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概要

2010年10月に発売。二十七作品目にあたる。

スチームパンクシリーズの五作目であり、すでに崩落し終ってしまった世界を描く。

主人公は五年前のニューヨーク大消失の真実を探るエリシア・ウェントワースと、その地下に広がるアンダーグラウンド・ニューヨーク(地下世界)を往くリリィ・ザ・ストレンジャー。

オズの魔法使い不思議の国のアリスのオマージュに、クトゥルフ神話を一滴垂らした世界観。

手記をしたためるように固く冷たい描写をしたエリシアの廃墟巡りと、紙芝居のように韻を踏んだ展開のリリィの冒険が交互に繰り返される。

幕間では5年前を舞台にしてエリシアの初恋が語られる。

2014年2月、全年齢向けコンシューマー版として「紫影のソナーニルRefrain -What a beautiful memories-」が発売された。

ストーリー

20世紀初頭、西暦1907年。

私たちの知るものとは異なる時代、

私たちの知るものとは異なる歴史を歩んだそこには、

無数の蒸気機関が充ちていた。

異常発達した蒸気文明が生み出す排煙は見る間に天を埋め尽くし、

人々から青空を奪い去った。

 

中でも、最も空が暗いとされる場所があった。

永劫に続く灰色雲と雨に覆われた廃墟、旧・重機関都市ニューヨーク

5年前に発生した《大消失》と呼ばれる原因不明の災害によって全土が廃墟と化したかつての摩天楼、

合衆国政府によって完全封鎖され、現在では人影のひとつもないその都市へと、

ひとりの女・エリシアが足を踏み入れる。ひとつの目的を持って。

災害の中心地とされる旧マンハッタンへと向かって、女は静かに歩み始める。

一方で──

旧・重機関都市ニューヨークの“地下”とされる場所があった。

地上の誰ひとりとして、その存在を知る者はいない。

薄暗い紫の灯りに照らされる広大な地下空間。

そこには、5年前に消失した摩天楼の街並みが存在していた。

ただし、大いなる歪みを伴って。

異形へと歪み、黒色と紫影に染められた、

出口のないその地下世界《アンダーグラウンド・ニューヨーク》には、

消え去ったはずの人々が確かに存在していた。

 

7体の《御使い》と呼ばれる怪物の足音に怯えながら。

7体の《御使い》と呼ばれる怪物がもたらす恐怖と苦痛と死に耐えながら。

 

人々は、歪みの地下都市の中で、何かを待ち続けるかのように留まり続けていた。

そこへ、ひとりの少女・リリィが足を踏み入れる。

記憶の一切を持たずに。

リリィにとって、わかっていることはひとつだけ。

理由はわからない。何があるのか、誰がいるのか。なぜ、そう自分が思うのかも。

それでも、たったひとつだけ。

「マンハッタン。紫色の空の果て」

「あそこに。あたしは、いいえ、あたしだけは、行かないといけない」

──少女は目指す。遙か彼方の紫影の塔を。

──想い遺した人々の儚い影に、触れ続けながら。涙を、我知らず流しながら。

公式サイト:ストーリー紹介より)

主要登場人物

エリシア・ウェントワース(CV:野月まひる

(左:5年前、右:現在)

主人公にしてヒロインその1。地上を旅する女。

詳細はリンク先参照。

リリィ・ザ・ストレンジャー(CV:かわしまりの

主人公にしてヒロインその2。地下を旅する少女。

気がついたら地下世界にいたということ以外、他に何の記憶も無い。自分でも理解できない衝動に突き動かされるように、マンハッタンの「紫影の塔」を目指す。

当初は情動が薄かったが、地下の人々と出会い、別れる中で少しずつ感情豊かになっていく。好奇心旺盛。

赫炎」「漆黒」「白光」と三作品連続でヒロインに濡れ場がなかったが今作では行為のシーンがある為に第一作と同様に男性を受け入れたヒロインである。

A(CV:古川徹人

リリィの旅を導き、道中の危険から守る謎の青年。車掌の制服を纏っている。

リリィが見つけた“1輌だけの地下鉄”の中で初めて姿を現し、彼女の旅に従う。

感情はほとんど無く、表情もほぼ常に変わらない。本人曰く人間ではない。

リリィの素性や地下世界の真実を知る者の一人。