概要
『暁のヨナ』に登場する、4つの「龍」の力を宿した4人の戦士。
白龍・キジャ、青龍・シンア、緑龍・ジェハ、黄龍・ゼノのこと。
舞台となる高華王国の建国神話で、初代国王である天から遣わされた赤い龍の化身「緋龍王」が、権力を欲する人間たちによって滅ぼされようとしたとき、彼を助けるため天界から舞い降りた「白龍」「青龍」「緑龍」「黄龍」の4体の龍が、それぞれ人間に血を与えその能力を宿した。
ある者は何をも引き裂く鋭い爪を、
ある者は彼方まで見通す眼を、
ある者は天高く跳躍する脚を、
ある者は傷つかない頑丈な体を。
それぞれ与えられた能力で、戦士達は部族を率いて緋龍王を守り国の混乱を鎮めた。やがて戦い疲れた緋龍王は眠りにつき、役目を終えた戦士達は自らの力を人間の手に余るものと考えいずこかへ消えたという。
四龍の戦士の末裔は数千年たった今でも生き残っており、それぞれに里を作って血を繋いで暮らしている。
四龍の力は人の手に余るものとし、彼らの里は人里離れた辺境にある。そのうち、白龍の里だけは所在が伝わっている。
龍の力はその里の人間のうち一人だけに生まれつき発現し、新しい龍の力を持つ者が生まれると古い龍は力と寿命を失う。新しい龍は、先代が力を失うにつれて自身の力を増す。
四龍の戦士は兄弟・親戚のようなもので、お互いの気配を感じることができる。
白龍・緑龍の里では「四龍がいまだに血を繋いでいるのは、主である緋龍王が再来することを血が予感している」と伝わっている。
ゼノを除く3人はヨナと出会ったとき、四龍の声を聴いて血が沸騰するような洗礼を受け、その後も強く彼女に惹かれている。ヨナ自身も四人と会ったとき四龍だと分かり、また離れがたい気持ちになっている。
白龍
白龍の里は数千年のあいだ場所を変えていない。その場所は神官であるイクスが知っていた。
里人はみんな白い髪をしている。里では白龍を「白龍様」として大切にし、また赤い髪を信仰するほど、緋龍王を待ちわびていた。
白龍の能力は右手に宿っている「龍の爪」で、鋭い爪と怪力を使って戦うことができる。
現在の白龍はキジャ。先代はキジャの実の父である。
白龍の世話役であり長老の婆は、これまで4代の白龍に仕えてきたという。
青龍
青龍の里はとある場所でずっととどまっていたが、十数年前、とある事件を機に忽然と姿を消し、今は国境近くの荒れた岩場に存在する。山深くの崖に横穴を掘って里人は暮している。
里は青龍の力を恐れており、血を繋ぐことを厭っていた。青龍が生まれても名前も付けられず、生まれてすぐに眼を隠すために面をつけられ、里の外から隠すように育てられていた。
青龍の能力は、見たものの神経や心臓を麻痺させることができる「龍の眼」で、極端な遠視や透視もできる。青龍には眼の下に模様が現れており、赤い色をしている。
現在の青龍はシンア。先代はアオであるが、アオも自分の名がなかったのでシンアが生まれてから自分で名乗った名前である。シンアが生まれてすぐ、忌み子を生んでしまったとシンアの実母は自害し、以来慣習に則り先代のアオがシンアを育てた。
緑龍
緑龍の里では、緑龍の力を使って外へ脱走することを防ぐため、生まれた緑龍には足に鎖をつけ、閉じ込めて育てていた。
緑龍の力は「龍の足」で、天高く跳躍したり、怪力で蹴ったりすることができる。
現在の緑龍はジェハ。先代の緑龍はジェハに四龍の宿命や能力について伝えたが、結局は彼も自由を望んでいた。
ジェハは12歳の時に里を飛び出し、他の四龍に気づかれないように気配を押し殺して、高華王国中を飛び回っていた。
黄龍
黄龍の力は「龍の体」で、剣で貫かれても手足を刎ねられても再生し、攻撃を受け続けると鋼のように固くなっていく。
現在の黄龍はゼノ。ゼノはとっくに里を出ており、黄龍の里や先代については一切不明である。