カハク
かはく
漢字表記は「花魄(Hua Po)」。
中国の民間伝承に語られる樹木の精。
概要
三度人が首を括って死んだ樹には、その自殺者の怨み苦しみの気が結合して花魄が生じるという。
姿は、身長五寸ほどの玉のような白い肌をした体毛が一切ない裸身の美女で、愁いと苦しみを湛えた目をしている。インコに似た声で鳴き、言葉を喋るが人には内容が理解できない。
袁枚の著作「子不語」には、婺源(昔は安徽、現在は江西省の県)の士人・謝某が花魄を見つけて飼育する話がある。
花魄は人を恐れる様子を見せなかったので謝は連れて帰り、籠の中に入れて食事を与えて飼ったが、数日すると太陽の熱気で蝋のように干乾びて死んでしまった。それを聞いた孝廉・洪字麟は謝の飼っている存在を花魄と看破して、水をかければ生き返ることを教え、その通りにするとたちまち花魄は蘇生した。
その後、花魄のことが里に知れ渡って謝の家に毎日見物人が押し寄せた。謝は噂の広がりに辟易して樹の上に花魄を運んだが、間もなく巨大な鳥が現れて花魄を咥えどこかへ飛び去ったという。