概要
第21弾の作品であり、シナリオライターである桜井光が展開するスチームパンクシリーズの一つ。
架空の都市で主人公である医師が謎の力を手に入れるという、伝奇小説に近いテイスト。
緻密に練りこまれた世界観と全ての謎を並行して解いていく構成もあって、見方によっては冗長ともとられがちだが、根強いファンを手に入れている。
なお、題名中の「赫」は一般的には「かく」と読む漢字だが、本作では語感を優先して「せき」と読ませている。
主要登場人物
ギー
主人公。10年前に起きた《復活》と呼ばれる災害で荒廃・孤立した都市インガノックの下層を巡り、人々に手を差し伸べ続ける巡回医師。
脳変異により「現象数式」と呼ばれる能力を行使でき、この力を用いて患者を診察・治療する。その一方、変異により食欲・睡眠欲を失っているため自身は不養生になりがち。
キーア
ギーが拾った少女。服装や振る舞い、持ち物などからは育ちの良さが見て取れるが、熟練の情報屋の調査でも一切の素性が不明という謎の存在。
誰に対してもごく自然に笑顔を向ける、現在のインガノックには稀な人物。薄赤色の瞳はあらゆるものを見通す。
アティ
ギーの自宅を根城に活動する「荒事屋」の女。
10年前の《復活》以来、身体が猫に似た獣人(作中では幻想人種と総称される)「猫虎」に変異している。通り名は「黒猫」。「猫虎」の優れた身体能力を肉体改造でさらに強化し、指先にはクローム鋼製の人造爪を仕込んでいる。