イブラヒム・アシク
いぶらひむあしく
隻眼の英雄気取りか!?
ならば私もこの爆弾で……
『道を埋める一千の敵を食い止めよう!』
人物
性格
戦いを楽しむ冷酷非道なジャコモとは対照的に落ち着きのある冷静な性格。
しかし、後述の本編内での行動や五共和国派参加の動機なども考えると彼自身もなかなかに過激な人物かもしれない。
経歴
地図にも載らないような中東アラブの小国の出身。故郷では民族紛争が絶えないらしくそれを変える為にジャコモに付き従っているとのこと。
ジャコモとは彼がアフリカのキャンプ地で出会い、話してみてわかったのが「これくらい常軌を逸した人物でないと、自分の世界は変えられない」ということだった。
欧米留学などの経験もあるようだがジャコモの枠にはまらない思想・行動は留学では身につかなかったもので、
故郷の運動にはそれが必要と語っている。
本来は全くの無関係であるイタリア五共和国派の運動に参加しているのもジャコモに追従し彼のやり方を学ぶためであるが、同時に、比較的規模が大きく名が知られている五共和国派の運動に参加することで、自分の故郷である小国のことを世界に知らしめるという目的も持ち合わせている。
戦いの前には胸躍るような気分になるジャコモとは違い、彼は戦いの前は考えることで不安を打ち消していると話している。同時にジャコモから、自分の様になりたがっているという考えを見抜かれている。
ジャコモの方も多くの五共和国派の活動家たちを道具の様に扱う中で、アシクの事は「小器用で役立つ」と評している。
彼自身の性格、欧米留学などで学んだ豊富な知識、ジャコモから得た思想といった物が合わさった、
「冷静ながらも過激に動く策謀家」といった感じの位置づけである。
能力
基本的にジャコモの側で彼のサポートを務める他、原発での戦いでは警備司令室に篭もり五共和国派の活動家であるエマと共に仲間の援護に徹していた。
因みにシステムを利用するのに警備司令の家族を誘拐してパスを聞き出したなどと結構えげつないことをサラリと言っていた。
鐘楼占拠事件では望遠鏡を用いたジャコモの狙撃のサポートや脱出用のヘリの手配を行う。
原発内での戦いでは自身の豊富知識と器用さを如何なく発揮し、エマと共に公社の猛攻に対して的確な対応を行っていく。
掌握したばかりの警備システムの無人砲台の操作方法や災害発生マニュアルの使い方を正確に把握していたり、
排水管から公社の義体が侵入しているのに即座に気付き味方に伝達したりしている。
他にも公社側の狙いがサービストンネルであると素早く見抜く洞察力や、
激戦の最中に防災システムのコントロールを掌握するなどの手際の良さなども見せつけている。
上記のようにサポート役としてあらゆる面で優秀であることがうかがえ、ジャコモの片腕として申し分ない人物であると言えよう。
本編での活躍
ネタバレを含む
ジャコモと同様に10巻で初登場。彼に逆上した活動家の後始末とミサイル弾頭の手配を行っている。
11巻では上記の様にジャコモのサポートに徹し、彼と共に鐘楼から離れたサンクレメンテ島に潜み戦いを見物。
500キロもあるミサイル弾頭を投げ捨てる義体の能力に驚愕していた。
12巻ではジャコモと共にクリスティアーノの屋敷に向かうも、人種民族にこだわる五共和国派により黒人という理由で中には入れなかった。
13巻冒頭ではジャコモに祖国のことや自分の考えなどについて語り、彼が入手した核爆弾を手渡される。
原発での戦いではジャコモに指令室の担当を任せられるのと同時に、核爆弾を起動する為のキーとコードナンバーを手渡される。
アシクの守護を担当する活動家のエマからはいけすかない異邦人(バルバロ)とあまり良い感情を持たれていなかったが、
自身の過去や活動の目的を話すことで信頼を得、彼女と共に公社との激戦を繰り広げる。
14巻で仲間の殆どが倒れ、ジャコモとの通信も途絶えたことによって核爆弾の起動準備を進める。
しかし、自身の冷静な性格とジャコモの様に非道にならなくてはいけないという感情の間で揺れ動いていることに加え、警護役だったエマすらもやられたことに動揺し、その心のスキを駆けつけたアレッサンドロによって突かれてしまう。
彼の話術に乗せられ自分の出身、経歴、目的などのあらゆる情報を見抜かれてしまい呆然自失。
その間に別ルートから指令室に侵入してきたペトルーシュカに核爆弾の起動キーを破壊されてしまう。
追い込まれて頭部に銃を向けて]]自殺]]を図ろうとするもサンドロの手によって止められる。
完全敗北を悟った彼は、核爆弾の起爆に踏み切れなかった自分の甘さにやりきれない思いを見せて項垂れた。
その後の安否は不明であるが、15巻において潜伏していたクリスティアーノの情報を提供したのは彼とエマであることが示唆されている。
作中での主な台詞
「……何人くらい殺せますかね?」
「着弾!! 右1メートル!」
「500kg弾頭を投げるなんて…」
「故郷は小国すぎて普段から注目なんてされない。てもいずれ変えてみせます、あなたから色々なものを学んでね」
「あなたの枠にはまらないやり方を監察したい。欧米の留学先では身につかなかった。故郷の運動にはそれが必要です」
「異国の人間がイタリア国旗をつけるのは不愉快でしょう?」
「成否に関わらず…私が参加したことで祖国の運動は有名になる。地図にも載らないようなアラブの小国、そこの少数民族の物語が」
「ジャコモは自分を試している。良識を捨てられるのか。自分の意志を押し通せるのか」
「うるさいっ!! 時間稼ぎはやめろっ!! お前に私の何が……!!」
「ジャコモにはなれないのか……」