。そのため、彼女を味方にするなら誠意を見せないとならない。

草原のディタインタ

 別名シャム。バク平原に時折姿を現す、女性の魔術師。贈り物をもらう事が好きである。

 背の高い中年女性だが、変身の呪文を用いて醜いノームのような姿に変身し、平原を徒歩で旅している。この変身は自身の正体を隠す以外にも、出会った者が『外見だけを見て判断するか否か』を見極めるためのものでもある。

 変身した姿で出会った相手が、敵か味方かと迷うのに対し、味方と思うなら何かよこせと要求する。

 相手が、このあつかましい要求を蹴って攻撃するような者ならば、即座に強力な魔法で反撃する。

 ただし、贈り物をくれるような気前の良い者には、変身を解き、正体を現す。そして善なる使命で旅する者には、有用な情報やアイテムをお礼にと贈ってくれる。

 大魔王の配下である「眠れぬラム」を足止めするためには、彼女の助けが必至である。


悪の代表者

オルドラン・ザゴール

「火吹山の魔法使い」に登場。

 火吹山の地下迷宮に住まう悪の魔法使い。

 アランシアのフラットランドに住んでいた悪の大魔法使い、ヴォルゲラ・ダークストームより教えを受けた、三人の生徒のうちの一人。学べるだけ学んだ後、残る二人とともに師匠を殺して独立。デーモンが夢を通じて見せた導きにより火吹山を知り、オークとアンデッドの軍を引き連れて進撃した。

 迷宮を占拠していたドワーフたちを殺し、ドワーフがため込んだ財宝を手にして、自身が火吹山の君主として君臨している。

バルサス・ダイア

「バルサスの要塞」に登場。

 黒い塔、「混沌の要塞」に住まう悪の君主。逞しい身体つきをしており、見た目はまるで戦士。実際、戦士としても剣の腕前は一級品である。美しく、魔術も用いるルクレチアを妻にめとっている。

 ザゴールの同門で、ヴォルゲラをザゴールらとともに殺害した。後に自身の祖父が建て、父のクラゲン・ダイアが支配していた「混沌の要塞」を、父親を刺殺する事で強奪。オークやゴブリンをはじめとする混沌の種族を集め、最強の軍を組織。

 この邪悪の軍勢を率いて柳谷とサラモリスへ戦争を仕掛け、そこの民を虐殺する事で悪の神々への貢物にしようと企んでいる。

ザラダン・マー

「モンスター誕生」に登場。

 空を行く巨大なガレー船、「ガレーキープ」に乗り、強大かつ巨大な軍勢を率いてアランシアを、世界を支配しようと企む悪の魔法使い。

 ザゴールとバルサスの同門であり、三人まとめて「悪魔の三人」と後に呼ばれるようになる。出生ははっきりしないが、幼少時には三人の魔女「ドリーの三姉妹」に育てられた。その時に、生物をモンスターに変化させる魔法「マランハ」を学び身に付ける。

 ヴォルゲラに師事し、彼を惨殺した後に独立。後に、イエローストーン鉱山で金鉱を掘り当てて財力と権力を入手。邪悪の種族を集めて軍団を組織する。

 エルフの『魔法の煙』の噂を聞きつけ、それを入手するが、解析に失敗。エルフの森を発見し、そこから『煙』の秘密を探ろうとするが、これも失敗。しかしガレーキープを発見した後、奪取してそこに司令部を置き、空からエルフの森を探索しようと企む。

 アランシアのエルフやドワーフ、各地方の軍や勢力と敵対しているのみならず、バルサスの軍勢とも敵対している。

ラザック

「甦る妖術使い」に登場。

 アンデッドを率いて世界征服を企んでいた妖術師(または邪術師)。現在は討たれ、石棺に死体を密封され安置されているはずだが、周囲に不穏な動きが起こっている。

 かつては大魔術師に師事。師匠は秩序と善に与していたが、ある時の授業で知った黒魔術に心惹かれ、独自に学ぶように。後に師匠の元から勝手に離れて、邪悪と混沌の魔法を極めていく。

 フラットランドの周辺に侵攻し始めたが、かつて自分が所有していた魔剣を、クルという戦士に発見され、それを用いられ殺された。が、殺される寸前。クルが骸骨のまま、永遠に生き延びる呪いをかけた。現在もクルの骸骨は、剣を見つけた湖で、剣とともに彷徨っているという。

マルボルダス

「恐怖の神殿」に登場。名前の意味はエルフ語で「闇の子供」の意味。

 本名はエーレン・ティンタセル。闇エルフ語で「嵐の子」を意味する。

 闇エルフに拾われ育てられた、人間の魔術師。成人するにあたり、最後の試練として「隠された数種の竜の飾り」を手に入れようとしている。

 かつては雪の中に捨てられていた人間の赤子だったが、闇エルフに拾われ、天からの贈り物とされて育てられる事に。

 闇エルフの邪悪な教えを学び、優秀な魔術師として成長。9歳の時に試練として、地上に出て森エルフの隠された町を発見し、闇の魔力による炎で壊滅させた。その時から森エルフたちの間で「マルボルダス」と呼ばれ、恐れられている。

シャリーラ

「雪の魔女の洞窟」に登場。

 氷指山脈の水晶洞窟と呼ばれる地下迷宮に座する、女性の魔術師。氷デーモンから啓示を受け、アランシアを雪で覆い尽くす事で、自分が支配しようと企んでいる。ゴブリンやオークのみならず、エルフやドワーフなども捕えて、逆らうと締まる首輪を付けさせて無理やり奴隷にしている。

 かつては、南の暖かい土地で生まれ育った女性。その地では、女性は魔術師になり魔術を学ぶ必要があった。その訓練の一環で、寒冷地に送られ過ごす試練を受けていた時に、氷デーモンに出会い宗旨替えをしてしまった。

 デーモンにより性格も捻じ曲げられた現在、吸血鬼と化して命と魂を啜り、氷の魔術に関し研究し続けている。

マンパンの大魔王

「ソーサリー」四部作に登場。

 カーカバードの北端、ザメン高地に要塞を築き、優れた統率力と指導力を与える「王たちの冠」をアナランドから盗んで、旧世界、ひいてはタイタンの全世界を支配しようと企んでいる。

 出身や魔術の師匠などは一切が不明。20代後半の時にザメン高地に赴き、オークやゴブリン、トロールなどを集めて、マンパンの要塞を建造し始めた。現地のバードマンの一派と衝突し、争いながらも要塞は完成。以後、デーモンの召喚や盟約などで、力を蓄えていた。

 後にこの地に住む七頭の大蛇・ヒドラと遭遇し、苦戦しつつも辛勝。この怪物の力に感嘆した大魔王は、七つの首を切り落とし、死人使いの技を用いて、七匹の翼ある蛇として復活させた。そして、それぞれに旧世界の神々の名前と対応する力を授け、自らの使い魔として仕えさせている。

 以降、これらの使い魔は『七匹の大蛇』と呼ばれ、大魔王とともに悪名を轟かせている。

ヴァレック・アズール卿

「盗賊都市」「真夜中の盗賊」などに登場。

 ポート・ブラックサンドを恐怖と力で治める領主。

 30年近く支配しているが、その外見を晒す事はほぼ無く、わずかに公衆の前に現れる時も、黒いローブで身を包み、その姿を見た者はほぼゼロに近い。

 かつてはクールのアリオン市の、高貴な両親のもとに生まれた少年だったが、邪教集団の儀式に紛れ込み、成り行き上入信。その後に商船に乗り込み、襲撃してきた海賊に気に入られて給仕になる。

 その後、十数年後に海賊団の長として現れる。いたるところを暴れ回り、数百人の手下とガレー船団を所有、富と権力も有するように。そして、かつてカーセポリスの名で知られていた廃墟都市の上に作られた、貧相な港町に注目。当時支配していた年老いた貴族、ヴァレンティス男爵からそれを奪い取り、支配してしまった。

 支配した後、都市を犯罪者や悪漢、邪悪なものどもの退避所として受け入れ、それらを力と恐怖、そして許可証システムなどの手練手管で支配。結果、かつて貧相だった港町は、巨大な都市へと成長。繁栄と彼の支配は現在も続き、悪名を轟かせている。


中立の代表者

 タイタンには、善と悪のみならず、中立の勢力も存在する。

 数は少ないが、はっきりした目的を持つ『善』の勢力。

 数は多いが、無秩序な『悪と混沌』の勢力。

 そして、その中間にある『中立』の勢力。

 これには、どちらの側にも与さず、世の問題から遠ざかりたい者たちと、もう一つ。

「善と悪を互いに相殺させ、二つの勢力を均等に保とう」とする者たちの、二通りが存在する。

 前者はただ、我関せずなだけで、神々も仲間も無く、哲学もほとんどない。ただ世の中に背を向けたいだけで、影響力はほとんどない。

 しかし後者は、世の中は善悪の天秤が均等かつ平等でなければ、存在しえないという思想を有している。そのため、善側が悪側に苦戦していれば、善側に味方して悪側の勢力を削ぐ事もある。当然、悪側が滅ぼされそうになると、善側へ攻撃し戦力を減らそうとする。

 時には、不利な側が反撃し勝たせる事で平衝を取り戻させるため、有利な方に味方し、さらに後押しするような事もする。

 この思想の中心は、策略の神、そして運と偶然の神でもあり、人間の創造者である神、ロガーンから来ている。

謎かけ盗賊(リドリング・リーバー)

「謎かけ盗賊(TRPGシナリオ)」「奈落の帝王」などに登場。

 ロガーンの従者であり名代。アランシア南部の密林など、各地にアジトを有しているといわれている。巨大な飛行船に乗り、善悪を均等化するべく世界中を回っている。

 だぶだぶの服を着こみ、道化師を思わせる姿の男だが、それが本性かどうかは定かではない。変装の名人で、どんな種族や性別の者にも変装する事が可能。行った先々に謎々、もしくは謎々めいた詩を残すのを好み、人々を惑わせる(謎かけ盗賊の名は、ここからきている)。人間離れした幸運に恵まれており、世界に混乱と均等とをもたらすためには、無限の力を持っているようにも見える。

 カラメール市の領主、ブルーストーン男爵を殺害し、追ってきた冒険者たちを利用して善悪の概念そのものを破壊しようと試みる。

 その後、カラメールが奈落の帝王ことバイソスとその軍勢に狙われた時。それに対抗する冒険者の窮地を救い、手助けをした。

喉斬り道化師(ジャギュレイティング・ジャグラー)

「凶兆の九星座」に登場。(プレイヤー)

 謎かけ盗賊同様に、世界の善悪の均等化のため、善悪両方に味方する冒険者。本人は「(善悪両方の)支配者をこけにする」という哲学で十分だとうそぶいている。

 道化服に身を包み、愛用の剣『舌』、同じく短剣『皮肉』を持つ。

 本業は道化師。しかし同時に、剣士と盗賊、暗殺の技も有しており、盗みと殺しの依頼も受ける。また、ロガーンより魔法の力『魔芸』も授かっており、魔術師の呪文よろしく使いこなす。善側からは情に流されず、大義のため冷徹な判断力を持つ密偵として、悪側からは野心を持たず金に忠実な内通者として、双方から依頼を受け、報酬と引き換えにそれらの仕事を請け負っている。


タイタンの神々

『天の王宮』の、善側の神々

 タイタンを創造し、現在は神々の領域、『天の王宮』に戻った善なる神々には、タイタンを創造した古き神々と、「最初の戦い」の前後に現れた新しい神々の、二種類に分けられる。

 現在はタイタンの各種族により、新しい神々が信仰され、台頭している。

新しい神々

  • シンドラ

幸運と運命の女神。8名いる新たな神々のリーダー。

  • リーブラ

正義と真実の女神。シンドラの娘。

  • アスレル

美と愛の女神。リーブラの妹。

  • ウスレル

平和の女神。リーブラとアスレルの妹。

  • コーガ、フォーガ

優雅さと誇りの双子の神。ウスレルの息子。対立する神々で、カーレではフォーガは復讐と天罰の神とされている。

  • テラク

勇気の神。コーガとフォーガの息子。獅子の神ロガールとも関係づけられる。戦士や傭兵などの守護神。

  • ハマスキス

学問の神


古き神々、およびその他の神々

  • タイタン

全ての神の元老にして、世界の父。

  • ガラナ

植物と生産の女神。タイタンの娘。エルフの創造神にして主神。

  • スロッフ

大地の女神。ガラナの妹。ドワーフの創造神にして主神。

  • フィラッシュ

火の神。スロッフの夫。

  • グランタンカ

太陽の女神。フィラッシュの姉。

  • ヴァ―ラング

精錬工や金属細工師の守護神。フィラッシュとスロッフの息子。

  • ロロディル

火山の神。フィラッシュとスロッフの息子。

  • ルナール

月の女神。

  • スーク

嵐の神。猛々しい気性で、善側の神とされながら、人間を食う邪悪な種族『殺生怪(ライフスティーラー)』にも信仰されている。

  • パンガラ

風の神。スークの弟。

  • ハイダナ

水の神。タイタン創世の時から、タイタンの海に住んでいる。人魚だけでなく、魚人のような混沌に近い種族からも信仰されている。

  • アクアリス

川の神。

  • ファリジス

氷と冷気の神。

  • ソリンザール

水夫の神。

  • フールクラ

旅の守護神。ソリンザールの弟。


  • ハシャク

スロッフに仕える半神。オークの創造神。

寸詰まりで茶色い皮膚の巨人として描かれる。スロッフがドワーフを作るのを見て、土を盗み自分流に何か作ってみようとした。その結果がオーク。


中立の神々

  • ロガーン

策略の神。親や親戚の存在が見られない。人間を創造した神として有名。

ローブを着た顔無き従者「カタ」と「ぺトロス」に、両側から引っ張られている姿で描かれる。ロガーン自身は道化のように背が低く、奇形でがに股、顔に奇妙な表情を浮かべ、ボサボサ髪に似合わぬ衣服姿、しかし真剣な眼差しを浮かべている……という姿で描かれる事が多い。


動物の王宮

 動物そのものの神々も存在する。彼らは善も混沌も関係ない、真なる中立と呼ばれ、他の存在がどうなろうと関係なく、種の存続以外には無頓着である。

 実際、神々と混沌の「最初の戦い」の時も、竜の神キラニラックスや獅子の神ロガール、鷹の神ホークロードは善側に付いたが、狼の神アルマーや蜘蛛の神アーハロゲンは混沌側に付いていた。

 ゆえに動物の神々は、人間や人型種族のみならず、原始人や蛮人など未開の種族の他、ゴブリンやオークなど邪悪かつ混沌側の種族にも信仰されている。


※なお、トカゲ兵を創造したトカゲの神スチス・チャには、以下のような逸話がある。

 神々と混沌勢の『最初の戦い』の際。スチス・チャはタイタンの地上にて、他の神々に気付かれないように、トカゲの皮と沼地の泥とで最初のトカゲ兵をこねくり削り取っていた。かの神は、自分のトカゲ型こそが一番美しいと考えており、いつか自分も己のイメージ像を世界に広めたいと考えていたのだ。

 その後、自分の創造したトカゲ兵たちをタイタンの沼地に隠し、神々の住む異界に戻るが、神々の王宮の隅で小ネズミの神カリープにでくわした。他の神々は戦いに出ており、カリープは王宮の隅で怯えている。

 これは好機と、スチス・チャは今まで夢見て来た欲望を実行に移した。すなわち、カリープを食ってしまったのである。が、カリープも神の一員。必死に戦い、スチス・チャは丸呑みにしたカリープをのどに詰まらせ、息が出来ず転倒し頭を打って死んでしまった(神々も死ぬ。ただし、転生するだけだが)。

 一説によると、トカゲ兵に似た双頭の人型トカゲ種族「カラコルム」が、ネズミを病的なまでに怖がる理由は、この逸話が原因ではないかと言われている。


混沌の暗き神々

  • 「死」

 混沌側の第一神。「創造するが破壊はしない」という善の神々に真っ向から挑戦し、物事はいつか存在を止めねばならないという天命を持ち込んだ。

  • 「疫病」「腐敗」

 混沌側の神々の次席。

「疫病」は別名「化膿の神」、「腐敗」は虫やカビ、全ての腐ったものの王でもある。魔王子など下位の神々や、蜘蛛の神アーハロゲン、蠅の神である女王フレムシュなどに仕えられ、タイタン中に病気を散布させている。

  • スラング

悪意の神。当初は善側の神々の一員だったらしいが、混沌側についた。

太った大男で、蛇のように別れた舌を持ち、手を口にかざしてささやいているかのような姿で描かれる。

  • タニット

嫉妬と妬みの神。スラングの妹。スラング同様に元は善側だったが、混沌側に付いたため、兄とともに追放されている。不気味な帽子を被ってベールを垂らし、黒いドレスに身を包んだ美女だが、その背中には邪悪に反った短剣を隠し、完璧な唇には残酷な笑みを浮かべている、という姿で描かれる。


タイタンの種族

  タイタンには、善悪両方に与する種族が存在する。

 善側はエルフ、ドワーフ。そして人間。その他、小人(ピクシー)、小鬼(スプライト)などの小さな種族が挙げられる。

 悪側は、オーク、ゴブリン、トロール、オーガー、蛇人ことカアス、トカゲ兵、闇エルフといったものが挙げられる。

 巨人は、その多くが野蛮かつ愚鈍だが、一部は太古の知識を蓄え、天候を操作できるものもいる。

 詳細は、タイタンの種族を参照。

 

タイタンの住民たち

 当然ながら、タイタンには善悪問わず、様々な人物が存在している。

 それらをこの項にて紹介する。


赤速(あかはや)

「雪の魔女の洞窟」に登場した、森エルフの冒険者。

 雪の魔女シャリーラの洞窟にて、首輪をはめられ奴隷にされていた。とある冒険者に助け出され、以後脱出してからストーンブリッジに向かうまでパーティを組む。そっくりな容姿の兄、秦皮(とねりこ)がいる。

秦皮(とねりこ)

「雪の魔女の洞窟」に登場。森エルフ。

 赤速の兄で、赤速とよく似た容姿をしている。森で矢柄を削っている最中に、シャリーラの「死の呪文」に呪われた冒険者と出会い、その時に弟がシャリーラに捕らわれ奴隷にされていた事を知る。

 癒し手を探していた冒険者を、癒し手の住居である洞窟まで案内した。

スタブ

「雪の魔女の洞窟」に登場。ストーンブリッジのドワーフ。

 赤速とともに、シャリーラの洞窟で首輪をはめられ奴隷にされていた。助けてくれた冒険者と赤速とでパーティを組み、ストーンブリッジに戻る。その際、ドワーフの友人モーリがトロールに殺されているのを発見し、仇討にとトロールの集団に戦いを挑んだ。

ビッグレッグ

「運命の森」に登場。ストーンブリッジのドワーフ。

 王の持つ伝説のハンマーを奪われたため、その行方を追っていたが、襲われ矢を受けてしまう。死ぬ寸前、ある冒険者にハンマーの奪還を依頼する。

トランブル

「運命の森」に登場。ストーンブリッジと敵対している、マイルウォーターのドワーフ。鷹匠で、鷹を用いてハンマーを奪った張本人だが、森の中に落としてしまい途方に暮れた。好戦的な性格で、斧と盾とを持つ。

ボーリー

「甦る妖術使い」に登場。ストーンブリッジのドワーフで、ヤズトロモの知り合い。発明家であり、熱気球を作ってシム、およびラザックに挑戦する冒険者に協力した。

シム

「甦る妖術使い」に登場。

 混沌を狩る猟人を名乗る、口ひげを蓄えた人間の若者。エルフに勝るとも劣らぬ弓の達人で、ラザックを倒すために旅する冒険者と出会い、その冒険行に参加する。

J・B・ラギンズ

「盗賊都市」に登場。

 ポート・ブラックサンドにて、カギ職人として店を出しているドワーフ。ニカデマスと敵対しているらしく、ニカデマスを探しに来た冒険者が、彼の友人だと答えると犬をけしかけた(逆に、敵だと答えると友好的になった)。カギ職人としての腕は確かで、あらゆる鍵を開けてしまうマスターキーを、金貨10枚で売ってくれる。

ベン・ボリマン

「盗賊都市」に登場。

 ポート・ブラックサンドにて、銀細工職人として店を出している人間の太った男。やや強欲だが、銀細工師としての腕は確か。とある冒険者の依頼で、ザンバー・ボーンを倒すために銀の矢を金貨10枚で作った(金貨が足りない場合、所有している食料全てを代わりに取って行った)。

ヨワのスワインベアド

「モンスター誕生」に登場。ドワーフの罪人。

 冒頭で、目覚めたマランハのモンスターに発見され、剣を振るったが瞬殺された。

 サラモリスの乾燥地帯での重罪である『放火』をしたらしく、その贖罪のために、ザラダン・マーに奪取されたエルフの『煙』の捜索に加わっていた。

グログナス・グロートゥース(グロッグ)

「モンスター誕生」に登場。マンオーク。

 コーブン村にて、犬を盗んで食べようとしたところを見つかり、人間たちから袋叩きにされていた。

 ドリーの三姉妹から探索の依頼を受けたモンスターに助けられ、その旅に同行する。

 占い師の魔女、ロシーナ・ドリーと知り合い。魔法の「煙」の一つを手に入れており、そのフラスコが入ったザックを隠していた。

ダーガ・ウィーズルタング

「モンスター誕生」に登場。

 よじれ樫の森に住む白髪の若きエルフ。魔法の『煙』を三つ所有する美しきエルフの女性、エルリア・フォールスホープの従兄弟。そして、エルフの『煙』の秘密を、酒場で酒に酔って人間たちに暴露してしまった、リーハ・フォールスホープの曾孫である。

 冒険心に満ちた若者であり、ザラダン軍のオフィタディオタウルスを世話するサイ男と親しくなった。そのサイ男に変身したザラダンから、知らぬ間に『魔法生物支配』の呪文をかけられ、本人の意識しないうちに『煙』を盗み出し、ザラダンに渡してしまう。

 人間などには、ホワイトリーフを名乗り、その言葉には、真実と虚偽が混じっている。しかし、魔女「ドリーの三姉妹」の持つアイテム「真実の指輪」の前では、真実を口にする(その際には、「ふむ」と言ってから話し始める)。

プームチャッカー

「サソリ沼の迷路」に登場。中立の人間の商人。

 強力な魔法の品と呪文を金を出してしこたま買い集め、それらを商品にしている。自身を魔法使いと思わせているが、その理由は、扱っている商品と、周囲への影響力を鑑みての事。

 交易にて、サソリ沼を迂回する時間と手間を節約すべく、沼の地図を欲している。良くも悪くも商売の利益を第一に考えている。

 ゴブリンのメイドを雇っている。また、剣の腕も低くはない。

セレイター

「サソリ沼の迷路」に登場する善の魔法使い。小屋に住み、植物系の魔法が得意。近所の評判もいい。善なる魔法の触媒となる植物、「アンセリカ」の果実を欲している。人が良いためか、会話しているといつの間にか隠し事も伝えてしまう。

グリムズレイド

「サソリ沼の迷路」に登場する悪の魔法使い。塔に住む。知識と魔法の珍しい品のコレクター。沼に住む魔法使いの集団「あるじ」の護符を欲する。他者を信用せず、金払いもケチる。

 置いてあるゴブリンの像を即座に動かし、自身のために戦わせる事が可能。また、デーモンを即座に呼び出す事もできる。

 強力なマジックアイテムを多数所有しており、自身も魔法の剣を所有し、使う事がある。

「あるじ」たち

「サソリ沼の迷路」に登場する魔法使いの集団。善・悪・中立の三つに別れ、動植物を司り、自然に関連ある魔法を用いる。それぞれが司る動植物を模した護符を持ち、それが魔力の源。庭園・鳥が善、狼・蛙が中立、蜘蛛が悪。

モルガーナ

「仮面の破壊者」に登場。クールの北に潜む悪の魔女。事象を司る12の魔法の仮面を作り、それを12のゴーレムに被せ、世界征服を企んだ。

アイフォー・ティーニン

「仮面の破壊者」に登場する、アリオン市の領主の友人である魔法使い。領主とは対等の立場であり、魔法を用いて統治のサポートを行う。モルガーナの陰謀を暴き、討伐するように領主に進言する。

へヴァー

「仮面の破壊者」に登場。アリオン市の北に存在する、枯葉の谷の領主。自身の城の宴に、ドワーフや鳥男や巨人などを呼び、ともに杯を交わす豪放磊落な男。どのような悪の存在も怯えさせるという、悪魔ヤッチャーの角から作った『へヴァーの角笛』の持ち主。

クイン

「運命の森」に登場する男。筋肉隆々で、森の中の自宅で、力比べする事を生業にしている。その姿に違わぬ怪力の持ち主で、腕相撲に勝てばアイテムをくれる。

スロム

「死のワナの地下迷宮」に登場するバーバリアン。「決死行」に参加した参加者の一人で、隻眼。斧を武器に持つ。牡牛のように力強く、戦いやサバイバルに関しては有能で頼りになる。半面、書物などは軽んじている。兄のクロムも同じく参加したが、兄弟ともども迷宮の罠により没する。

「決死行」の参加者

「死のワナの地下迷宮」に登場した、6人の挑戦者。人間の冒険者(プレイヤー)の他は、以下の五人。

クロムとスロムのバーバリアン兄弟(戦斧を武器に持つ)

女戦士(金髪で、妖精のような容姿。猫を思わせる緑色の目をしている。十字帯を締め、数本の短剣を持つ)。

騎士(プレートアーマーで身を包み、剣と盾を装備)

忍者(黒装束で、暗殺具や刀剣を装備)

「迷宮探検競技」に登場した挑戦者5人は、カーナス卿の名代である人間の奴隷戦士(プレイヤー)の他は、以下の4人。

カオスチャンピオン(全身をスパイク付のプレートアーマーで固め、メイスで武装)。

ドワーフの貴族

エルフの王子

東洋の戦士(侍。鎧に身を固め、刀を装備)

殺し屋フランカー

「ソーサリー」一巻「魔法使いの丘」、二巻「城塞都市カーレ」に登場。

 シャムタンティ内の、クリスタンティ近辺に現れる、殺し屋兼泥棒。

『王たちの冠』奪取の任を受けた冒険者と遭遇し、切りかかるが返り討ちにされ命乞いをする。

 カーレ内でも件の冒険者と再会し、助けてくれた礼として、ちょっとした手助けや助言をくれたりもする。

グランドレイガー

「ソーサリー」一巻「魔法使いの丘」に登場。

 シャムタンティ内の、ビリタンティ村にて、自分の名前を付けた酒場を経営している。

 愛用の斧を紛失している。もしもそれを見つけ届けてくれた場合、近場にある水晶の滝の通行証のみならず、友人であるカーレの実力者、『ヴィック(VIK)』の事を教えてくれる。

ヴィック

「ソーサリー」二巻「城塞都市カーレ」に登場。

 カーレにおける実力者で、非常に顔の広い人物。海賊や殺人鬼、レッド・アイのごろつき集団など、危険な連中に対しても彼の名を口にするだけで危機を回避する事ができる。

セスター

「ソーサリー」三巻、「七匹の大蛇」に登場。

 バクランド、バドゥ・バク平原を旅している、幌馬車の隊商を率いる黒エルフ。

「王たちの冠」の奪取任務を帯びた冒険者と遭遇する。商売人相手、または礼儀正しく接する相手ならば、それなりに誠意を見せる。しかし、下手に重要な任務を帯びている事を教えられたり、無礼を働く相手などに対しては、身ぐるみ剥いで平原に磔にしたまま放置してしまう。

 金を払えば、ワートルスープとグロイスター、薬草茶の食事を供してくれる。また、娯楽に飢えているのか、ジョークを用いて笑わせてくれたら態度を軟化する。

 商品を収めた幌馬車には、種々雑多な品物が詰め込まれており、値段もそれなりに手頃。王侯貴族の献上品になるような宝石や宝飾品の他、呪文書や食料、呪文に使用する道具などを売買できる。

ナッガマンテ

「ソーサリー」4巻「王たちの冠」に登場する、マンパン砦の拷問官。

 片目のオーガーで、その醜さは「ミルクすら酸っぱくなり、トロールですら気分が悪くなる」ほど。しかし仕事に関しては有能かつ芸術的(病的かつ堕落した芸術だが)。

 タイタンの拷問係の間では有名で、「ナッガマンテの血錆付き親指ねじり器」「オーガーの絞め金具」を誓いの言葉にしているほど。

 また、著作「ナッガマンテの拷問の書」は、文章はひどいものの、タイタンの拷問係にとっては長く聖典として読み継がれてきた。

 得意の武器は鞭。数m先のブヨの牙を、鞭を振るい抜く事が出来る。

 記憶に残る拷問は、マンパンに赴任してすぐ、金目のものを盗んだ蛮族クラッタマンに対し行ったもの。太い針を突き刺し骨を削り、瞼の裏にガラス粉を刷り込み、アキレス腱を切った(針を刺した時点で口を割ったが、楽しむためあえて無視していた)。

 自身の仕事にプライドを持ち、拷問室は常に整頓している。その点を敬意とともに賛美した相手には、プライドをくすぐられ、ついぞ情報を漏らしてしまう。特に、スローベン・ドアの一つの秘密を知っており、マンパン砦攻略のためには彼から秘密を聞き出す必要がある。

ピーウィット・クルー、および『シンのサマリタン』

「ソーサリー」4巻「王たちの冠」に登場する、バードマンの一派。

 マンパンに台頭した大魔王により、近場……ザンズヌ連峰に住むバードマンたちは脅かされ、一部は大魔王に取り入ってしまった。そのため、反大魔王派はマンパン周辺各地に散り、ゲリラとして戦っている。それが「シンのサマリタン」と呼ばれる一派。

 ピーウィット・クルーをリーダーとしている彼らは、大魔王を何とか倒して、ザンズヌ連峰に平和を取り戻したいと考えている。そのため、あえて大魔王軍に入り、大魔王派を装い内部から工作する者もいる(これが功を奏し、大魔王の忠実な部下なのに疑われ処刑という事態が発生。このために大魔王派のバードマンの内部では不満が生じ、忠誠心が揺らいでいる)。

 大魔王と戦う者や敵対する者には、協力を惜しまない。ただし、大魔王派、反大魔王派の区別がつきにくいため、身分を明かし味方にするのは極めて困難。

 見分け方の一つの方法として、父母への尊敬の違いがある。シンのサマリタンは必ず母親を尊敬しているが、大魔王派のバードマンはその限りではない(彼らにとっては、父親から学んだ戦いや狩りの仕方のみに敬意を覚えており、母親の事など思い出したくもないらしい)。

 彼らを味方にできたら、手渡された呼び子を吹く事で呼び出し、空を運んでもらう事が可能になる。ただし、彼らにとっても正体がばれる危険性があるため、おいそれとは呼び出せないが。

ジャン

「ソーサリー」1巻「魔法使いの丘」、4巻「王たちの冠」に登場するミニマイト。

 種族特有の「アンチマジックの霊気」のため、近くにいられると大抵の魔法が使えなくなる。

 シャムタンティの丘に住み、「王たちの冠」を奪い返す任務を帯びたアナランドの冒険者と遭遇。その者にまとわりつく。そのため件の冒険者は、魔法の呪文が使えずに苦労した。

 途中で森の魔女、もしくはスヴェンの祈祷師により追い払われたが、後にカーレからバドゥ・バク平原を横断し、件の冒険者を追っていた。イルクララ湖近くに住むフェネストラは、彼の知り合いらしい。

 後にマンパン砦の、重罪人を投獄する牢屋にて、冒険者と再会。その際にはクラッタマンに捕まり、羽を切り落とされていた。

 魔法を用いて脱出しようとするかの冒険者に対し、謎多きある呪文に関する助言をする。

ジャビニー

「ソーサリー」4巻「王たちの冠」に登場。

 人間の老婆で、盲目の物乞い。初見時はぼろ布のように見られた。

 元は治癒師で、落ちぶれた現在でも治癒能力は健在。相手の額に掌を付ける事で、病魔を吸い取り治療するのみならず、相手の心も多少は読み取ることができる。

 かつては、旧世界・カーカバードの南の海岸地帯、ダドゥー・ヤドゥーに住む治癒師から治癒の術を学んでいた。師匠は彼女に、アナランドの方に向かって、そこの人々のため治癒の力を振るってほしいと考えていたが、彼女自身はそれに反発。実入りが良いと思われるマンパンへと赴き、大魔王軍に参加。その治癒能力で兵士らを治療し、マンパンで贅沢三昧な毎日を過ごしていた。

 しかしある時に大魔王から、ある命令を下される。彼自身が連れて来たモンスター「マカリティック」の聴力の低さと声の小ささとを、治療し改善しろというのだ。不可能とも言えるこの仕事に失敗し、彼女は視力を奪われ、以降は物乞いをしてマンパン砦の隅で惨めに生かされる事に。特にサイトマスターたちからは、日頃いたぶられ、物乞いで得た僅かな金も取られ、恨みを抱いている。

「王たちの冠」奪取の任務を受けたアナランドの冒険者と接触し、病気を治したり、「シンのサマリタン」の事や、(自身をいたぶる)サイトマスターがアナランドを裏切っていた事などを伝え、ティンパン川の聖なる水を渡してくれたりした。

スラッシュベアード

『願いの井戸』に登場。ドワーフで、自分の身体が隠れてしまうほどに長く伸ばした髭が特徴。その髭の中には、小鳥を何羽も飼っている。

 井戸の底から続く、小規模の地下迷宮の最初の部屋に住んでおり、訊ねて来た冒険者たちに友好的に接し、手にした袋から小さな木の実を取り出して勧めてくれる(しかしこの木の実は、いくつか傷んでいるが、本人は気付いていない様子)。

シャグラッド

『シャグラッドの危険な迷宮』に登場。エルフの老婆。痩せて色黒で、顔中にしわが刻まれている。

 十年ほど前に、財宝が眠る小規模の迷宮の話を聞き、迷宮が存在する辺り一帯の土地を買い取った。老齢ゆえに冒険に出られないため、迷宮への挑戦者を募り、見つけた宝物の一割と引き換えに迷宮の出入口を教えてくれる。

プーキー

『シャグラッドの危険な迷宮』に登場。ドワーフの料理人であり、食堂経営者。

 迷宮内の一室に食堂を開き、二人の兄弟……グランティーとハンギーとともに経営している。

 供するのは、プーキー特製シチューの他は、ヴィトルにワートルスープ、グロイスターに薬草茶、ボンバの実、アードウルフ・ジョイント(アードウルフのもも肉のバーベキュー)にオーク・エール。


タイタンの生活・雑学

貨幣

 文明地域では、金貨(GP=ゴールドピース)が、ごく普通の通貨単位。

 銀貨(SP)や銅貨(CP)も流通しており、大抵は金貨1枚=銀貨10枚。

 ごく少数の国や地域では、金貨1枚以下の品を購入するため、標準の半分から4分の一サイズの金貨を流通させているところもある。

 また、一部のオークの集落では、金貨1枚分の価値の大きな銀貨を使用してたり、それとともに質の低い鉛や青銅の貨幣も使用している。

 なお、アランシアのフラットランドなど未開の地域では、金はもちろん、銅や青銅の延べ棒がそのまま通貨として使用されている。

 トログロダイト(穴小人)は、「人間やドワーフの骨」が通貨代わりになっている。指の骨が金貨1枚程度、肋骨や全身骨格などは、彼らにとってはひと財産なのだ。

 アランシアで良質かつ代表的な金貨は、アランシアのポート・ブラックサンドで流通させている、表と裏にアズール卿の紋章とドラゴンが描かれたもの。

 他には、アランシア東部・ドワーフの聖地ファングセインで鋳造された、若干小さめの金貨も流通している。こちらの両面には、ファングセインのナムルキム王の紋章と、ドワーフのルーンが描かれている。

 貨幣の他にも、物々交換も未だ行われている。特に貨幣があまり浸透していない未開の地や、貨幣を知らない未開人や蛮族に対しては、こちらの方が有効である。


食料・酒

  • ヴィトル

 旧世界、アナランドで旅の糧食として有名。パイ皮の小さな丸パンの中に干し肉を詰めたもので、数日間日持ちする。

  • ボンバの実

 赤いリンゴのような果実。暖かい地方で良く採れる。汁気も多く美味で、この果実と一緒に別の食料を口にすれば、回復する体力が二倍になる。ただし、似た外見の『ビター・スィート』という果実もあり、こちらは口にしたら腹痛を起こす。

  • ワートル・スープ

 灰褐色の、肉や野菜を煮込んだスープ。初めて口にする者には、時として発疹が起こるが、命に別状はない。

  • グロイスター

 どろっとしたチーズのような練り物付きのパン。非常にまずく、臭いも最悪だが、食べると運勢を回復させるという不思議な効果がある。非常に腐りやすく、日持ちしないため、持ち運びする事はできない。

  • ブリムベリー

 イチゴなどベリー類の一種。やや独特の臭いがする果実だが、薬効があり、絞り汁を瓶詰にしておけば日持ちがする。黄死病などの流行り病などでも、初期のうちにこの絞り汁を飲めば完治する事が可能。

  • アンセリカ

 紫色の果物。深緑の葉をつけ、白い良い匂いの花を咲かせる小さな灌木に実る。

 様々な病気を治す効果があり、治療師や薬師にとっては貴重な植物だった。しかし、悪側・混沌側にとってはなんの意味も持たないため、一時期根絶やしにされかけた。

 しかし、クールのサソリ沼にて一本だけ、その木が生き延びている事が判明した。サソリ沼の近隣の町・フェンマージに住む善の魔法使い・緑のセレイターは、ある冒険者にこのアンセリカの実を回収する仕事を依頼する。

 果実自体も、食べると非常に美味。

  • ボルケットの炙り肉

『ボルケット』という、熊の近接種の動物の肉。汁気が多く柔らかいため、人間のみならず他の動物からも狙われ、食されている。

  • ジャイアント・サンドウォームの肉

 砂漠地帯に棲む巨大なモンスター『ジャイアント・サンドウォーム(大砂蟲)』から採った肉。そこそこ美味で、砂漠の民の食料として流通している。

 なお、大砂蟲の皮は天蓋や革細工に、牙は象牙のような加工品や短剣に、それぞれ用いられている。

  • 棘々獣の肝臓の悪魔漬け

 旧世界、南カーカバード・シャムタンティ周辺や、北アナランドでは、よく食卓に上る珍味。

『棘々獣(ブリッスルビースト)』という、富裕層にペットとして飼われることの多い動物の肝臓を加工したものらしい。(「タイタン」作中に記述はあるものの、具体的な描写や説明がないため、詳細は不明)。

  • アードウルフ・ジョイント

 ジャイアント・アードウルフ(大アールド狼)の腿肉を串に差して焼いたもの。アードウルフは狼に似ているが、ハイエナに近く、昆虫を主食としている。

  • マニック・ビーストの肉

 マニック・ビースト(狂獣)の名で知られる、2足歩行の肉食のモンスターの肉。

 このマニック・ビーストはモンスターとしては恐ろしい存在で、ザラダン・マーがトロール牙戦争の時に、地下迷宮に不正規部隊として使っていた事が知られている。

 しかしその恐ろしさとは裏腹に、この怪物の肉自体はいくらか苦みがあるものの、極めて食用に適している。そのため、アランシア南方の都市ワープストーンでは、マニック・ビーストの足肉の焼いたものを提供する、家内工業が存在していたりする。

  • 眠りの木の実

 苦しみ悶えているかのようにねじくれた、小さな灌木に生る実。菱形の葉の陰に生っているその木の実は、白い錠剤を思わせる。

 この実を口にした者は、たちどころに眠ってしまう。

  • 沈黙の実

 甘く、汁気たっぷりの果実。

 食べてみるとすこぶる美味であるが、食した人間の声を一時的に奪ってしまう作用がある。そのため、意思疎通のために喋る事はもちろん、魔術師ならば呪文を唱える事もできなくなってしまう。しばらく経てば、この効果は消える。

  • チャブリーの実

 アランシア、トロール牙峠付近にて、高い樹木に実る果実。極めて美味。

 木は、平地にぽつんと一本だけ生えており、幹の色はほぼ黒に近い濃い茶色で、葉は不自然なほどに鮮やかな緑色をしている。

 大きく丸い実をいくつも実らせているのは、木の上の方なので、木登りが出来なければ採取する事はできない。

  • ホウジョウ木の実

 アランシアの、トロール牙峠付近の村、コーブンの食料品店で販売されている。栄養たっぷりなだけでなく、携帯食に最適なため、旅の糧食に用いられている。三食分三袋で、金貨一枚。

  • ジム草の根

 同じく、コーブンの食料品店で販売されている。具体的にどのようなものかは不明だが、一袋の単位で売られている。

※コーブン村の食料品店では、このジム草の根一袋に加えて、山猫の干し肉二塊、皮袋に入った香料入りワイン一袋、トウモロコシのパン一塊を、全部合わせて金貨一枚で購入できる。

  • 斥候人(スカウト)のくれる食料(仮)

 正式名称は不明。斥候人(スカウト)、または「付人」という、奇妙だが他者に親切な人型種族が提供してくれる食料。パンに似た固焼きの菓子で、形は立方体。食べると、減っていた技量や体力が完全に回復する。

  • ホールドガットのスペシャル・ブルー

 西アランシアで見られるエール酒。気味の悪い青色をしている。丘巨人ですら、二杯飲めば寒気がして気絶する。ひと瓶で銀貨四枚。

  • クィルの水

 旧世界、ブライスのクィルで見つかる。水のように見え、口当たりも味も水そのもの。しかし少量でも三杯飲んだら人間は死ぬ。通常は指抜き一杯の量を、金貨一枚で供される。

  • ブルナ・キャットブラッド

 クールに見られる、軽く甘いエール酒。一般には猫血川(キャットブラッド・リバー)の水を使うと見せかけるため、赤く染めてあると思われている。しかし実は、猫20匹の血が用いられており、飲むと……。

 瓶半分ほどで、金貨五枚。

  • スカルバスター

 ドワーフの特産品で、北西アランシアで飲まれる。小麦を、大きな御影石の裂け目を通し、蒸留して作った濃い茶色の酒。ドワーフが飲むなら、そのざらっとした舌触りを楽しめるが、人間が下手に飲んだら三分ちょうど床に伸びてしまうくらいに強い。しかし、注意深く飲めば人間も十分楽しめる。一杯金貨二枚。

  • オーク・エール(ビール)

 悪名高きグアーシュとは違う、強い酒。とはいえ、こちらの酒も下手に飲むと、ろれつが回らなくなり前後不覚になるだけでなく、気が大きくなって周囲にいる者に襲い掛かってしまう。


補足・食べるべきでない食物

 上記の食料・料理、酒類は、タイタン特有ではあるが、人間はもちろん、ドワーフやエルフ(森エルフは肉類を口にしないが)なども口にできるものである。

 しかし、何でも食べるオークのひどい料理をはじめとした、人間やその他の種族には口に合わないもの、食べるべきではないものも、当然ながら存在する。

  • グアーシュ

 オークの作ったエール酒。胃壁を大事にしたいなら、人間は飲むべきではない。

 聞く話によると、『苔だらけの洞窟の壁を、鼻にゴキブリを詰めて舐めた』ような味がするという。

  • ノームの血のソースを使用したエルフの内蔵料理

 北カーカバード・ザメンや、ザンズヌ連峰に住むオークの一族「切断腕族」の特別料理。エルフやノームに対する大規模な戦いの後の死を祝って出される、オークにとってのご馳走である。

  • ネズミの臓物スープ
  • コウモリのカレー

 両方とも、オークが食するありふれた料理。これらに限らず、オークは固く鋭いものも消化できる第二の胃を持ち、手で掴め齧れるものならなんでも口にして食べてしまう。

 そのため、敵の肉をそのまま食らう事はいつも行っているが、そのような新鮮な肉が手に入らなければ、野菜、木、金属、岩、泥なども含めて料理したり、あるいはそのまま口にしてしまう。

  • トビウオ

 カーカバード、イルクララ湖のトビウオは、外洋のものと異なる危険な魚類である。この魚をあえて口にしたら、ひどい味がするのみならず、数時間続く腹痛に苛まれる事となる。

  • 毒イチゴ

 アランシア、フラットランド周辺で見られる、汁気たっぷりの赤く熟れたイチゴ。

 見た目からして非常に美味そうに見えるが、食した者を完全に発狂させてしまう。知らずに食べた仲間から、不意を突かれ殺された……という事例がいくつもあるらしい。

  • 生きている肉塊(仮)

 バルサス・ダイアの『混沌の要塞』の食糧庫にて、壁よりぶら下げられている数種の肉塊。

 見たところは普通の干し肉にしか見えず、空腹の冒険者がそれを手に取って噛り付いても、違和感はない。肉自体は固く塩辛いが、不味くはない。だが、一口二口と噛んで飲み下すたびに、肉塊自体からうめき声が聞こえ、やがては肉塊自体が痙攣し手から飛び出す!

 そればかりか、飲み込まれた肉塊の一部が、消化されまいと体内で暴れるのだ。この攻撃に耐えられたなら、肉は消化され事なきを得るが、内臓にダメージを食らう事は必至である。

 この肉塊が、何の肉かは不明。しかし、食料倉庫でぶら下げられた状態でも生きており、人間が食べるには向いてない食材である事は確かである。

  • ミュータント・ミートボール

 マンパン砦にて、ホブゴブリンの女性給仕長スログが管理している台所にあった食物。

 ラベルが一部剥がれていたため、「アリの(アント)ミートボール」と勘違いされてしまう。

 このミートボールは、スローベンの薬剤師が作り出したもので、口当たりは良いものの、食べた者の身体に突然変異を起こさせる。

 その変異は様々。大魔王はこれを用い、ゴブリンなどに食べさせて異形の兵士を作り、己の軍の強化を図った。

 具体的に判明している変異は、以下の通り。

「脳が肥大化(即死」「体中の内臓が入れ替わる(即死」「皮下脂肪が異常膨張し、肥満体に」

「片足が縮み、尻尾のように変化」「鼻がゾウのように伸び、呼吸困難に」

「人間が別の種族そっくりに変化」「体中に爬虫類のような鱗が生え、爬虫類恐怖症に」

「回復不可能な、記憶の欠落。魔術師は呪文を忘れ使えなくなる」

「二本目の利き腕が生え、武器を同時に二つ使える」「頭部に角が生え、武器無しでも戦える」

  • マグソコガネの酢漬け

 同じく、スログが管理している台所にあった食物。どのようなものかは不明だが、その名の通り甲虫を酢漬けにしたものらしい。スログが勧めていた。

  • 奇妙なシチュ―(仮)

 人間以外の混沌側の種族のみならず、人間の側にも注意すべき料理と、それを作る者が存在する。一部の邪悪な宿屋の主人が作る、客を材料としたシチューがそれだ。

 宿屋に入り、休もうと寝台に横たわると、そのまま鍋の中に落ちる、あるいは寝台で眠り目が覚めると、ギロチンにかけられており、生死の選択を迫る……という事も往々にして存在する。

 そしてこの手の宿屋では、美味だが風味の変わったシチューが有名だったりもする。材料は罠にかかった間抜けな旅の客であり、誰も省みる者はいない。

 旧世界の水晶湖の南、ロルトゥーナのエルリク・ヴィナーが経営する「幸せな御主人亭」や、カーカバードのカーレの「旅の宿亭」などが、この手のシチューを人知れず供しているらしい。

  • ザラダン・マー軍で供されるシチュー

 邪悪な魔術師、ザラダン・マーは、自身の軍隊を擁し、そのための訓練所も所有している。

 その訓練所にて、兵士たちの食事として出しているのが、ハーフリング(ホビット)を食材としたシチュー。ザラダンの軍勢の中には人間もいるが、ほとんどは人間以外の種族で構成されているため、この食事に不満を口にする者はいない(司令官のサグラフでさえ、半トロールである)。

 このシチューは、喉を焼くほど熱いものの、兵士たちにとっては最高の味であり、肉もたっぷりと入っていて滋養もある。加えて、上司に対する忠誠心を抱かせる「操り草」も入れられており、裏切ろうとする者も出てこない。

  • 巨大キノコ

 魔界のデーモンたちにとっての人気料理の食材。タイタンの地上でのみ栽培できるため、デーモンの信徒たちは人里離れた場所にある、地下大洞窟にてこれを栽培している。

 ただし、これには世話が必要不可欠。魔界のデーモンやアンデッドはもちろん、魔奴隷(デーモン・サーバント)であっても魔界の社会的地位から世話などできず、最下位の魑魅魍魎(デーモン・スポーン)はあまりに無秩序過ぎてこれも不可能。

 ゆえに、キノコそのものから作業用労働者、およびその護衛兵士として、クローンを作り出し、世話および警備をさせている(この監督は、下位のデーモンが罰として命ぜられる事が多い)。

 ダークウッドの森の地下に、このキノコ農場の一つが確認されている。中には、人間が食べられるキノコもあるようだが、毒キノコも多く、クローンが死んだあとに生えるキノコも毒の胞子を放つため、人間やその他の種族は手を出さない方が無難と思われる。

  • 入れ替えキノコ

 ダークウッドの森に生えている、奇妙なキノコ。

 毒性があるわけではないが、食べた冒険者は、自身の技量と運の強さとが入れ替わる、奇妙な体験をした。

  • ゴミに生えたキノコ(仮)

 ファング「死のワナの地下迷宮」こと「決死行」にて。迷宮内のゴミの上に生えていたキノコ。

 これを食すと、たちまち身体が異常に成長し、巨大化するという作用がある。そのため、迷宮内で頭がつかえ、そのまま出られなくなり一巻の終わり……になった者も多い。

賭け事

 タイタン世界の酒場や遊技場では、荒っぽい冒険者たちや、一獲千金を狙う山師・ペテン師などが賭け事を行っている。賭け事に用いられているのは、以下のようなテーブルゲーム。

 他にも、クールの内海付近では、トカゲを用いた賭けレースや、殴り合いの賭け試合。カーレでは、オーガーやバーバリアンなどによる賭けレスリングなども行われている。

  • マンプリーペグ

 別名ピンフィンガー。テーブルの上に手を広げ、指と指の間に短剣を素早く突き刺す。賭け金が髙くなればなるほど、動きも早くなる。傷を負ったらゲーム終了。

  • ナイフィー・ナイフィー

 別名カーレ式ルーレット。ほとんどの国では御法度。

 見分けのつかない短剣六本が用いられる。内一本だけが本物で、残りの五本はばね仕掛けで刃が引っ込むようになっている。

 参加者は順番に、短剣を混ぜてわからないようにしてから、一本を選び自分の胸に突き刺す。それが偽物ならば、また戻して混ぜて、同じ事を繰り返す。本物を選んだら、そのプレイヤーは死に、最後の一人になるまでこれを続ける。参加者の支払った金は全て、生き残ったプレイヤーのものになる。

 ゲームの名人は、とんでもない金持ちになるものの、当然ながらゲームの性質上めったにいない。

  • テン・テン

 64のマスに区切られ、それぞれ1から9までの番号が付けられたボードを用いる。ボードのマスの半分は黒、残りのマスは白に塗られている。

 プレイヤーはそれぞれ、ボードに向かいダーツを投げ、黒に刺さればマスの点を加算、白なら合計点から引く。

 ゲームを続け、プレイヤーのうち誰かの合計点が丁度10点、またはマイナス10点になったら、そのプレイヤーの勝利となり、賭け金をもらえる。

 主に旧世界のラドルストーンおよびアナランドで盛んではあるが、タイタン中の文化的な都市のほとんどで行われている。

  • 六選び

 サイコロを用いた賭け事。最低でも貨幣が一枚以上は必要。

 1から6までの数字を選び(複数を選べる)、賭け金をその数字に賭ける(数字を複数選んでいたら、それぞれに賭け金が必要)。続き、胴元がサイコロを振り、出た目が選んだ数に一つでも一致すれば、その数字に賭けた金額の五倍の賭け金が手に入る。

  • 呪文石

 いささか危険な賭けではあるが、その分賞金は豪華になる。

 参加者は六人程度が普通。数が多くなると、その分賞金も豪華になる。

 まずは参加者が、参加料を徴収される。続き、胴元が石を用意。この石には、一定時間経過したら爆発する呪文がかけてある。

 そして、参加者は輪になって座り、この石を手から手へと石を放る。時間が経過し爆発した時に手にしていた者は、その時点で失格となり抜けなければならない。両手にかなりの火傷を負うというおまけ付きで!

 残った者には、新たな石が与えられ、同じ事を繰り返し、最後の一人になるまでこれが続けられる。残った一人は勝者として、徴収された参加料が賞金として手に入る。

  • 捕虜裏表(仮)

「謎かけ盗賊」のアジトの一つにて、部下の円盤人たちが人間の捕虜を用い行っていた賭け事。正式名称は不明。

 まず、参加者は賭け金を取り出してその場に見せる。胴元も同じ額の賭け金を出す。

 続き胴元が、手足を縛り上げた捕虜を空中に放り投げる。その際、賭ける者が「表」か「裏」のどちらかを宣言する。

 頭か腕、上半身から落ちたら「表」、足か下半身から落ちたら「裏」となる。予想が当たれば、賭け金は倍になり戻ってくる。外れたら、そのまま掛け金を取られる。

 参加者の数が多い場合、チーム対抗で賭けを行い、代表者が「表」「裏」の宣言を行う。

  • バタール競争

 クールの内海にある港町、カラー市にて行われている賭け事。細長い砂地にコースが設置されており、その端には杭が打ち込まれ、哀れな犠牲者(大抵はゴブリン)が縛り付けられている。

 コースの反対側には20匹ほどの大きな競技用バタール・トカゲが結わいつけられ、賭けの参加者はそのトカゲのどれかに賭け、胴元に賭け金を支払う。

 スタートの合図とともに縄を解かれ、トカゲたちは杭に縛り付けられた犠牲者へと走り出す。最初に犠牲者に牙を突き立てたトカゲが優勝で、それに賭けていた者が倍の掛け金を手に入れる事ができる。内海という海賊が横行する地域ゆえ、賭け金の代わりに奴隷を賭け代にする事も可能。

  • なぐりあい試合

 同じく、カラー市にて行われている賭け事。

 参加者は一人。鉄棘付きグローブをはめて、胴元の用意した相手と殴り合い、先に殴り倒した方が勝ちという荒っぽいゲームである。うまくいけば、賭け金が倍になって戻ってくるが、逞しいオーガや、剣闘士として鍛えられたバーバリアンなどが相手になるため、大抵は賭け金を失い青痣を貰う結果になる。


スポーツ

タイタンにも、スポーツは存在する。しかし、荒々しい世界ゆえに、スポーツマンシップが徹底しているとは言いがたい。また、オークのような血なまぐさい混沌の種族のスポーツは、参加者がすぐに死亡する事でも有名。

  • ベイズ・ボール

 小型種族ベイが発祥の球技。アランシア北西部に住む、ベイたちの共同体で良く行われている。

 1チーム5人で、二つのチームでプレイ。チームは投手一人、捕手一人、野手四人(一塁~三塁手、外野)から構成。一度のゲームで交替者二人と部外者一人の参加が許される。

 各ゲームでは、イニングを六回行い、それぞれの回に相手の投手のボールを打つ機会を得る。打者側は一度のみ打てる。打ち損じ、キャッチされるとスリーアウトによりイニング終了し、投手側と打者側が交替になる。アウェイチームが最初に攻撃側になる。

 有名なチームは、ポート・ブラックサンドの「ギャロウズ・ストリート・グールズ」、サラモリスの「バレー・ロード・バガボンズ」など。

  • オーガー・ボール

 ベイズ・ボールを模した競技。人間、またはオーガーやトロールのような、より大型の種族が行う。ただし、この球技は捕手が切り株やフェンスポストで代用され、それに目掛けて投手がボールを投げつけるため、熱心なベイズ・ボールのファンは軽んじている。

  • オーク・ニー

 オークの行う血生臭い球技で、一番よく知られている。

 二つのチームが争い、それぞれ20名のメンバー内から4名選びプレイ。

 フィールドは、地面に描いた大きな円。その真ん中に、長いネットまたはロープを張って2つに区切る。使用するボールは、豚かトロールの膀胱を膨らませたものだが、時にはキャベツやメロン、ドワーフの首で代用される。

 最初にオークの一人が、ボールをネットの向こうに蹴り上げる。相手はこれを空中で戻すのだが、その際には膝(ニー)か頭しか使ってはならない。ボールが落ちるまで、これを繰り返す。

 ボールを円内に落としたら、落とした側の相手が得点。ボールを円の外に出したら、出さなかった方の得点になる。7点先取したら、取った側が相手の選手を一人食う事が出来る。これを繰り返し、最後にどちらかのチームに選手が残れば、勝者となる。

  • 奴隷パス

 オークが行う、オーク・ニー以上に過激かつ残酷なスポーツ。

 人間やドワーフの捕虜を縛り上げて簀巻きにし、フィールドで蹴ったり、投げたり、跳ね返したり、押し上げたり、下げたりするゲーム。

 異なる部族の8人から10人のチームが、この奴隷を出来るだけ長く生かし、どちらかの側のフィールドの端にある小さな穴に、奴隷を押し込めて得点する。

 ゴールの穴に押し込めた時、奴隷は生きていてバラバラにされてはいけないとか、プレイヤーは出来るだけフィールド上に残っていなければならないなどの基本ルールがあるが、その他に制限はない。そのため、たいてい血みどろのゲームとなる。

戦闘技術

  • ハエ刺し

 アランシア、カラメール市付近で隠居している元冒険者・バロロが習得している技。

 抜いた剣を、まるで投げ槍のように目標へと投げつけ、突き刺す事ができる。当然ながら使ったら剣を無くしてしまうため、その一撃で確実に相手を仕留められるようにと見極める力が必要。また、身体の力を完全に抜く必要があるため、戦闘の最中に用いる事もできない。

 ただし、習得出来たら剣が届かない敵に対し、投げつけて突き刺すなど、様々な戦法が可能になる。

  • セレグボール

 闇エルフの名門貴族、キャムカーネイヤー家出身の闇エルフが用いる素手戦闘術。言うなれば、キャムカーネイヤー流格闘術。

 邪術師ルドウィカスの部下で、角蛇ジアルガの称号を授かったキャムカーネイヤー出身の闇エルフが使用していた。基本は素手で、両手のパンチで攻撃するようだが、件の闇エルフは両手袋に爪を装着しており、それを用いて相手にダメージを与えていた。


トロールのユーモア

 タイタンにおけるトロールには、妙なユーモアのセンスがあり、様々な土地で有名。

 しかし、洗練されてはなく、表現はくどく内容は粗野、トロールの思想を探る上では意味があると研究者は語る。

 史上最高のトロールのコメディアンとして有名だったのは、『荒くれ』ザーグ。彼は旅回りの一座とともに、アランシアのフラットランドを良く回っていた。彼はある時に芸を披露した際、安物のオーク・エール(グアーシュとは違う酒)に酔ったドワーフの聴衆に、誤解から後に殺されてしまった。

 以下のネタが、ザーグの広いレパートリーの中から、トロールのユーモアとして最高と言われているものである。


「あのドワーフ、なんで慌てて道を横切ってんだ?」

「そりゃ、そうしないとおいらが足を叩き切って、臭い足をその鼻に押し付けるぞって言ったからさ。へっ、へっ」


「おい、でっかい岩でドワーフぶん殴ったら、何をもらえたと思う?」

「大笑いをもらえたのさ、へっ、へっ」


「なあ、12個も兜をかぶったドワーフに会ったら、どうすりゃいい?」

「別に。頭の代わりに胃袋なぐりゃいいじゃないか。へっ、へっ」


「おい、ドワーフ6匹を牛車に詰め込むにゃどうすりゃいいんだ?」

「簡単さ。まずでっかい斧で6匹をばらばらにすんだよ。そいつを全部食っちまって、お前が牛車に乗りゃ、6匹分のドワーフ乗っけたのと同じじゃないか。へっ、へっ」


ゴブリンのジョーク

 アナランドから「王たちの冠」奪取のために、カーカバードに旅立った冒険者。

 彼は、頭の弱いゴブリンをネタとしたジョークをいくつか知っており、それを黒エルフの隊商に披露して大笑いを取る事で、警戒を解いた。

 判明しているのは、以下の二つのネタ。ただしこれらを下手にゴブリンに披露したら、どうなるかは定かではない。


「とあるゴブリンのウェディングケーキは、スカンク熊の糞で出来ています。何故だかわかりますか?」

「花嫁に悪い虫を付かせないためです!(スカンク熊は、悪臭を出す事で有名。その糞も同様。その悪臭で、あまりに醜いゴブリンの花嫁にたかる虫を追い払おう……というギャグ)」


「自分の知ってるゴブリンは、自分の名前のスペル(綴り)を覚えようとしないんです」

「そのゴブリンが言うには『スペル(呪文)が使えるのは魔術師だけだ』(綴りのスペルと、呪文のスペルを引っかけたダジャレ)」


民話「ロガーンとトロール」

 人間を産み出した、策略の神ロガーンは、よく民話や昔話にも登場する。他の神々が、格調高い神話にしか出てこないのとは対照的。

 その内容は、舞台はタイタンの地上で、ロガーン自身が策略を行い、尊大なものや残酷なもの、愚かなものを、巧妙にとっちめるところで終わっている。

 他にも、ロガーンが文字や火、車輪やたばこなど、様々なものを発見した事も説明している。

 そしてロガーンは、いつもその話の主人公でありつつも、自身も愚かな出現や退場をしている。

『ロガーンとトロール』は、この種の典型的な民話。多くの地で、農夫やきこりがベッドで、子供に語って聞かせる話である。


「……昔々、ロガーンが田舎を旅していたら、ある村に辿り着きました。

 そこでは村人たちは悲しんでいました。なぜなら村には、大きくて悪いトロールが毎晩やってきては、村人たちを食べるために何人もさらって行くと言うのです。

 そのトロールは、丘の洞窟に住んでいました。トロールは太陽の光を浴びると、目が見えなくなってしまうので、昼間はそこで眠っているのです。

 ロガーンはトロールの洞窟を見つけましたが、トロールのひどい臭いで入れません。

 そこでロガーンは、ロープを取り出して投げ縄を作り、空を回っている太陽の女神グランタンカを捕まえました。ロガーンはえんやこらと引っ張り、グランタンカを地上に下ろしました。

 誰もがそうするように、グランタンカもロガーンに文句を言い、自由になったら天罰を下すと脅かしました。ロガーンは気にせず、グランタンカに袋をかぶせ、あっという間に夜になりました。


 洞窟の中で、夜になった事に気付いたトロールはあくびをしつつ、えらく早く日が暮れたものだと起き上がりました。それから棍棒を担ぎ、また村に向かいました。

 でもトロールが洞窟を出た時、ロガーンは袋を解いてグランタンカを自由にしました。

 太陽の女神はびゅーんと空に舞い戻り、トロールは太陽の光を浴びて、悲鳴を上げつつ棍棒を取り落とし、両目を手で押さえました。すかさずロガーンは棍棒を拾い上げ、トロールを殴りつけました。

 ロガーンは死んだトロールを村に引っ張っていったので、村人たちは大喜びしました。

 でもお祭りをした次の日。ロガーンが村を出て歩いていたら、太陽の女神グランタンカが空からロガーンを見つけました。グランタンカがロガーンに火の玉を投げつけると、ロガーンは真っ黒こげになってしまい、村人たちはお腹を抱えて笑い転げました……」

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