二郎丸
じろうまる
1.「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」の登場人物。→鷹羽二郎丸
2.映画「バケモノの子」の登場キャラクター(本項で解説)。
「闇ってなんだい!?オイラ馬鹿だから分かんねえよ!兄ちゃんが何者だって知らねえよ!オイラにとっちゃ兄ちゃんは兄ちゃんだ!」
概要
人間と相対した種族・バケモノの社会随一の大都市・渋天街に住む猪の少年であり、街の現宗師・卯月の後任候補の一人である猪王山の次男。兄には一郎彦がいる。
名前の「丸」の字は、諸説あるが平安時代の日本の一人称である「麻呂」が転じたとされる他、同じく平安時代に於ける汚物や便所の俗称でもあったことから厄除けとして一字添えていたとされる。兄が「彦」という高尚な者を称する一字を付けられていることから、彼は家督を継ぐ立場ではないことが伺える。
しかしそれでも家族からはふんだんに愛情を受けており、彼自身も誇り高い父・猪王山や兄・一郎彦のことを心より尊敬していることから、本人は特に意に介していない様子。家督の相続権がないことも、言い換えればそれ故に求められる能力や責任感から来るプレッシャーを受けずに済み、自身の意志で考え行動出来る融通の効いた環境にあるということでもある。
周囲から溺愛されて育った故か、性格は表裏なく朗らかで純真であり、友人にも多数恵まれている。一方人間を疎んじるバケモノ界の世俗的な価値観から、特例で渋天街に暮らすことになった人間の九太を複数の友人と共に虐めるという愚行をし、一郎彦から叱責を受けていた。しかしその後武芸を心得た九太との対決に敗れるも、その強さに魅了され以降は彼と親しくなり、後に九太の師である熊徹が猪王山に匹敵する程の支持を受けるようになってからはそれを真っ当に評価したり、次期宗師決定戦の前日には彼と互いの父、兼師の健闘を称え合うなど、自身の立場を気取らない父・猪王山を思わせる好青年に成長する。
能力面に於いては、上記の台詞で自身を卑下した発言をしているが、彼の周囲には九太や一郎彦といった文武両道に相当秀でた秀才がいることから飽くまでその二人と比べればの可能性もあり、二郎丸自身も決して拙劣というわけではないのかも知れない。
次期宗師決定戦の後に、猪王山の口から一郎彦が自分の実の兄ではないばかりか種族さえも異なっていたという衝撃的な事実を告げられるも、それでも尚相変わらず彼を自身の兄と慕う姿勢を見せ、それを目の当たりにした両親は感激のあまり涙した。
当初は童心ながらに物事の本質を見ようとせず勝手な先入観から九太を蔑ろにし、尚且つ特別能力に秀でているわけではないが、認識を改めてからは九太との交流を通して自主性を発達させていったことで、先入観に囚われず自らの意志で物事を見極め誰であろうと他者を敬うようになるまで成長した。
己の弱さから逃げる余り周囲の想いやりを蔑ろにし凶行に走ってしまった一郎彦とは、実の兄弟ではないとはいえ親を同じとする者同士という観点で対比されていると言える。皮肉なことに、長男且つ世継ぎで能力にも秀でていた故に将来を有望された一郎彦よりも、次男故相続権を持たず大して能力も秀でていない二郎丸が父・猪王山の思想と教育の在り方を立証したのである。もし一郎彦がそんな二郎丸だけにでも自らの秘密と弱さを打ち明けていれば、彼はそれを快く受け入れ励ましていたであろうことは想像に難くない故に、闇に侵されることもなかったのは言うまでもない。