大魔神カノン
だいまじんかのん
概要
2010年にテレビ東京で放送された特撮テレビドラマ。全26話。
大映製作の往年の特撮時代劇『大魔神』のリメイクだが、内容はほとんど別物となっている。
『仮面ライダー響鬼』を途中降板し、KADOKAWAに移籍した高寺重徳が久々にプロデューサーとして手懸けた作品でもあり、『クウガ』『響鬼』の文芸担当で『響鬼』前半の脚本家でもあった大石真司がメイン脚本家を務めた。
あらすじ
古くから伝えられていた、大切にされてきたものに命が宿った付喪神「オンバケ」
オンバケは長きにわたり、人間の邪な心の塊である妖怪「イパタダ」とひそかに戦い続けていた。
田舎から上京してきた少女・巫崎カノンは、都会の環境に馴染めず、仲間からの裏切りにより自分を見失っていたが、ひょんなことからオンバケの存在を知り、彼らとの交流で心を開いていく。
やがてカノンの体には、故郷の伝説に登場する、かつてイパタダを封印した「大魔神」が封印されていることが発覚。大魔神を目覚めさせるための鍵は、カノンの歌だったことわかり……
評価
当初こそは久しぶりの高寺P作品ということで、特に『響鬼』前半の作風を好むファンから期待されていたが、いざ放送されてみると多くのファンの期待を裏切る結果となった。
その評価たるや、ニコニコ動画での無料配信の再生回数が、最終的には1000に届かなくなるレベルである。
主な問題点には二つがあげられる。
- 全体的にスローで退屈な展開
『大魔神』としてはともかくとして主人公・カノンの成長物語としてみれば楽しめるという声もあるが、物語の進行がゆっくり過ぎて間延びした感じがして退屈なうえ、映像面での迫力や盛り上がりにも欠けてしまう。
- 特撮としてのエンターテインメント性の欠如
「特撮」とは着ぐるみやミニチュアセット、映像合成やCGなどの特殊効果を使い、現実には撮影困難な映像を作り出す撮影技法の一つというのが通常の定義である。上述の映像面での迫力や盛り上がりにも欠けるという部分は『響鬼』前半にも見られたが、それでも響鬼は「着ぐるみやCGを使ったライダーと怪人の戦闘」「武器や変身ベルトなどの連動アイテムの販促」などの要素が製作で必須であったため、結果としてプロデューサー降板による展開の急な変わりようなどから賛否両論となりながらも見所があった。
しかし今作の場合、バンダイではなくKADOKAWAが出資し深夜番組ということもあって玩具販促ノルマはなく、また制作予算も10億円と非常に潤沢にあったものの、細部まで妥協せずに作り込むという高寺Pの悪癖が出て、労力・予算・時間を好きなように注ぎ込み、自分の趣味を追求した結果、「特撮番組である必要が無い」とまで評されるほどになってしまった。
悪い意味で『響鬼』前半の再来であり、プロデューサー交代の正しさを証明する皮肉な結果になってしまった。今作以後、高寺Pは特撮には関与していない。