ジャック・スパロウ
じゃっくすぱろう
概要
『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの主人公にして、世界一速いと謳われた海賊船「ブラック・パール号」の船長である。
皮肉屋で現金、人を食ったような態度で他人と接する掴みどころのない男。
その癖おしゃべりでお調子者の上に我儘なため、傍から見れば大口を叩いて人をおちょくる嫌な奴にしか見えない。
何より重要なこと、特に自身の個人的なことに関してはとことん秘密にする主義で、この癖を原因に劇中でも様々な混乱と災難に見舞われている。
その一方、海賊でありながら残虐な行いを嫌い、非道になり切れず情に脆い部分もあり、『流血とは縁の無い海賊』という異名があるほど。
作中では語られていないが、実はジャック自身も元から海賊だったわけでなく、かつては船乗りとして東インド貿易会社で働いてたのだが、奴隷を運ぶ仕事を拒み更には奴隷を逃がした事が原因で、海賊の烙印を押された事が彼の海賊人生の始まりだった。
小物臭さとは裏腹に、時に友人や縁者のために力を振るい、剣術等の腕っぷしも強く、ウィル・ターナー達よりは劣るも巧みな話術による交渉で相手を丸め込み、大胆な奇策と天性の勘の鋭さで、自分よりも強い相手を出し抜いて打ち負かしてしまうという策士な一面がある。
色々と性格や素行に問題があり、いまいち掴みどころの分からない人物だが、根は小心者のロマンチストで、海賊という今の身分を愛しており、自由を何より尊ぶ。
世界各国の海を渡り歩き、その人脈の広さはおそらく一国の領主といえど比べ物にならないレベルで、遠くの東洋の海賊や海の果ての魔女、さらには黄泉の国の人間とすら交友を持つ。しかし、上記のように非情になりきれない性格故に海賊としてはまだ甘い部類ではあるのだが、他人を利用したり騙したりして利益を得る事にはなんの躊躇もないため、過去に様々な人物を嵌めたり陥れたりして多方面から恨みを買ってしまっており、劇中のとある場面でも「これ以上昔の馴染みに会ったら立ち直れないかも…」と言ったりしているので本人にも恨まれてる自覚はあるらしい。
また悪運にも凶運にも付きまとわれており、常にトラブルを呼びながらもしぶとく生き抜いている。
ちなみに生活環境からか息が滅茶苦茶臭いらしく、(登場人物からはロバの肛門内部の匂いと表現されている)ワールドエンドではウィルに、キングダムハーツ3ではルクソードに臭い息を吹きかけている。
各章の動き
- 『呪われた海賊たち』 (35歳)
本編開始より10年前、雇っていたバルボッサの裏切りにより大事なパール号を奪われ、自決用のピストル一丁と共に無人島へ置き去りにされるという屈辱を味わう。
流れ着いた大きな港町「ポートロイヤル」で、総督の娘・エリザベスがバルボッサに連れ去られる事態に出くわし、彼女を助けたい青年・ウィルに共闘を持ちかけられ共に共通の敵を倒す航海へと旅立つ。
- 『デットマンズ・チェスト』 (38歳)
13年前、デイヴィ・ジョーンズと交わした契約の催促が迫り始め、彼が隠した心臓を見つけ出してチャラにさせようと考えだす。しかし、道中迷い込んだ島で原住民に首長として祭り上げられる形で囚われてしまい、3年前(前作)の共闘の件をダシに「東インド貿易会社」に占領された故郷を開放すべく、ジャックを探していたウィルの手助けで脱出に成功。
そのままジョーンズの心臓が眠る島に到着したまでは良かったが、それを皮切りに誰もが自分の事情を優先した、サイテーの裏切り合戦へと身を投じるハメになる。
- 『ワールド・エンド』 (38歳)
裏切りの末ジョーンズ率いるクラーケンに敗れ、パール号共々この世とあの世の狭間に閉じ込められた結果、酷い妄想癖を患ってしまう。
力を得て助長したペケットに対抗すべく"9人の海賊長"を欲したバルボッサ達に連れ戻されるが、恨みを忘れてはおらず、ウィルとエリザベスをそれぞれの陣営に放逐してしまう。
合流後の海賊の拠点では、持ち前の悪知恵によって海賊長たちの意見を早々に纏める事に成功し、軽い交渉後の最終決戦では敵戦を内部からひっかき回す事になる。
- 『生命の泉』 (54歳)
再びパール号を持ち逃げされてから16年。英国の首都ロンドンに流れ着いていたが、軍に逃走劇むなしく捕まり、公賊となっていたバルボッサと共に「生命の泉」の奪取を命じられる。
狂暴な人魚が住まう島で、かつての恋人だったアンジェリカや、パール号を奪っていた最悪の海賊・黒ひげとの陰惨な泉争奪戦へと赴いていくのだった。
- 『最後の海賊』 (59歳、25歳)
パール号を復活させる方法が分からないまま早5年。運に見放されたジャックは悪行も失敗続きでギブス達にも見限られ、懸賞金も1ドルにまで暴落。今まで散々お世話になったコンパスとの盟約も忘れて酒のカタに売り飛ばした結果、コンパスの怒りを買い自身を怨む旧敵を解き放たれてしまうという、海賊王とは思えない落ちぶれっぷりを見せていた。
ウィルの息子・ヘンリーにダッチマン号の呪いを解く「ポセイドンの槍」の捜索を頼まれるも、実質的に活躍したのはヘンリー自身と成り行きで同行する事になった魔女の濡れ衣を着せられた女性カリーナとライバルのバルボッサで彼自身は最初から最後まで踏んだり蹴ったりの不運続きで良いとこ無しであったが、全てが解決した後に久しぶりにパール号の船長に返り咲けた事が唯一の救いであった。そしてなんだかんだで一作目からいがみ合ってきた「憎き猿」こと猿のジャックとも和解できた。
一応本作では彼の全盛期と言える、強かでカリスマに溢れていた若い頃の姿も描かれている(だからこそ余計に現在の落ちぶれっぷりが際立つのだが…)。