概要
ポーランドの天才医師・Panstasz氏が漫画家・伊藤潤二を始めとした日本のホラー作品を多大な影響を与えられて制作されたインディーゲーム。
クトゥルフ神話をベースとしており、198X年の日本の塩川町を舞台に、一見平和そうな町の裏で行われている旧き神の復活を阻止するべく主人公である探索者が怪異事件を調査するというもの。
ゲームの内容としてはクトゥルフ神話TRPGに近く、ゲーム画面は白黒で1980年代のPCゲームを連想させる。
なお、ゲーム内各所にプレイヤーをビビらせる演出が多く含まれている(サブリミナルに映る恐怖映像など)。
また、クトゥルフ神話だけでなく、日本の都市伝説をモデルとしたシナリオやイベントもある。
日本を舞台としつつ、PCによるアーリーアクセス版は日本語は対応されてなかったが、2023年10月19日にて日本語が正式対応された製品版が発売。Steam版だけでなく、NintendoSwitchやプレイステーション4でダウンロードして遊べるようになった。
ただし、海外産ゲームのお約束として、一部翻訳がおかしかったり、文章が画面からはみ出すなどはご愛嬌。また、ゲームハードによって微妙に翻訳が異なる。
あらすじ
198X年、日本 塩川町
私たちの住むこの町で、何か奇妙なことが起こり始めていた…。
夜な夜な、森の中に集まるローブを着た集団。次々に行方不明になる町の人々。
海辺を脅かす不気味な怪物…。
現代の科学は飛躍的な進歩を遂げ、人々に快適な暮らしをもたらす…
一方で、新たに未知なる脅威も現れていた。
現実が崩壊し始める中、遥か昔に地球を支配していた存在「旧き神」が目覚めようとしている。
手がかりと呪文、そして薄れゆく理性を頼りに、あなたは町中を調査することになる…。
時には、現実世界を超えた異界へ足を踏み入れることになるだろう。
古びた電車が減速し、終着駅に停車する。
―――
世界の終わりが迫る中、ついにあなたは怪異渦巻く町へと辿り着いたのであった…。
システム
ステータス
- スタミナ(STA)
所謂HP。探索者画面の左上の数値。難易度などにもよるが最大値は21。
肉体的ダメージを受けると減少し、これが0以下になるとゲームオーバー。
- 理性(REA)
クトゥルフ神話TRPG的に言えばSAN値にあたる。探索者画面右上の数値。こちらも難易度によるが最大値は21。
恐怖イベントや精神的ダメージを受けると減少し、こちらも0以下になるとゲームオーバー。
クトゥルフ神話TRPGよろしく、呪文を使うことでも消費される。
- 筋力(STR)
バールやバットなどのSTR依存の武器に対する攻撃速度に影響する他、敵の攻撃をブロックする際の行動速度にも影響する。
物を運ぶ、岩を登るなどの筋力を使ったイベントの成功率に関わる。
- 敏捷性(DEX)
割れた瓶や刀などのDEX依存武器に対する攻撃速度に影響する他、敵の攻撃を回避する際の行動速度にも影響する。
走って追いかけたり、何かを避けながら行動するイベントの成功率に関わる。
- 知覚(PER)
アーミーナイフやチェーンソーなどのPER依存武器や、銃器に対する攻撃速度に影響する。
なにかに気付くイベントの成功率に関わる。
- 賢さ(KNW)
メスや儀式用のナイフなどのKNW依存武器に対する攻撃速度に影響する他、霊体の敵への攻撃ダメージに関わる。
知恵を使うイベントの成功率に関わる。
- カリスマ(CHA)
仲間関連のコマンドの行動速度に影響する他、学校での仲間集めの成功率に影響する。
人に信用されるイベントの成功率に関わる。
- 幸運
ステータス画面には表示されないマスクデータ。
運を使うイベントの成功率に関わる。
- 所持金(FND)
探索者が所持しているお金。買い物やイベントで使用する。
破滅値(DOOM)
今作で最も重要な数値。探索やイベントなどで増減し、これが100%になるとゲームオーバーになる。
減少する手段が限られている上に、調査したり施設を利用したりすると上がっていく。そのため如何に無駄な行動をせずにシナリオを進められるかが重要になっている。
シナリオ進行のためにも探索しなければならないため、破滅値が上がることは避けられない。減少するには破滅値減少イベントを引き当てるか、シナリオをクリアしなければならない。
経験値(EXP)
戦闘に勝利したりイベントをおこなったりすると上がり、100以上になるとレベルアップできる。
一部のイベントに数値が関わったり、経験値を消費して効果を発揮するアイテムも存在する。
パーク
レベルアップすることでステータスアップと同時に入手できる技能。ランダムで抽選された3つの中から1つ選ぶようになる。
欲しいパークがなければ再度抽選し直すことも可能であるが、破滅値が上がってしまう。
ステータスの上昇だけでなく、一部のイベントでの選択肢を増やすことも可能。また、探索者固有のパークも存在する。
アイテム
探索者は最大で4つまで持つことができる(バックパックで所持数を増やせられる)。
持ちきれないアイテムは鞄の中に収納され、アイテムは売るか捨てる事ができる。
中にはシナリオ進行やサイドミッション達成で入手できる重要アイテムがあり、こちらは捨てる事ができない。シナリオクリアで自動的に廃棄されるものもあれば、極一部はシナリオクリア後も残り続けるため、そういったものは鞄の中に収めておこう。
鞄に収めたアイテムはゲーム画面左下の「保管したアイテム」から取り出せるが、戦闘中や一部のシナリオでは保管したアイテムを取り出せないので注意。
アイテムはイベントや敵からのドロップの他、アイテムショップで購入可能。
装備
一部アイテムは装備することができ、装備したアイテムは所持数に含まれない。
Aスロットは武器、Bスロットは防具(懐中電灯も含む)、Cスロットはアクセサリーになる。
仲間
学校の校庭や海辺にある密造者の小屋、イベントなどで集めることができる。仲間入りすることでステータスの変動や恩恵を受けられる(中には仲間から外すことで能力を発揮する者も)。
校庭の学生達はカリスマ値によって仲間入りの成功率が変動し、破滅値が上昇する代わりに強引に仲間入りさせることができる。
密造者の小屋の仲間は必ず仲間にすることができるが、破滅値が上がってしまう。
バックストーリーによっては人間を仲間にすることができない(犬と隠者は仲間にすることができる)。
戦闘
ターン制であり、複数ある行動を組み合わせて攻撃や防御などを行う。
重要なのは攻撃や行動にかかる速度であり、速度の数値が少ないほど、1ターンで行える行動の数が増える。なお武器によるダメージ値は武器ごとに固定されているため、各種ステータスは武器や行動の速度に影響される。
そのため、探索者のステータスに合った武器の装備や、行動選択が重要となる(筋力高めならSTR対応武器を装備してブロックで敵の攻撃を耐えつつ戦う、など)。
他にも破滅値が上がるものの戦闘から確実に逃げられる「逃走」(ボス戦や、旧き神がクタク=アトラスだった場合を除く)や、霊体の敵にダメージを与えられる「現世から切り離す」、次の攻撃を確実に当てられる「攻撃準備」、即席の武器を拾ったり、敵を観察することも可能。
なお、呪文は速度バーに影響されず、理性に余裕があれば何度でも使用可能。アイテムを投擲して敵を攻撃することも可能。
謎
シナリオのこと。探索者を待ち受ける5つの怪異事件(最低難易度だと4つ)。これらを解決する度に郵便受けから鍵を入手し、灯台の扉を解錠して旧き神復活を阻止するのが、探索者の目標である。
シナリオはランダムで抽選され、ゲーム開始時に限り何度でも再抽選可能(シナリオを1つ開始したら抽選不可能)。
基本的に探索して事件解決すればいいが、一部のエンディング到達はサイドミッションクリア、または特定のアイテムの所持、あるいは別シナリオでの結末や入手アイテムが必須のものがある。また、タイムライン設定でもエンディングやイベントが変化する。
調査
現在地を調査し、ランダムイベントを起こす。
シナリオ進行に関係される場所は丸印で指し示され、発生したイベントの内容を問わず、調査することでシナリオが進行される。
施設の出入りではシナリオ進行しないので注意。
サイドミッション
ある場所を2回調査する、アイテムを2つ捨てる、校庭の生徒から噂話を聞くなどの条件を達成することで、シナリオのエンディングに関係するアイテムや情報、フラグを入手する。
達成しなくてもクリア可能であるが、達成するとエンディング後に追加経験値を得られる場合がある。一部のシナリオではサイドミッションがない。
旧神の災厄
シナリオクリアの度に起こる、町の状態の変化。
自宅の風呂が使えなくなる、一部施設の使用不可、一部の場所の調査での破滅値増加量が上がるなどのデバフ効果をゲームクリアまで永続付与される。
バックストーリー
特に効果がない「恐怖の世界」以外は、何かしらのデメリットを課す代わりに、追加経験値や破滅値減少、所持金が増えるなどのメリットを受けられる。
謂わば縛りプレイ。
主な登場人物
探索者
南 桐江(キリエ)
20歳の女性。転校生。
幽霊に付き纏われている事に悩んでおり、その原因が塩川町で起こっている怪異ではないかと思っている。
筋力が低い代わりに賢さが高く、最初からランダムに呪文を覚えた状態でスタートできる。
固有パークは呪文関係や霊体への与ダメ上昇関係。
製品版のPVで真なる邪悪に追い詰められて自殺してしまう可哀想な子。
高橋 愛子(アイコ)
20歳の女性。水泳部部長。
溺死した男の霊に襲われ、水中に引きずり込まれる怪異事件の被害者。何とか一命をとりとめ、塩川町の怪異事件を解明しようと決心する。
賢さは低いが敏捷性が高く、全戦闘行動に速度ボーナスを付与するという戦闘向き。ゲームモード「部活動」で主人公になるなど、初心者向けの探索者である。
固有パークは運動系の物が多いが、自宅の休憩の回復値が増え、休息イベントでデメリットなしに回復できる「熱々のお風呂」も優秀。
春(ハル)
24歳の男性。逃走するヤクザ。
古びた廃屋敷に弟分たちと共に盗みに入り、怪物によって弟分たちを皆殺しにされ、彼はただ車で逃げ去ることしかできなかった。
賢さは低いが筋力は高く、最初からアイテム「タバコ」を所持している。固有ステータス「仁義なき戦い」で、呪い「ニコチン中毒」発動時に与ダメボーナスが貰える。その代わり、定期的にタバコを吸わないと「禁断症状」で弱体化する。
固有パークは戦闘技能やアイテムショップ関係のものであり、特に販売品枠が1つ増え、違法品の売却が可能な「ヤクザカード」は便利。
濱崎 瑞希(ミズキ)
20歳の女性。ティーンアイドル。
自身のキャリアを上げるため、旧き神の復活を止めることが一番手っ取り早いと思い、怪異事件に挑む。
筋力は弱いがカリスマが高く、最初からランダムで仲間1人がいる状態でスタートする。
固有ステータス「みんながいれば怖くない」を持ち、理性の上限が+1される代わりに、シナリオクリア時に仲間が2人以上いないと理性が下がる。
田川 浩二(コウジ)
20歳の男性。カメラマン。
怪異事件の脅威を広め、政府が有耶無耶にさせないために怪異事件に関わる。
敏捷性が低いものの知覚が高く、最初からアイテム「カメラ」を所持した状態でスタートする。
良くも悪くも普通であり、チュートリアルモードの主人公にもなっている。