概要
「東方Project」に関する二次創作動画のカテゴリーの1つ。
ゆっくり実況のゆっくりボイスや棒読みちゃん、そして立ち絵を使った物語を取り扱っている。物語としては、幻想入りをはじめ、学園もの、日常から歴史IFまで存在。コメディー色の強い物語から涙を誘う感動ものまで多種多様である。
また、ゆっくり茶番劇が普及した理由としてあげられるのが、東方の二次創作の作りやすさが一つ上げられるだろう。一方で、ゆっくり実況プレイ同様、編集が大変であるため、失踪してしまうケースも多々存在する。また、物語であるため、その人のセンスが問われることもしばしばある。
あと間違える人はほぼ居ないが「合成音声ではない生声でゆっくりと喋る茶番劇」はゆっくり茶番劇ではなくただの茶番である。というよりそれはもうボイスドラマである。
柚葉による「ゆっくり茶番」商標登録
2022年5月15日、Coyu.live所属のゆっくり系動画投稿者の柚葉が「ゆっくり茶番劇」商標権を取得したとYoutubeで投稿された動画とTwitterで公表した。これによって、ゆっくり茶番劇を使用(商用並びに広告や宣伝)するには、商標使用許可申請書の提出と年間で10万円(税別)の使用料が必要だと柚葉は主張している。
しかし、霊夢を始めとするキャラを用いたゆっくり系作品は東方Projectの二次創作である為、大元の権利は原作者であるZUNと東方Project関係者にある。よって柚葉のゆっくり茶番商標登録は東方Projectの二次創作ガイドライン(参照)の禁止事項に抵触している可能性がある(対抗策はあるため、必ずしもそうではない可能性もある→後述)。加えて、商標登録の取得を公表したのも「登録公報発行日」である令和4(2022)年3月4日から商標登録の異議申し立ての期限である2ヶ月以上経過したタイミングであった。
こうした事からネット上では大きな問題となり、この出来事を把握したZUN氏、東方よもやまニュース、ニコニコ代表も法務部に確認を取る事態となった。そしてねとらぼでも取り上げるに至り、Yahooニュースにも掲載された。
ライバーコミュニティCoyu.liveも柚葉の所属規約および所属契約への違反が認められた為、総合的に判断した結果である、本日付にて警告処分とを下したことを発表。また、警告の後、相当の期間を設けたにもかかわらず改善が見られなければ契約解除に踏み切るとして、引き続き状況を注視している。なお、即座に契約解除しなかったのは、法律面の精査が必要とコメントしている。
岡野タケシ弁護士もこの問題を取り扱った動画をYouTubeで投稿した。
これらの反応を受けて、柚葉からは少なくとも既存の制作者については、先使用権を考慮してライセンス適用対象外とする旨の投稿がなされた。
が、あくまでも法律的には出願日基準となるため、出願日以降、問題発覚までの間に始めた制作者の場合は、仮に柚葉側に指摘されたらアウトになる可能性がある。
また、仮に活動開始時期はクリアしても、継続してゆっくり茶番劇の名前で活動をする場合は、その他の要件についてもきちんと確認した上で、使用可否を判断した方が無難であろう。
なお、余談だが、柚葉はTwitterのプロフィールに「UUUM CREAS所属」と記載しているが、これは「申請を許可された人が利用できる情報共有等のプラットフォーム」である。UUUMへの批判は控えよう。
商標登録問題への対抗策
結論から言うと、商標登録によってゆっくり関連コンテンツ制作が不可能になる訳ではない。
商標登録されても、侵害になり得るのはあくまでもコンテンツとそれへの呼称が両方とも同一また類似である場合である(参照)。
つまり、同じようなコンテンツであっても、「ゆっくりコメディ」などと言い換えて出す分には問題なく、元々異なる名前である「ゆっくり解説」「ゆっくり実況」などは今回の商標登録の影響は受けない。
実際に、柚葉本人も「ゆっくり解説」などには影響しないことを認めている(参照)。
ここで最大の問題となるのは、出所を混同される恐れがあるかなので、その恐れがない程度の、明らかに違いが分かる名前であれば問題とはならないだろう。
例えば、「バンドエイド」は「ジヨンソン アンド ジヨンソン」の商標(参照)なので許可なしには使えないが、同じような商品を他社が「絆創膏」として販売する分には問題はない。
同様に、類似名に当てはまり得る「ゆっくり茶番」はともかく、類似していないであろう範囲で同義の言い回しを使えば、同様のコンテンツを商標権侵害の心配なく制作することは、引き続き可能である。
このため、ガイドラインの禁止事項のうち「他者の権利を侵害する、または侵害するおそれのある内容」(特に他の人が東方二次創作を作る権利の侵害)には直ちには当たらない。
むしろ「二次創作物を、その二次創作者に無断で再利用する行為」を制限する法的根拠を与える目的で商標登録したのだと反論された場合、一定の正当性が発生する可能性すらある。
(日本は先願主義を採用しているので、特に法的には柚葉以前があったとしても、それを指摘するには、既に遅きに失している。正確にはひっくり返すことはできなくはないが、それは時間もお金もかかる方法である)
そもそも、出願時点で商標が出願中である情報は特許庁に公開され、検索はできるので、あくまでも法律的には公開情報を確認していなかったネット民に落ち度があるということになる。
だが、ネット民が感情面では受け入れがたいのは間違いなかった他、所属事務所もこの自体を重く受け止めて処分を下していた。
今後取り下げられる可能性がないわけではないが、今のところ正式なものである以上は異なる表記を利用することが望ましい(特に先使用権対象外の場合は必須)。
再発を防ぐ方法としては、商標検索を定期巡回する方法がある。
商標や特許は出願時に情報公開されるので、まずその段階で、疑義のある出願を発見したら関係各所に連絡を取り、出願却下に持ち込むことを考えることができる。
万一出願段階で却下に持ち込むことに失敗して、商標として登録されてしまった場合でも、登録後2ヶ月は異議申し立てが可能なので、それを活用することが考えられる。
関連タグ
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ゆっくり茶番(表記揺れ)