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解説編集

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GiG』登場人物の合田一人(ゴーダ)のセリフで、彼の語る英雄の条件のひとつ。


英雄化ウイルスである「個別の11人」の発現要因について、ウイルス作者のゴーダが「義体(サイボーグ)化以前に童貞であったこと」とバトーに語る中、「かくいう私も童貞でね」と自身も発現要因(権利)を持つことを告白した。


一見悪趣味であるが、人間の非凡性である純潔を示すとして人類史古来より定義されてきた条件である。

曰く、己の大義に殉ずる純潔さと潔癖性(簡単に言うと「女になんか構っていられない」)を象徴する属性こそが童貞であることなのだと。


しかし、自己顕示欲自己愛コンプレックスの塊であるゴーダが語ると、その意味合いは変わってくる。


ゴーダの根底にあるのは「英雄となって、社会からの相応の評価と権力が欲しい」という、実に卑俗な欲望であり、そこには「本物の英雄」のように大義に身を捧げる自己犠牲心や誰かを救いたいといった純粋な祈りなど存在しない。

ゴーダはただ、単純に誰からも愛されなかったから結果的に童貞だったというだけである。


このシーンにて、ゴーダ本人は「私には孤独に対する強固なまでの耐性があった」と自慢げに語っているが、これは裏を返せば彼は今まで女性達から見向きもされず、相手にもされなかったことを示している。

もしも本当に合田が彼の語るところの「英雄」に見合う人間であったならば、自分が孤独であったことを意識もしないし、況してやわざわざ言及したりすることはない筈である。


ゴーダが自分しか愛せなかったがゆえに誰からも愛されなかったのか、或いは誰からも愛してもらえなかったがゆえに自分で自分を愛するしかなかったのかは不明だが、いずれにせよ、これもまた彼の強烈なコンプレックスの一つであり、「個別の11人」ウイルスにこの因子を仕込んだのは、童貞を動機への潔癖さとして捉え直すことで自らを英雄足りうる人間だと自惚れ、自分にも英雄の資質があるのだと知らしめたい自己顕示欲によるものであることは想像に難くない。


かつて笑い男クゼ・ヒデオといった、「本物の英雄」足りうる人物に接触した経験のあるバトーにしてみれば、ゴーダの発言はそれこそ非モテ男の悪趣味なひけらかし以外の何者でもなく、彼が眉を顰めたのも当然のことであったといえよう。


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名台詞

合田一人

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