『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GiG』登場人物の合田一人のセリフで、合田が語る英雄の条件のひとつ。
英雄化ウイルスである「個別の11人」の発現要因について、ウイルス作者の合田が「義体(サイボーグ)化以前に童貞であったこと」と語る中、「かくいう私も童貞でね」と自身も発現要因(権利)を持つことを告白した。
一見悪趣味であるが、人間の非凡性である純潔を示すとして人類史古来より定義されてきた条件である。
曰く、己の大義に殉ずる純潔さと潔癖性(簡単に言うと「女になんか構っていられない」)を象徴する属性こそが童貞であることなのだと。
しかし、自己顕示欲と自己愛とコンプレックスの塊であるゴーダが語ると、その意味合いは変わってくる。
このシーンにて、ゴーダ本人は「私には孤独に対する強固なまでの耐性があった」と自慢げに語っているが、これは裏を返せば彼は今まで女性達から見向きもされず、相手にもされなかったことを示している。
ゴーダが自分しか愛せなかったがゆえに誰からも愛されなかったのか、或いは誰からも愛してもらえなかったがゆえに自分で自分を愛するしかなかったのかは不明だが、いずれにせよ、これもまた彼の強烈なコンプレックスの一つであり、「個別の11人」ウイルスにこの因子を仕込んだのは、童貞を動機への潔癖さとして捉え直すことで自らを英雄足りうる人間だと自惚れ、自分にも英雄の資質があるのだと知らしめたい自己顕示欲によるものであることは想像に難くない。