ニシキヘビ
にしきへび
概要
爬虫綱有鱗目ヘビ亜目の内、ニシキヘビ科に属する大蛇の総称。英語ではパイソン(Python)と呼ぶが、これはギリシア神話に登場する怪蛇ピュートーン(ピュトン)に由来する。
- ニシキヘビはボア科の亜科とする説もあるが、環境省では特定動物リストの見直しに伴い、2021年現在独立した科=ニシキヘビ科として分類している。
全長2~10メートルに及び、蛇の類でも最大級の種を含む。
体は太くて長く、一般に色彩が派手で、黄褐色の地に赤褐色または黒褐色の斑紋をもつ種が多い。オスの肛門の両脇に後肢の痕跡があるのが特徴。肉食性。
一部の種では、メスが産んだ卵を自らの身体で巻き付け、保護する行動が知られている。
アミメニシキヘビ・ボールパイソン・アフリカニシキヘビなどの種が存在する。
大蛇と言えばアナコンダを連想しがちだが、公式記録ではオオアナコンダの9.0mに対し、アミメニシキヘビが9.9mで世界最大である。
またアナコンダ属の生息域が南アメリカのアマゾン川流域であるのに対し、ニシキヘビ属はというとアフリカからインド、インドネシア、スリランカ、フィリピンなど広大な生息域を持つ。
つまり遭遇率等の面から見ても、人間にとってニシキヘビの方がより危険度の高い存在であるといえる。
恐ろしいことに、インドネシアでは人が行方不明になった後で丸々と太ったニシキヘビが発見され、腹を裂いてみるとその人の死体が出てきた、という事件が実際に起こっている。これらはいずれも最大種のアミメニシキヘビによるものである。
その原因として、樹上生活を送るニシキヘビが森林開発により住処を追われ、餌に困って人を襲ったのではと推測されているが、詳しくは解明されていない。こうした事故は1年に1度程度の割合で報告されている。
- しかし、体が太く重量級であるオオアナコンダの方が絵面的に大きく見えるためか、あるいはその恐ろし気な名前のせいか人食いの大蛇として有名になっている。そのためかアミメニシキヘビがオオアナコンダと誤表記されることがよくある(逆の事例もあったりするが)。
ただし、ニシキヘビによる人身事故の多くは、ペットとして飼われていた個体が管理不備により脱走して起こしたもので、被害者の死因はいずれも噛み付きによる失血か締め付けられての窒息である。日本でもこの手の事故は珍しくなく、飼育者の管理意識やモラルが問われている。
多くのニシキヘビ属は特定動物に指定されているため、2021年現在、ペットとして飼育することはできない。研究などの目的でも、特別な許可が必要である。
主な種類
- アフリカニシキヘビ
- アミメニシキヘビ
- インドニシキヘビ(インドモルルスニシキヘビ、ビルマニキヘビとも)
- ボールパイソン