概要
日本では「抱え投げ」とも呼ばれたことがある、プロレスの基本的な投げ技の一つ。
自分の利き手で相手の脚の付け根を、もう片方の手で相手の首元を掴んだ状態から、ひっくり返すように持ち上げて前面に投げ落とす技。
一見シンプルな技であるが、技の形を失敗すると相手を受け身の取れない形で落としてしまう危険性を伴うため、相応の技術と修練を要する技である(エピソードも参照)。
派手なプロレス技の応酬が繰り広げられる今でこそ「地味な技」と思われがちだが、1960年代までは様々な要因もあって、フィニッシュ・ホールドとしての説得力を備えた技でもあった。
主な派生技
- 女子式ボディスラム
女子プロレスで使われることの多いフォームのボディスラム。
ブレーンバスターのように組み合った状態からボディスラムに移行する。
この形になった理由は諸説あるが、通常のボディスラムより腕力を必要としないという説が有力。
- ワンハンド・ボディスラム
持ち上げた相手を肩に担ぎ、片腕でマットに叩きつける形式のボディスラム。
力自慢のレスラーが腕力を誇示するのに適した技とされるが、片腕で上手く投げるためには腕力以上に高い技術を要求される難易度の高い技であるため、ブルーザー・ブロディ以来主だった使い手は現れていない。
- パワースラム
走って来た相手をボディスラムの形に捕らえ、相手の勢いを利用するように反転して叩きつける。
- リフトアップ・スラム
抱えた後に相手をバーベルのごとく頭上に高々と持ち上げ、前方に投げ落とす。
ワンハンド・ボディスラムと同様、パワーファイターが好んで使用する技。
エピソード
- かのスタン・ハンセンはアメリカを主戦場にしていた時、ボディスラムの掛けそこないが原因で当時のスターであるブルーノ・サンマルチノに大怪我を負わせたことがある。公には彼の必殺技であるラリアットによるものと喧伝されたため一躍有名となったが、同時に「壊し屋」という悪名を轟かせてしまい、暫くの間アメリカでの活躍の機会を失うことになる。
- アンドレ・ザ・ジャイアントは投げること自体が困難なレベルのその巨体故に、彼をボディスラムで投げることが当時のレスラーの間での一種のステータスとして定着していた。これにあやかってか、巨漢レスラーを相手にボディスラムで投げきれたら勝利というルールの「ボディスラム・マッチ」という試合が催されたこともある。