概要
ソビエト連邦が1974年にスタートさせた。
よく比較されるスペースシャトル同様、宇宙船の再利用によるコスト低減を狙っていた。
再利用方式の宇宙船は一度飛ばすだけでも多額の費用が必要であり、使い捨て方式のソユーズを使ったほうがずっと安く済むという結論に至って計画は中止された。
打ち上げは無人で試験的に一度行われたのみである。
建造されたうちの2機は、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地の廃墟となった格納庫に現在も放棄されている。
スペースシャトル(STS)との比較
STSがオービター自体にメインエンジンを搭載しているのに対し、ブランのオービターには軌道上での制御用エンジンしか搭載していない。
STSでは外部燃料タンクがある位置に、ブランではメインロケットのエネルギアがある。エネルギアは一本のメインロケットと、ミッションにより4本まで追加可能な補助ロケットで構成されている。
再利用可能なのは補助ロケットのみであり、メインエンジンは使い捨てとなるが、メインエンジンの慣性質量がないので帰還時の減速が容易となるほか、オービター自体が軽いのでその分をペイロードに充てることができ、STSと比較して5tほど多く積める。
搭乗員席は射出座席となっており安全性も高い。
加えてSTSでは自動操縦は緊急時の非常手段として搭載されているに過ぎなかったところを、ブランでは標準で完全自動操縦となっており、無人での運用も可能である。
【旧ソ連製スペースシャトル「ブラン」試験機『OK-GLI(Buran Analog BST-02)』】(ドイツ連邦共和国・シュパイアー技術博物館屋内常設展示)
※シュパイアー技術博物館(所在地:ドイツ連邦共和国ラインラント=プファルツ州シュパイアー) 公式YouTubeチャンネル『Technik Museen Sinsheim Speyer』より転載(詳細はTechnik Museum Speyer 公式ページ『Spaceshuttle BURAN』(外部リンク)の英語情報を参照の事)。