演じた俳優は沖雅也。
概要
時代劇・必殺シリーズの『必殺仕置人』に登場する裏稼業者の一人。
琉球出身の若い男で、かつては船大工だったらしい。経緯は不明ながら江戸の一角にある観音長屋に居を構え、自作の棺桶を売って生計を立てている。
ある事件をきっかけに、念仏の鉄、中村主水、鉄砲玉のおきん、おひろめの半次と共に、法で裁けぬ悪人を闇に葬る「仕置人」となった。
根っからの一匹狼気質で、加えてかなり真面目な性格。生活のため日夜を問わず棺桶作りに勤しむことがあり、隣近所から眠れないと苦情が入ることも珍しくない。そのストイックさゆえか口数も少なめで、「メスと名の付くものは猫の子一匹寄せ付けない」と評されるほど女性関係にも疎いが、女性相手に不器用ながらやさしく接することも多く、ある娘に片思いをして仕事に身が入らなくなった事もある。
一方で、世の中の不正や悪に対し怒りをあらわにすることもしばしばで、仕置の相手が迂闊に手出しできない存在であろうともなんとか仕置できないか仲間に対し食い下がることが多い。また、そうした性分に加え父親を侍に殺された過去も相まってか、侍や役人に対してあまり好感を持っておらず、一同心として以上の手回しができない主水に対し詰め寄る場面もたびたび見られた。
ちなみにそうした真面目な性格ながら字(少なくとも本土の漢字仮名交じり文)を習わずに育ったようで読み書きはできないらしく、手紙はその都度鉄や主水に読んでもらっている。見よう見まねで字を書こうとしたことはあるものの、鉄の反応からしてとても読めるものではなかった様子。
また、琉球民謡をよく口ずさんでいるが、鉄から「喧嘩と歌しか能がない」と言われる程度には上手いようだ。
殺しの技は「手槍」。
琉球古武道の武器「ローチン」に似た金属製のものを用いているが、使う際に鞘にあたる部分を刃側の根元に取り付け持ち手とするアタッチメント式となっている。
仕置の際には自身の高い身体能力を伴った琉球空手の武術を用い殺陣を展開し、相手の反撃をかわしつつ首筋に手槍を突き刺して一撃のもとに倒す方法を得意とする。ただし場合によっては手甲を装着し刀を受け止めることもあった。
『必殺仕置人』最終話にて江戸を離れたが、のちにスペシャル作品『仕事人大集合』(『必殺仕事人Ⅲ』の前日談に当たる)にて再登場。長崎にて三味線屋の勇次の危機を救う活躍を見せた。この時には以前より飄々とした性格となっている。
『仕事人アヘン戦争へ行く』にも登場し、香港へ向かう主水たちを援護した。
余談
演じる沖雅也氏はのちのシリーズにも何度か出演しており、『必殺仕置屋稼業』では錠と正反対の性格である市松を演じた。
なお、『仕事人アヘン戦争へ行く』の制作時点で沖氏はすでに他界していたため、同作で錠が登場するシーンは過去作からの流用となっている。
『必殺仕事人Ⅴ』に登場する鍛治屋の政の武器は、彼の手槍を参考にしたものである。