トータル・リコール
とーたるりこーる
ポール・バーホーベン監督のSF映画。
アーノルド・シュワルツェネッガー主演。妻役はシャロン・ストーン。
1966年にフィリップ・K・ディックが発表した短編小説『追憶売ります』(We Can Remember It for You Wholesale)を映画化したもの。
タイトル画像のように、顔がガバッと左右に割れる視覚効果が話題となった。
2012年にレン・ワイズマン監督、コリン・ファレル主演でリメイクされている。
なお、1990年のバーホーベン版は非常に評価が高かったが、2012年のリメイク版は酷評されている。
因みにバーホーベン版は下手なホラー映画が真っ青な死体量産映画であり、バーホーベン監督らしいエログロ描写に溢れている。オッパイ三つの女で結構話題になったとか。
あらすじ(1990年度版)
平凡な建築士ダグラス・クエイドは、毎夜、行ったこともない火星での悪夢に悩まされていた。思い詰めた彼は、人工的に旅の記憶を植え付けるリコール社を訪れる。だが「火星で活躍する秘密諜報員」の記憶を移植する処置の途中、封印されていた記憶が蘇った。地球での幸せな暮らしこそが、あとから植え付けられた記憶だったのだ……
登場人物(1990年度版)
ダグラス・クエイド/カール・ハウザー
「諜報員。おいくらだ?」
本作の主人公。地球で働く平凡な建築士。毎晩火星での悪夢に悩まされており、解決の為にリコール社を訪れる。しかし、リコール社からの帰りに同僚であるハリー、妻であるローリーから立て続けに襲われ、「ダグラス・クエイド」と言う人間は元々存在していないと言う事を知ってしまう。逃避行の最中、火星の夢で見た相手、メリーナと再会し、自分はコーヘイゲンの側近だったハウザーであると知った。
メリーナ
「このロクデナシ! どれだけ心配したと思ってるの!?」
演:レイチェル・ティコティン
本作のヒロイン。火星レジスタンスのメンバー。火星総督ヴィロス・コーヘイゲンの圧政に仲間と共に立ち向かう。非常に戦闘能力が高く、射撃だけでなく徒手格闘もかなり強い。再会当初はハウザーがクエイドにされたことを信用せず追い返すが、のちにクエイドの窮地に駆けつけ、そこから彼の最高のパートナーとなった。
ローリー
「火星の悪夢を見たとは思えないわね。いつも火星のニュース見てるもの」
クエイドの妻。だが実際は監視役で、上司であるリクターとは情を通じていた。リコール社から帰ってきたクエイドを襲うも返り討ちにされ、気絶させられた。その後、火星でクエイドを不意打ち的に確保するも、メリーナの乱入を受けたが彼女を無力化。そのままトドメを刺そうとしたところにクエイドに邪魔される。そしてクエイドに「自分達は結婚していたんだから」と言って不意打ちをかまそうとするも、通じず脳天を撃ち抜かれた。
リクター
「あンの野郎、ぶち殺してやりたいぜ」
コーヘイゲンの部下。部下であるローリーとは情を通じており、他人が彼女に触れる事を嫌う。それ故にクエイドを激しく敵視している。戦闘能力は高いが直情的な性格で、火星の宇宙港でクエイドを銃撃した際に誤って窓ガラスを割って死者を出してしまったり(劇中の火星は真空に匹敵する低気圧なので、適切な装備なしに外に出ると死ぬ)、思い通りにならないと怒鳴ることも多い。リアクターでの戦闘でクエイドを追い詰めるも、リフトと梁に腕を挟まれて千切れて落下した。
ヴィロス・コーヘイゲン
「クエイドを殺そうとした挙句に取り逃がしやがって!」
演:ロニー・コックス
火星総督。火星でしか採掘できない「タービニウム」と言う鉱石の売買で巨万の富を得ているが、その実態は入植者に圧政を敷いている暴君。自身を悩ますクアトー率いるレジスタンスを壊滅させる為、側近のハウザーをクエイドとして地球に送り込んだ。火星のリアクターを稼働させようとするクエイドを阻止する為に予め設置していた爆弾を起爆したが、クエイドに邪魔されリアクターの破壊はならず、代わりに隔壁が破壊された。最終的に隔壁にあいた穴から吸い出され、苦悶の中で無惨に死んだ。
クアトー
演:マーシャル・ベル
「クエイド……リアクターを起動してくれ……」
レジスタンスのリーダー。火星の放射線の影響で人間が変異して生まれたミュータントで、レジスタンス構成員のジョージと肉体を共有している。記憶を操る超能力の持ち主で、それを使ってクエイドの記憶からリアクターの情報を取り出した。火星政府の襲撃からクエイド達を逃そうとしたが、ベニーによってジョージを殺され、自身はリクターに殺された。
ベニー
演:メル・ジョンソンjr.
「ようクエイド! 俺だよ! お前さんの親友、ベニー様だぜ!」
火星のタクシー運転手。実はミュータントで左腕が変異しており、義手をはめている。ミュータントでありながらコーヘイゲンと通じていた。火星の坑道でクエイドとメリーナを待ち構え、掘削機で押し潰そうとしたが、落ちていたドリルを拾ったクエイドに掘削機の油圧ホースを破壊されて攻撃力を奪われ、同じドリルで側面から刺し貫かれた。実は四人の養子を迎えているという裏設定がある。
登場銃器
火星当局の兵士が使用。クエイドも敵から奪って使用。ハンドガードなどが装着され、未来の架空銃のようなテイストになっている。
リクターが使用。パーツが追加され、未来の架空銃のようなテイストになっている。
火星レジスタンスが使用。拳銃サイズまで小型化されたものも登場。
火星当局の兵士とリクターが使用。プロップ用の追加パーツが取り付けられている。
あらすじ(2012年度版)
核兵器に代わって化学兵器が多用された結果、大部分が居住不能となった第三次世界大戦後の地球。世界は富裕層が住む「ブリテン連邦(UFB)」と貧困層が住む属国「コロニー」に二分され、コロニーの住民は地球の核を通る巨大エレベーター「フォール」でUFBへ出勤し、馬車馬のように働く毎日を送っていた。
ロボット警官「シンセティック」の製造工場で働く機械技師ダグラス・クエイドもそんな一人だ。しかし彼は毎晩見る、会った事もない女性との逃避行の夢に悩まされていた。思い詰めた彼は、妻ローリーや同僚ハリーの制止も聞かず、人工的に記憶を植え付けるリコール社を訪れ、「秘密諜報員」の記憶を買った。記憶移植処置の最中、クエイドは警官達に襲撃されるが、身に覚えのない超人的な戦闘術で一掃。何がなんだかわからぬまま家に帰ると、今度は妻であるローリーが襲いかかってきた上、「お前の記憶は作られたもので、私は妻を装ったただの監視役だ」と告げられる。追われる身になったクエイドは、必死に自らが何者かを探す。そんな中、彼は夢に出てきた女性に助けられた……
登場人物(2012年度版)
ダグラス・クエイド/カール・ハウザー
「俺が俺でないなら、俺は一体誰なんだ?」
演:コリン・ファレル
本作の主人公。コロニー在住の機械技師。毎朝UFBに出勤してロボット警官「シンセティック」の工場でライン作業に従事していた。毎晩見る、見知らぬ女性との逃避行の夢に悩まされており、解決の為にリコール社に訪れる。しかしそこで警察に襲われ命からがら逃げ帰ると、今度は妻であるローリーに襲われ「"ダグラス・クエイド"なる人間は存在しない」ということを知ってしまう。後に自身がUFB代表ヴィロス・コーヘイゲンの右腕だったが、今は裏切り者として追われている筈のカール・ハウザーだと知った。
ミネット"メリーナ"・レイノルソ
「私を知っているの?」
演:ジェシカ・ビール
本作のヒロイン。UFB政府に対して抵抗運動を行うレジスタンスの一員。UFBの高速道路で追われているクエイドを助け出し、それ以降は行動を共にしている。実はハウザーがコーヘイゲンを裏切った最大の理由であり、彼とは恋仲だった。レジスタンスの一員だけあって、非常に高い戦闘能力の持ち主。
ローリー・クエイド
「この私が、あんた如きとこんな肥溜めに住むと思う?」
UFB警察のコロニー当局で働く警官でクエイドの妻。だが実際はクエイドの監視役で、序盤で本性を表して以降は幾度となくクエイド/ハウザー達を追い詰める。リメイク版ではリクターが出てこないので、ローリー自身にリクターの役割が割り振られている。最後の最後までハウザーを追い詰めたが、最終的に銃を奪われた挙句、胸を撃ち抜かれて息絶えた。
因みに演者のケイト・ベッキンセイルは監督の嫁で、「普通、嫁を悪役に起用するか?」と言っていた。
ヴィロス・コーヘイゲン
「いいか、ローリー。クエイドを連れ戻して記憶を植え付けなおせ」
UFBの代表。表向きは清廉潔白な名政治家として振る舞っているが、自らの治世の為ならテロに見せかけた殺戮を行い、それによる治安強化を謳ったシンセティック増産というマッチポンプも辞さない外道。見かけと地位によらずかなりの行動派で、並の警官ならば瞬時に複数名を叩きのめすハウザーですら防戦一方になる程の高い戦闘能力を持つ。UFBの人口増加を解決する為にコロニー住民を殺戮しようと目論んだが、ハウザー達に阻止され、UFBのコロニー支配の象徴である「フォール」と運命を共にして果てた。
マサイアス
「ハウザー、よく戻ってきてくれた」
演:ビル・ナイ
コーヘイゲンに対して抵抗運動を行っているレジスタンスのリーダー。腐り切ったコーヘイゲンとは対照的に人格者。コーヘイゲンの罠にかかって死亡した。メリーナの父という設定があったそうだが、本編ではカットされた模様。
用語(2012年度版)
- コロニー
二分された世界の片方で、オーストラリア大陸に存在する。「植民地」の名の通りUFBの属国であり、貧困層が住んでいる。居住不可区域である「ノーゾーン」から流れてくる汚染大気の影響で常に空は淀み、酸性雨が降り注いでいるという、サイバーパンクディストピアめいたスラム街が広がっている。住民は中国系を中心としたアジア系が多数を占めており、看板は英語よりも中国語で書かれたものが多い。
- ブリテン連邦(United Federation of Britain)
二分された世界の片方で、ブリテン島とフランスに跨いで存在している。略称はUFB。コロニーとは対照的に大気はクリーンで、超高層建築物が乱立している未来的なメガロポリス。住民は白人と黒人の富裕層が大多数を占める。最近深刻な人口増加と土地不足に悩まされており、属国コロニーへの侵攻を企てている。
- ノーゾーン
第三次世界大戦で多用された化学兵器によって汚染され、人類が居住できなくなったエリア。地球の大部分を覆っており、劇中登場したエリアはかつて英国の首都ロンドンであった。
- フォール
コロニーとUFBを繋ぐ巨大エレヴェイター。地球の核を通過する重力列車であり、コロニー市民からは「UFBによる属国支配の象徴」と見做されていた。最終的にコーヘイゲンと共に地球の核へと落ちていき、爆発四散した。
- シンセティック
UFB警察が用いるロボット警官。銃弾を通さない強固なボディと、筋肉質な成人男性を片手で持ち上げるパワー、機敏な動きを可能にする敏捷性を備える。胸部にバッテリーパックがあり、胸部の装甲板を外されるとこれが露出し、取り外されると機能停止するという欠点がある。UFBはこれを用いてコロニーへの侵攻を企てていた。
- リコール社(Rekall)
偽の記憶を売る会社で、コロニーに本店を構えている。社長はマクレーン(バーホーベン版と同じ名前だが、こちらではアジア系)。売り文句は「Is it real? Is it Rekall」。
登場銃器(2012年度版)
ハウザーが使用。銃身下部のレイルにアタッチメントが装着されている。
メリーナが使用。コンペンセイターが装着されたフルオート可能なカスタム版。
ローリー達UFBの警官が使用。ステンレスフレームの50DSモデル。クエイドも警官から奪って使用。銃身下部に発光するユニットが装着され、グリップは黒いラバーである。
UFBの警官とシンセティックが使用。ハウザーも警官から奪ったものを使用。劇中では対象を拘束するワイヤーを放ち、拘束した相手を自在に操れるアタッチメントや、「アイボール」と呼ばれる3Dイメージングカメラのアタッチメントが登場。
レジスタンスが使用。フルサイズのA3と短縮版のMP5Kが登場。