概要
USB(ユーエスビー、Universal Serial Bus: ユニバーサル・シリアル・バス)は、コンピューターに周辺機器を接続するためのシリアルバス規格の1つである。
基本的にA端子について記述する。
規格 | 最大通信速度 | 電力 | 備考 |
---|---|---|---|
USB 1.1 | 12Mbps | 5V 0.5A | 初期規格 |
USB 2.0 | 480Mbps | 5V 0.5A | 端子が黒い |
USB 3.0 | 5Gbps | 5V 0.9A | 端子が青い |
ただし、データ転送の処理はPCのCPUに依存するので、CPUが大量の処理を抱えている時にはこれより大幅に通信速度が遅くなる。USB3.0(後のUSB 3.1、USB3.2を包含してUSB3.x)ではビットレートの増加に伴いUSB3.x通信専用信号線が追加されているが、できる限りUSB2.0以前と互換性を取るように設計されている。
USBの利点は
規格を統一することで規格乱立・規格戦争を終結させると共に低コスト化の実現
ホットプラグ可能(通電状態での抜き差しが可能)
接続点からの(比較的大きな)電力供給
端子自身にデバイス・クラスが定義されている
デバイス・クラスとは細かい話は省くが、大雑把に言うと「私はUSBメモリだ」「私はマウスだ」などのように事前に定めておく事で認識を短縮する機能である。
これはコンピューターではない、細かいカスタマイズが困難なゲーム機にも大きなメリットでありそのゲーム機専用のハードウェアでなくても最低限認識させて動作させることが可能になる。
当然このデバイス・クラスには「私は汎用デバイスではない、専用のドライバが必要」と定義することも可能になっている。
電源いれっぱなしでも抜き差し(活線挿抜)できるという利点があり、また同様の機能を持つIEEE1394と比較しても周辺機器の価格が安価にできるため、近年ではディスプレイ接続を除くPC周辺機器の接続はほぼこの規格で統一されつつある。
ただし、USBはホスト機器と周辺機器を接続するための規格であり、LANを組むことができないので、複数のPCで周辺機器を共有する場合は、無線LANやEthernet経由でLAN接続される。さらに、処理の遅延が困る用途(プロ用音楽機器、DVカメラなど)ではFireWire(IEEE1394)が用いられており、大量のデータを扱う用途ではThunderbolt(Light Peak)という規格が登場している。
USB機器をLANネットワーク上に接続する機器はデバイスサーバと呼ばれる。
ちなみに、スピーカーなどの音響機器の接続にはトスリンク対応の光デジタル音声端子が、外付けHDDではeSATAが採用されることもある。
余談
- USB対応周辺機器にはご存知のとおりUSBから電源を供給してもらう機器もあり、接続時の誤作動を防ぐために電源線が信号線より先に接続されるように電源端子が長くなっている。また、USB3.xではUSB2.0以前との互換のためSuperSpeed通信線は端子の差込時に最後に接続されるようになっている。
- USBの電源供給能力は、通常のデバイスの場合USB2.0で5V/0.5A(2.5W)、USB3.xで5V/0.9A(4.5W)と規定されているが、バスパワータイプのUSBハブやノートパソコンなどの電源供給能力が弱い(または足りない)ものではこれを満たせないことがあるので、USB接続のストレージ機器など5V以外の電圧を必要とする機器、あるいは5V電圧でも電力を多く消費するUSB機器では電力不足で動作しないことや、ACアダプタなど外部電源が必要になることがあるので注意が必要。
- USBの信号線を使わず電源を取るだけの商品(USB扇風機やUSBライトなど)も存在するが、便利である一方USBの規格では規定されていない使い方なので、これが原因で故障してもメーカーが保証している一部機種を除き保障してもらえないので注意が必要。
- いわゆるUSBメモリを「USB」と呼び習わすことがあるが、WikipediaをWikiと呼ぶのと同じくらい不適切な通称であることに注意されたし。
技術サイドの余談
- USB2.0まで同期信号の重畳に1で信号そのまま、0で信号反転をするNRZI符号化を用いていたため、順次送信するデータのビットに1が続くと同期信号が無い状態が続いてしまうため、USBの場合では6ビット1が続くと強制的に0を挿入して同期を取る(ビット・スタッフィング)ようにするため、真っ白な画像など一部のデータの転送ではデータレートが落ちることがある。(USB3.xのSuperSpeedモードでは8b/10b変換を採用しているため、この現象は起こらない)