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ガラスの編集履歴2022/01/30 09:42:47 版
編集者:12
編集内容:*素材としての「ガラス」

物質の状態としての「ガラス」

「動きが凍結した液体」(アモルファスの固体)のことをガラス状態という。ガラス状態になるのは特定の物質のみであり、その存在は物性物理学上の大きな謎とされる。

溶融物を冷却してガラス状態とするには溶その溶融物固有の結晶化速度よりも速い速度で溶融物を冷却する必要がある。通常の液体溶融物は結晶加速度が極めて速いため、現実的な冷却速度ではガラス化せずに通常の結晶となる。析出する結晶がつなぎ目のない巨大単結晶であれば透明な材料として使用できるのだが、実際には微細な結晶の集合体として析出するため、結晶化を起こしたガラス溶融物は不透明で脆い石のような物体となり、ガラスとしてはとても使用できないものになる。つまりガラスにおいては結晶化=死である。二酸化ケイ素・三酸化ホウ素・五酸化リンなどのガラスネットワーク形成酸化物と呼ばれる特定の物質を溶融物に含ませると、溶融物の結晶加速度が大きく低下し、安定したガラス化が可能となる。これはそれらの酸化物が固化の際に網目状の分子ネットワークを形成し、溶融物の結晶化を著しく妨害するためである。そのため大部分のガラスは、二酸化ケイ素をはじめとするガラスネットワーク形成酸化物を基質として、必要な特性(物理的・化学的・熱的耐久性や光学特性やそのほか特殊な機能性)を与えるための種々の成分を導入したものとなっている。

素材としての「ガラス」

ガラスには多くの種類があるが、人間に利用されるガラス状態の物質の多くは可視光線に対して透明であり、硬くて薬品にも侵されにくく、表面が滑らかで汚れを落としやすい。このような特性を利用して、窓ガラスレンズ食器などにおいて広く利用されている。

純粋なケイ酸をガラス化させたものは溶融シリカや石英ガラスと呼ばれる。これは融点が非常に高く製造に困難を伴うため、大抵は融点を低下させる成分を混ぜたガラスが製造される。代表的なのは二酸化ケイ素にナトリウムやカルシウム成分を混ぜ込んだソーダ石灰ガラスである。このガラスは石英ガラスより大幅に安価で、原材料の不完全な溶融に起因する品質不良が少なく、耐久性なども通常の用途であれば問題ないレベルのものを備えているため、窓ガラスなどの日常的に使われる特殊用途でないガラスとしては最もポピュラーなものになっている。

青板といわれる薄い緑色に着色した板ガラスもこのソーダ石灰ガラスの一種である。着色は微量の不純物によるもので意図的なものではない。高純度の原料を使用して着色を抑制したソーダ石灰ガラスは白板と呼ばれる。

ソーダ石灰ガラスは安価で量産性に優れるものの強度があまり高くなく、熱膨張率が大きいため急激な温度変化(熱衝撃)にさらされると割れやすい(耐熱衝撃性が低い)という欠点がある。

成分にケイ素に加えてホウ素を含んだホウケイ酸ガラスは、ソーダガラスよりやや高コストになるものの、強度や耐熱衝撃性に優れるため耐熱ガラスとしてガラスコップなどに広く使用されている。商品名としては「パイレックス(米コーニング社)やデュラン(独ショット社)などがある。

また、酸化を混ぜたものは透明度と屈折率が高くなりクリスタルガラスと呼ばれる。屈折率が高いと宝石のようなきらめきが得られるため、装飾品や工芸品として使用される。食器用クリスタルガラスでは通常の使用条件下において問題になるような鉛の溶出はないが、使用中は問題なくても製造や廃棄物処理の過程で公害や労災の元となるため規制の対象となり、輸出入などでは管理がされることがある。また、鉛の含有量を高くしたものは放射線の防護用ガラスとして使われる。鉛ガラスはその高屈折率高分散の光学特性から光学ガラスとしてレンズにもよく使用されていたが、現在では同様の特性を持ち鉛を使わないチタンガラスなどに置き換えられている。

ちなみに、極微量のウランを混ぜると黄緑色の蛍光を発する美しいガラスになる。ただし、現在は民間でウランを扱うことが困難ゆえほとんど生産されていないので、大半がアンティーク品として出回っているのみである。

「割れやすい」「もろい」というイメージがあるが、現在は技術の進歩で必ずしも割れやすい物ではなくなっている。

これらのイメージは、ガラスそのもののもろさというよりも、ガラスがその性質上、薄い板状や容器状の製品として使用されることが多いのも一因である。

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