概要
篠原重工が製造した実験用試作レイバー。
AVR-0の「R」はリファレンス(標準型)を意味している。
その名前の通り次世代の標準となるべく、レイバー用の環境統合OS「H.yper O.prating S.ystem(HOS)」の拡張機能「サテライト・アプリケーション・ドライバー」(SAD)を実証するための機体であり、10億円単位の資金がつぎ込まれている。
頭部や肩アーマーのシルエットは映画版の零式に近いが、篠原重工の社内実験機であるため警察用の肩パトライトは無い。また、額のセンサー部分に透明なドーム状カバー、カメラ内部の構造は中央カメラの左右上下に小型カメラを配した五眼式になっているなど、細部のデザインが異なっている。
零式の特徴である開眼式のレーザースキャナーも使用していない。
特徴
篠原重工製のヒト型レイバーとしては標準的なサイズで、特殊な構造や武装なども持たない。
制御面の「HOS-SAD」こそがAVR-0最大の特徴であり、人工衛星などの情報を統合してレイバー自身が周囲の状況を常に把握し対応するという半自動操縦を可能にしている。
犯罪レイバーグリフォンの阻止に緊急投入された劇中では「頭部カメラの視界とは無関係に自身と相手の位置を把握する」「一度捕捉した相手はセンサー有効範囲から逃がさない」といった機能が説明されており、実際の格闘戦でも、後方からの攻撃に自動で振り返って防御するという達人さながらの動きを見せた。
基本的な構造はAV-98イングラムと同じだが、精度の高いパーツを厳選しているのに加え、開発スタッフいわく「ソフトの処理速度も30パーセント向上(当社比)」とのことで、基本性能は改良型イングラムであるAVS-98も上回る。
搭乗した野明は「シートも高級品だ」と感想を述べており、細かい部分にもコストがかけられている様子。
欠点
欠点もなにも、民間企業が社内プロジェクトで建造した実験用機であり、そもそも実戦投入を考えたシステム構成になっていない。
その最たる部分は自慢の特徴でもある機体の制御面で、「統合管制システム」を積んだ専用車両にメインの情報処理を任せているため、この車両による補助が無ければSAD関連の能力を十分に発揮することができない。
これはデータの収集やリアルタイム観測を行う実験機にはむしろ都合の良い構成だが、劇中では車両との連動を見抜かれ、無防備な民間トレーラーに過ぎない車両側を制圧されるという弱点となってしまった。
管制車両無しでも機体側の「独立制御システム」で活動することはできるが、システム全体の再起動が必要な上に時間を食うため、接続を切られるとしばらく行動不能となってしまう。
装備
- 専用大型シールド:前腕に装着する、曲線的なデザインの盾。イングラム用と比べて三倍近く長い大盾だが、動きを制約されることもなく軽々と扱うことができる。構えた時の覗き穴なのか、見事なブチ穴を完備。
- スタンスティック:毎度おなじみの電磁警棒。設定されてはいるようだが、劇中では一切使用していない。
- 爪:五指の先端が鋭く尖っている。劇中で爪を突き立てるような攻撃は行っていないものの、別メディア版兄弟機とも言える零式やピースメーカーの得意技だった貫手を意識させるデザイン。
活躍
コミックの最終盤、グリフォンとの決戦エピソードに登場。
買い出しと事故処理でたまたま基地を離れていた野明と遊馬は、試験のため埋立地に運び込まれていたAVR₋0と管制トラックに合流する。
台風と爆破工作の影響で孤立させられた2課の状況を知った遊馬は篠原重工社長の息子という立場も利用してやや強引にAVR₋0の借り上げを提案し、システムのアピールになると踏んだ会社側(開発子会社を抱える専務)もOKを出す。
野明を乗せて事件現場となった2課へ踏み込んだAVR₋0はグリフォンと対峙。SADによる自動対応機能で相手を驚かせたものの、操縦への反応がイングラムより過敏で動作タイミングが速すぎることや、SADの補助で勝手に動く機体に慣れない野明は、対等に渡り合いながらも決め手を繰り出せない。
結局は長引く牽制試合のうちに管制車両との連携を見抜かれて武装兵を送り込まれ、システムのシャットダウンに加えて遊馬らを人質にされる形で対決は終わってしまった。
動きを止められコクピットハッチを引きはがされたAVR-0に、野明は「上手く扱ってあげられなくて、ごめんね」と謝罪していた。
立体物
残念ながらAVR-0は商品化されていない。
別世界の兄弟機とも言える零式の立体物をAVR風に塗装、改修して再現を図るファンもいるとか。