概要
アイテム番号:SCP-998-JP
メタタイトル:外宇宙通信電波
オブジェクトクラス:Neutralized
廃止された特別収容プロトコル: SCP-998-JPは現在、各国政府の協力の下、事実上の封じ込め下にあります。SCP-998-JPとの交信は必ず日本語を使用して行って下さい。
交信の際は、5名いるうちの最低でも1名のSCP-998-JP担当主任、または同じく最低でも1名のUNSSCオブザーバーの下、職員数名により相手を刺激しない言葉を選んで質疑応答の形式で行ってください。SCP-998-JP-1からは地球の環境、生物、文化、科学など多岐にわたる質問をされるため、できるだけ正確に答えてください。ただしこの際、いかなる軍事的機密への質問にも答えないように注意してください。交信ログは記録装置によって、自動的にSCP-998-JP-1側からの通信を「+」、地球側からの通信は「-」といったマーカーに置き換えられます。
現在のSCP-998-JP-1側の通信係はクォント、レンドル、ゼメルアと名乗る3名です。また、いつ交信が始まってもいいように、最低でも1名の信頼できる職員を通信監視員として6時間交代で待機させてください。もしSCP-998-JPを受信した場合、通信監視員はそれには応答せず、時間は問わず担当主任かレベル3以上のセキュリティクリアランスを持つ職員、もしくはUNSSCオブザーバー(管理権限:グリーン以上)の内の誰かを呼び出して下さい。
(更新1)UNSSC本部が設置されました。所在地は合同機密指定のため、セキュリティクリアランスレベル3以上の財団職員か、UNSSC職員にのみ明かされます。
(更新2)もしも一般人がSCP-998-JP-1の宇宙船団を目撃した場合には、各国政府に常駐するUNSSC現地オペレーターが特別隠蔽手順を用いてその情報を秘匿します。情報秘匿後、現地エージェントは当該の一般人に記憶処理を行って下さい。
説明
SCP-998-JPは外宇宙より発信される強力な通信電波です。この電波には文字データが含まれており、地球とSCP-998-JPの発信源である生命体のSCP-998-JP-1とのコミュニケーションを可能にしています。SCP-998-JPは未知のテクノロジーにより、こちらから発信する電波もより強力なものに変換します。これによりSCP-998-JP-1との円滑な交信が可能となっています。全ての交信データログは中央記録部に集積され、レベル2/998-JPクリアランスもしくはUNSSC管理権限:コバルト以上の情報適格性要件を持つ職員にのみ開示されます。
SCP-998-JP-1はSCP-998-JPを発信していると思われる高度な知的生命体です。SCP-998-JP-1はペルセウス腕に存在する、彼らが"ノーゴ"と呼称する惑星(赤経█████████・赤緯███████)に居住しているとされています。詳細は不明ですが、その科学力は我々より███年ほど進んだものであると推測されます。SCP-998-JP-1は他の惑星に住む知的生命体とのコンタクトと相互理解のためにSCP-998-JPを発信していたとし、今回、偶然地球との交信に成功したのだと主張しています。なお、これ以上の惑星"ノーゴ"に関する物理性質・軌道要素などが記録されたデータへのアクセスには、レベル3/998-JPクリアランスもしくはUNSSC管理権限:グリーン以上の情報適格性要件が必要です。
SCP-998-JPは2███/02/12に、財団が抱える日本の天文台のひとつで受信されました。はじめは何ら意味をもたない文字の羅列に過ぎませんでしたが、交信の度に言語を「学習」していき、現在は日本の一般的な成人が使う日本語となんら遜色のない域にまで達しています。これらはSCP-998-JP-1の持つ高度な言語解析・翻訳装置によって行われている模様です。
補遺998-JP
2███/05/21
SCP-998-JP-1より、我々との友好的接触を行いたいとの提案が出ました。この件に関しO5評議会で協議した結果、SCP-998-JP-1との限定的な接触の許可が出ました。
2███/06/05
SCP-998-JP-1のものと思われる複数の大型有人宇宙船の地球への接近が観測されました。██日後には地球の周回軌道上に入ると予想されています。社会的パニック抑制のため、SETIによる「ETI信号観測時の手順」(Protocols for an ETI Signal Detection)の一時的な無視が認可され、各国政府にはこの情報に対する箝口令が敷かれました。
2███/06/07
SCP-998-JPの発信源が変更され、新たにその宇宙船から発信されていることが明らかになりました。SCP-998-JP-1側の通信は宇宙船に搭乗したクォント、レンドル、ゼメルアの3名が引き続き行っていく模様です。
2███/06/08
SCP-998-JP-1の宇宙船の接近に伴い、地球では国連と財団の協力のもと、最高機密扱いで「国連宇宙監視司令部(United Nations Space Surveillance Command)」(UNSSC)が結成されました。また、その暫定的な最高責任者として国連平和維持軍(PKF)より██████が着任しました。
2███/06/09
財団のSCP-998-JPの担当職員は一時的にUNSSCの管理下に入り、その職員として扱われるようになることが決定しました。
2███/06/10
財団の監視チーム(OU-247:"蜂の巣")はSCP-998-JP-1の宇宙船団に、大規模な戦闘用兵器と推測される装備が搭載されていることを確認しました。UNSSCの██████事務総長はこのことからSCP-998-JP-1が人類に敵対的であることは明らかであるとし、宇宙船団への先制攻撃を行うべきであると提言しました。
2███/06/14
国連の加盟国に対し、UNSSCの最高責任者である██████事務総長はSCP-998-JP-1の宇宙船団に対して早急に先制攻撃を行うべきだと強く主張しました。各国はそれには同意できないとし、UNSSCに慎重な行動をするよう求めました。
同日、██████事務総長は自身に反抗的だとした複数の職員を強制的に解雇し、身辺及びUNSSC本部の警備を同機関所属の武装警備兵に限定して行わせることを決定しました。
2███/06/15
UNSSCは独断で攻撃の準備を開始しました。国連の複数の加盟国は██████事務総長の退任を要求しましたが、正当な理由が無いとして拒否されました。更に、一部の国はUNSSCの先制攻撃には正当性があるとし、制裁措置の発動を拒否しました。
また、UNSSC管理下で勤務している財団職員達は、ときおりUNSSC所属の武装警備兵によって明らかに監視を受けていることを報告しています。
2███/06/16
UNSSCはSCP-998-JP-1の宇宙船団への攻撃を2███/06/20に行うと決定しました。また、それに伴いSCP-998-JP-1の宇宙船の兵器が急速な活動を見せている事が報告されています。
状況が改善されなければ双方の衝突は避けられないとし、財団はUNSSCの本部制圧の検討を開始しました。最悪の場合、武装した戦闘用機動部隊の合同ユニットがUNSSC本部に派遣されることが決定されました。
2███/06/17
UNSSC本部にて、SCP-998-JPの通信監視員であったエージェント█████が殺害される事件が起きました。エージェント█████はSCP-998-JP-1についての重要な報告があるとし、UNSSCの本部を訪れていました。勤務していた他の職員の証言によると、彼は廊下を歩いていた██████事務総長の元へ行くと、着ていたジャケットの内側に手を伸ばしました。その際、事務総長の指示で、武装兵によってエージェント█████は直ちに射殺されたとの事です。しかし、彼が取り出そうとしていたのは単に封筒に入った退職届だったことが、後の国連の調査で発覚しました。この事件により、██████事務総長はそれが明らかに過剰防衛だったとして、国際刑事裁判所への出廷を求められました。その結果として、UNSSCによる宇宙船団への攻撃開始はおよそ1週間の延期となりました。この事件の3日ほど前から、エージェント█████はたびたび周囲の職員にUNSSCを辞めたいと漏らしていた事が確認されています。
2███/06/19
SCP-998-JP-1の宇宙船団が地球への接近を中断、静止状態に入りました。この日、SCP-998-JPの発信は一度も確認されませんでした。
2███/06/22
突如、SCP-998-JP-1の宇宙船団が旋回をはじめ、地球の周回軌道上から離れはじめました。SCP-998-JPで「内部でごく小規模な反乱が発生したため、我々は母星へと一時的に帰還する」とだけ書かれたメッセージが送信されてきました。これがSCP-998-JPによる最後の通信です。
2███/06/29
SCP-998-JP-1が攻撃可能範囲を出たため、国連と財団の決定によりUNSSCによる攻撃は中止されました。UNSSCの██████事務総長は過剰防衛の不祥事の責任を追求され退任、新たなUNSSCの最高責任者として███事務総長が任命されました。
2███/10/05
SCP-998-JPはオブジェクトクラスをNeutralizedに変更されました。同時に、国連と各財団支部の決定によりUNSSCも正式に解体されました。
復元されたSCP-998-JPと行われた交信ログ
2███/05/12(02:46)
「+」:ハイ、ダレカイル?
「+」:ダレモイナイ? ハナシガシタイノニ
「-」:こんばんは █████という者です あなたのお名前は?
「+」:コンバンハ ナマエハ ソッチノ発音ニアワセルナラ ゼメルア
「-」:いい名前ですね
「+」:アリガトウ
「-」:性別とかはありますか?
「+」:ソッチノ言葉デイウト メス
「-」:女性、というんですよ メス、というのは地球じゃ動物に使う言葉ですから
「+」:ソウナノカ マチガエタ
「-」:それは仕方ないですよ
「+」:ソウカ
「-」:ちょっと待って オブザーバーが来た、通信を切らなきゃ
「+」:ナゼ?
「-」:僕は貴方と通信するのを実は許可されていないんです このことは内密でお願いします
「+」:ワカッタ ツギハイツ話セル?
「-」:明日の夜ですね、交代前に
「+」:ナラ ソレマデマッテル
「-」:じゃあまた、ゼメルア
「+」:ジャアマタ、█████!
<通信終了>
2███/05/14(22:57)
[データ破損]
「+」:█████ハドンナ見タ目シテルノ?
「-」:うーん 言葉で言うのは難しいなぁ 顔ってのがあって、そこに目が二つと、鼻と口がひとつずつ付いてる
「+」:目ガフタツデ、鼻ハヒトツ ワタシモソウダヨ
「-」:そうなんだ そこは僕たちと君たちは一緒みたいだね
「+」:デモ█████ノイウ「鼻」ト ワタシタチノ考エル「鼻」ハ違ウカモシレナイ
「-」:そうだね 画像でも送れたら便利なんだけど
「+」:実際ニハ 見タ目ガスゴク違ウカモシレナイネ
「-」:そうだね でも関係ないと思うよ
「+」:関係ナイ?
「-」:うん 関係ないはずだ
<データ破損>
2███/05/19(23:49)
「-」:やぁゼメルア、元気かい?
「+」:コチラハクォント ソチラノ所属ト階級ヲ言エ
「-」:[入力待ち]
「+」:繰リ返ス ソチラノ所属ト階級ヲタダチニ言エ
<-側が通信を切断しました>
2███/05/20(00:32)
「-」:ゼメルアかい?
「+」:ソチラノ所属ト階級ヲ言エ
「+」:フフ 冗談ダヨ█████。
「-」:勘弁してくれ
「+」:ビックリシタ?
「-」:ああ 昨日、君はいなかったのか
「+」:会議ニ出テタカラ
「-」:何の会議?
「+」:地球ニ私達ガ行クカドウカ
「-」:結論はどうだった 地球に来るのかい?
「+」:多分ネ
「-」:じゃあ僕は君に会えるのか
「+」:ソウ
「-」:楽しみだ
「+」:私モダヨ
<データ破損>
2███/06/05(23:56)
「+」:地球のすぐそばまで来タ
「-」:うーん 僕の目じゃまだ君の船は見えないな
「+」:私からハ地球が見える █████ハどこらへんにいる?
「-」:日本って所だ ちっちゃな島で、細長い形をしてる
「+」:あ、なんとなくわかった 見エタ
「-」:ホントかい? すごい望遠鏡をもってるんだな いまそこで窓から空に手を振ってるのが僕だよ
「+」:流石ニ そこまでは見エナイ
「-」:そりゃそうか
<データ破損>
2███/06/09(03:07)
「+」:ネェ █████ 地球の人って野蛮ナノ?
「-」:うーん 時にはそうかも どうして?
「+」:こっちの偵察隊が地球ニハ兵器がタクサンあるって
「-」:あぁ 地球じゃどこの国も持っているんだ 残念なことにね
「+」:私タチのネイルードが地球人は危険デ こっちを攻撃スルつもりだって
「-」:ネイルードって?
「+」:軍人タチの中で一番偉いヒト ミンナその人の言イナリ 今宇宙船ニ兵器を装備しだしてる
「-」:そんな 地球の人はそっちと争う気はないのに
「+」:私タチのほとんどノ人もソウ思ってる
「-」:確かに、地球の人たちは全員が平和主義とは言えないが だけど僕の母は、自分の命を顧みなかった人の手で火事から救い出されたんだと言っていた 人ってのはそういうもんだ
「+」:ソノ通りだと思う デモ、そうは考えられナイ人も中にはいるの 残念なガラね
「-」:少なくとも、君と僕は違う そうだろ?
<データ破損>
2███/06/14(23:19)
「-」:こっちも攻撃の準備を始めてるようだ UNSSCってとこのネイルードが無理矢理に同意させた これからこの通信も制限されるだろうね
「+」:戦争になるノ? 私、█████たちと戦いタクナイ
「-」:僕もだ
「+:ねェ、█████
「-」:何だい
「+」:私タチがネイルードを止めレバ 戦争は起きないカナ
「-」:本気で言ってるのかい
「+」:ネイルードは戦争を起こしたがってル 自分の権力がさらに増すカラ そっちのネイルードもそう思ってるハズ
「-」:確かにネイルードがいなくなれば、戦争は起こらないかも…… でも無理だ 不可能だよ
「+」:█████、このままジャ、私タチの両方に多クの死者が出ル……! ドウにかしないト
「-」:どうにか、ってどうするつもりなんだ?
「+」:こっちのネイルードに反発シテル人たちを集めて、何トカシテ引きずりおろすノ
「-」:そんなこと出来るのかい?
「+」:時間さえアレバ
「-」:どれだけあればいい?
「+」:アト1週間は
「-」:<入力待ち>
「-」:分かった、君を信じる 僕が何とか時間を稼いでみるよ
「+」:ホントに?
「-」:うん 多分、うまくいくはずだ
「+」:まさカ、キケンなこと?
「-」:いや ちょっとしたことさ、心配しないで
「-」:<入力待ち>
「-」:そうだ、このことがばれないように、ここの交信ログは全部消しておくよ
「+」:私もこっちのを消してオク
「-」:君に会えないのが唯一残念だよ
「+」:私モそう思う
「+」:<出力待ち>
「+」:ネェ█████、全部終わっタラ マタ私と話してクレますか?
「-」:もちろんさ
「-」:[入力待ち]
「-」:それじゃあゼメルア、成功を祈ってる また、いつかどこかで
「+」:じゃあマタ、█████。 いつか、どこかデ
<通信終了>